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数の力でひた走る 財政運営・「君が代」強制・定数削減・大都市制度検討協議会設置 大阪府民に何をもたらす 知事と維新の暴走議会&{民の声代弁した日本共産党

2011年06月11日

 4月の府議選で、橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」が過半数を獲得してから初めて開かれた5月府議会が、4日閉会しました。橋下知事の財政運営基本条例案、維新の「君が代」強制条例案、定数削減条例案、府市再編に向けた「新たな大都市制度検討協議会」設置条例案と、今後の府政の基本方向や議会のあり方を左右する重要な議案が4本も提出。「君が代」強制条例案や定数削減案などは、いずれも短い会期のうちに、維新が数の力で押し通し成立させました。この“暴走議会”は府民に何をもたらしたか、日本共産党府議団の果たした役割について、振り返ります。

もの言えぬ教員づくり狙う
――「君が代」強制条例

唯一条例に反対した党

 日本共産党府議団は5月30日に一連の議員提案の議案についての見解を発表しました。その中で「君が代」強制条例について、「憲法が保障した思想・信条の自由を侵害し、国旗・国歌法の解釈にも反する」として撤回を要求。さらに大阪の「貧困と格差」の広がりが子どもの中に深刻な影を落とし、教育現場の深刻さが増している中、いま大阪の子どもと教育に対して府が果たすべきことは、「君が代」「日の丸」強制ではなく、少人数学級や「定数内講師」の解消など、教育条件の改善にこそあると指摘しました。
 教育常任委員会(2日)での実質審議はわずか2時間半程度でしたが、日本共産党のくち原亮議員は唯一、憲法と教育のあり方、子どもたちの健全な成長を願う府民の立場に立って、条例に反対する論戦を行いました。
 くち原議員は、国旗・国歌法の国会審議(99年)でも、@「法制化はするが強制はしないこと」が政府答弁でも確認されているA「日の丸」「君が代」が戦争に利用された歴史的な経過(99年7月30日、野中広務官房長官=当時=の答弁)からも、押し付けてはならないB府民は今回のような条例制定を求めて維新を支持したのではないと主張。学校現場で起立しなかったことによって子どもたちに実害が及んだかとの質問に、中西正人教育長は「混乱は生じていない」と明言しました。
 翌日の本会議で、くち原議員が日本共産党として議案に反対する討論を求める動議を提出。これを認めるかどうかの採決が行われましたが、維新、公明、自民、民主などが反対して封殺しました。
 公明、自民、民主は「君が代」強制条例には反対しましたが、委員会審議では「なぜ罰則規定を出さないのか」(自民・吉田利幸議員)、「いささか拙速。今後の動向を見てやっても遅くない」(公明・八重樫善幸議員)と主張するなど、押し付ける点では同じです。
 さらに今回の条例制定は、橋下知事や維新が狙う「もの言えぬ教員、職員づくり」の第一歩です。橋下知事は、全国学力テストの結果公表をめぐって「クソ教育委員会」と批判したように、教育行政と教職員を自らの思いのままにしようとしてきました。
 橋下知事は9月府議会に、起立しない教職員を処分する「懲戒条例」案を提出すると語り、さらには教職員だけでなく一般職員との「整合性」も口にして、新たな服務規律を定めることにも言及。「職務命令」と処分を盾にしたさまざまな強制が府や府内自治体の職員にまで及ぶ危険性があります。

切り捨てられるのは「民意」
――議員定数の大幅削減

 日本共産党府議団は5月30日の見解で、維新の定数削減案について、定数1の小選挙区が現行の33から48へと拡大し、1人区と2人区が62選挙区中52選挙区(88・7%)を占め、4月の府議選結果を当てはめると、4割の府民の投票が議席に結び付かない「死票」になることや、1票の格差も現行の2・29倍から2・88倍になるなど、不公正をいっそう拡大するものだと批判して、提案の取り下げを求めました。

