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審議抜きの強行採決で成立した府議会定数削減条例の撤回を 憲法と民主主義を守り、府民の声・世論が生きる府議会に 日本共産党大阪府委員会自治体部長 丸野賢治

2011年06月17日

 4日閉会した5月府議会で、維新の会が府議定数削減条例案を強行採決・成立させたのを受けて、日本共産党大阪府委員会の丸野賢治・自治体部長はこのほど、次のような見解を発表しました。

1人区増加で4割が死票に

 大阪維新の会(代表、橋下徹知事)は先の府議会で、現行109の議員定数を88に削減する定数削減条例を、審議ゼロ、事実上の単独強行採決という異常なやり方で成立させました。

 大幅な定数削減によって、特に1人区が大幅に増えて48選挙区、実に全選挙区の8割近くになり、2人区も入れると9割になります。1人区の増加で「1票の格差」も現行2・2倍が2・88倍に拡大します。4月の府議選結果で試算すると、いまの死票率29%が40%台に急増し、選挙区によっては実に7割もの住民の意思が議席に反映しないという事態に陥ります。

憲法が定める基本的な権利

 日本共産党は憲法と民主主義を守る立場から、定数削減にきっぱり反対しました。住民が議員を選んで要求を実現し、行政の専横を日常的、継続的にチェックさせることは、憲法が定めた重要で基本的な権利であり、やみくもな議員定数削減は、住民の声を議会に反映する道を閉ざす民主主義への逆行です。
 議員の定数は、「住民の中にある多様な意見や要求が議会に正しく反映されるには、どれくらいの規模が必要か」という基本的な「物差し」で決めるべきです。大阪府と人口が同規模の神奈川県(定数107)、150万人も少ない埼玉県(同94)、愛知県(同104)と比べても、異常な削減です。

無駄遣いこそカットすべき

 橋下知事、維新の会がただ一つの理由にしている年間3億8千万円の経費削減でいえば、百数十億円もかける旧WTCビルの購入など府税の無駄遣いこそ徹底してカットすべきです。日本共産党は、定数削減条例の撤回と民意を正しく反映する府会議員選挙制度の確立を目指して引き続きたたかいます。

一気に進んだ議会の形骸化

 今回の定数削減強行採決は、橋下知事と大阪維新の会の、民主主義を否定する危険な体質をあらためて浮きぼりにしました。
 維新の会は、「次の選挙まで4年ある。よりよい定数や区割りを慎重に検討すべき」という主張さえ数の力で問答無用と切り捨て、審議ゼロで強行採決に突き進み、議会の民主的運営を踏みにじりました。首長を党首に据えて、最初からチェック機能に疑問がある政党が多数を占めれば、議会の形骸化が一気に進むことも事実で明らかになりました。
 そこには、議員定数問題を、秋の知事・市長選挙を有利にする”道具”にする思惑や、「実績を積み重ねなければ党勢を失いかねないという焦り」(「毎日新聞」)との指摘もあります。憲法が求める議会、議員のあり方を探るという本来の姿とは無縁の、あまりに卑小な党利党略です。

知事と維新の姿勢浮き彫り

 それだけではありません。そこには橋下知事の危険な政治姿勢が現れています。橋下知事は、地方議員選挙でさえもっぱら「権力」獲得の手段に変質させ、多様な民意をくみ上げるという役割は眼中に置いていません。今議会の「君が代起立条例」強行のように、選挙での多数が府民の「白紙委任」であるかのような府政運営を強めています。
 さらに、国民の教育権によって立つ教育労働者や、国民全体の奉仕者であるべき公務員に対する、“知事に従えないなら辞めろ”と言わんばかりの、働く者の生活権を奪うような脅迫的言動など、橋下知事の言動も見過ごすことができません。
 今度の府議会定数削減には、こうした橋下知事と維新の会の反民主主義的な危険な体質が示されたものともいえます。日本共産党は、府民の切実な要求と運動を広げ、民主主義を守る力をさらに大きくするため奮闘するものです。(まるの・けんじ)
2011年6月19日付「大阪民主新報」より

投稿者 jcposaka : 2011年06月17日

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