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「住まいは人権」に逆行 府営住宅を半減に――橋下知事 市営住宅減免改悪――平松市長 自治体の責任を投げ捨て

2011年08月06日

 橋下徹知事が府営住宅の半減計画を進めるかと思えば、大阪市営住宅の家賃減免制度を改悪しようとする平松邦夫市長。共通しているのは、公営住宅に対する自治体の責任に背を向け、投げ捨てようという姿勢です。

住宅市場の活用うたう 府

 橋下府政が昨年8月に「財政構造改革プラン(素案)」を発表してから1年が経ちました。同年10月には成案となりましたが、その中で府は、府営住宅の供給を中心とした住宅政策をやめ、民間賃貸住宅を含めた「住宅市場」を活用し、住宅バウチャー(家賃補助)制度を含めた「新たな住宅セーフティーネット政策」を構築していくとして、将来的に府営住宅の管理戸数(13万8千戸)を半減することを掲げました。
 これに対し全大阪借地借家人組合連合会(大借連)の呼び掛けで、昨年8月に「府営住宅削減に反対する連絡会」が結成され、府営住宅削減に反対し、増設を求める署名運動などに取り組んできました。
 府営住宅への入居を求める人たちは現在も増え続け、昨年度の平均応募倍率は21・2倍に。現在、「府営住宅公営住宅ストック活用総合計画」の後半計画(11年度から5年間)の改定作業中ですが、府は「将来は半減」と言いながら、実際には募集停止や建て替え時の戸数削減を進めています。

大量建設こそ必要
大生連が対府交渉

 全大阪生活と健康を守る会連合会は7月26日の対府交渉で、府営住宅の半減はやめ、大量建設を行うことなどをあらためて要求。質疑応答を通じて府の「新しい住宅政策」の問題点が浮き彫りになりました。  「住宅市場の活用」の前提とされるバウチャー制度ですが、昨年10月の交渉で府は、「国の制度ができなければ、(都道府県)単独で実施することは難しい」と回答。今回の交渉では「府として検討し、年度内に国に提案する」と説明しましたが、創設の保障はどこにもありません。

発想そのものが間違ってる

 交渉参加者からは「新しい制度の中身もないのに、半減すると橋下知事は言う。“絵に描いたもち”だ」「住宅政策を転換するという発想そのものが間違いだ」など怒りの声が相次ぎました。
 「府は地方自治体としての役割を果たしていない」と強調したのは、岸和田生活と健康を守る会の山田英子副会長。「まだできてもいないバウチャー制度にしがみつき、府営住宅の半減だけを進め、耐震改修できない住宅をつぶしていくとは何事か。東日本大震災で公の施設や公務員がどれだけ役割を果たしたのかを学ばないといけないのに、いまの府政は、公の責任で府民の命と暮らしを守ることを少しも考えていない。その根本を改めるべきだ」と強く主張しました。

独居の高齢者など直撃 大阪市

 「戦争で夫や子どもを失った。高齢者の一人暮らしでは民間住宅は貸してくれない。公営住宅が頼りなんだ」―。大阪市は市営住宅家賃の福祉減免制度の改悪案を示しています。年金生活者や高齢独居、障害者世帯へ特に大きな影響があるとし、全大阪生活と健康を守る会(大生連)は7月26日に撤回を求め市と交渉しました。

改悪で家賃が2〜3倍にも

 改悪案は、福祉減免を受けている世帯の家賃を現在の2―3倍へと引き上げ、家賃収入30億円の増収を見込むものです。
 夫と死別した「寡婦控除」、「老人扶養対象配偶者」、「障害者控除」、「年金所得控除」などの各種控除で、各世帯の実情に応じ、同じ収入でも家賃算定上の所得に差が出ることを大阪市は問題視。また減免後の家賃で、部屋の広さや立地条件による家賃の差がほとんどないことも、改悪の理由にしています。
 改悪案は今後、「市民からの意見公募および市営住宅入居管理委員会で検討を経て、成案化し、一定期間の周知を行ったうえ、施行する」としています。
 2009年度の減免総額は約72億円で、家賃額は297億円。福祉減免制度を実施しなかった場合の家賃額は369億円です。
 交渉の場で日本共産党の尾上康雄市議は、「収入の低い人から吸い上げるということで、見直しというより改悪と言わざるを得ない。学習し、運動を広げていきたい」と述べました。(大阪民主新報2011年8月7日14日合併号より)

投稿者 jcposaka : 2011年08月06日

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