 議員定数削減の問題では、他の条例案以上に維新の横暴ぶりが際立ちました。  維新が定数削減条例案を浅田議長に提出したのは5月23日でしたが、条例案は閉会予定の3日まで議長の手元に留め置かれたままでした。

討論なしに採決を強行

 「君が代」起立強制条例の可決後、維新などが4日の午前0時前、会期延長を強行。4日未明、「追加議案」として初めて本会議に提案されたのでした。維新による趣旨説明のあと、本会議や委員会での質疑、討論もなしに、ただちに採決。維新単独で強行することを前提に、「実質審議ゼロ」で押し通したのです。
 日本共産党府議団は4日午前1時半ごろ、浅田議長に面会。宮原威団長は「維新の議席は過半数だが、府議選での得票率は4割。だからこそ議会運営は抑制的でなければならない」と厳しく抗議。未明の本会議は欠席しました。
 公明、自民、民主も欠席しましたが、3日深夜の土壇場に開かれた議会運営委員会理事会で、公明党は維新案を審議する特別委員会の設置を要求。自民党は、削減定数は維新案と同じで1票の格差を抑えた「対案」なるものを持ち出そうとするなど、定数は削減するという立場からでした。

府民生活抜きの「財政規律」
――財政運営基本条例

 継続審議となった「財政運営基本条例」は、橋下知事が就任当時から繰り返してきた「収入の範囲で予算を組む」との方針や、減債基金からの借り入れを禁止することなどを条例化したもの。当面1千億円近くになる見込みの財政調整基金は、積み立てて手を付けないようにし、その目標額は、条例とは別に規則で決めるとしています。
 大阪の完全失業率は5・4%(ことし1―3月期)と依然高く、昨年の中小企業の倒産件数は全国の15%を占めるなど、府民の暮らしや大阪経済は深刻な事態です。ところが橋下知事は、府民の暮らしや中小企業を応援するのではなく、「財政が黒字になりさえすればよい」という「財政規律至上主義」に突き進もうとしています。それが今回の「財政運営基本条例」にも貫かれています。


維新の特定見解を多数決で
――大都市制度協議会

 「新たな大都市制度検討協議会」は、設置条例の前文に、大阪府と大阪市の「二重行政」が、「結果として大阪の成長を妨げる」と明記しています。
 日本共産党は「見解」で、「大阪都構想」を目指す維新の特定の見解に基づくものであり、大都市制度についての自由な議論を妨げると批判して、撤回を求めてきました。
 条例では「協議会の協議結果を平成23年9月30日までに大阪府議会に報告する」(第7条)とされており、大都市制度についての府民の多様な意見の反映のしようがありません。
 3日の本会議討論で維新(上島一彦議員)は「二重行政の解消は府議会の総意として共有できる」などと言い放ちました。条例では協議会の結論は多数決で採決するとしていますが、これでは現実に多数を持つ維新の主張が協議会の結論となり、知事選や大阪市長選の争点に持ち込まれる危険性があります。

府議会で暴挙繰り返す
強権政治許さぬ運動を
宮原威日本共産党府議団長の話

 5月府議会では、「選挙で勝てばなんでもできる」と橋下知事と維新が一体となって、全国的にも例のない暴挙が繰り返されました。これに対し、「橋下流強権政治は許せない」と教育関係者、労働組合、民主団体、法律家団体などの反対運動も急速に広がりました。9月府議会を待つのではなく、今から議会内外での運動を発展させなければなりません。
 第1に、府民の暮らしや大阪経済の現状からも、府議選で公約した「福祉・防災のまちづくり」へ政策提案を行うこと。第2に、「君が代」強制に続いて知事が9月府議会で狙う「懲戒条例」、教職員への管理強化を許さない取り組みを発展させること。第3に、私たちは4議席ですが、府内で11%の得票を得た党として、正々堂々と代表質問や本会議での討論を要求して勝ち取りたい。第4に、府民の中に飛び込んで、府政・府議会の真実を知らせ、強権政治を許さぬ運動を繰り広げる決意です。
(2011年6月12日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2011年06月11日

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