維新の会が住民襲う=@吹田・井上市政 橋下流で直撃
子どもから高齢者まで 独自施策を廃止・縮小
府知事・大阪市長の「ダブル選」へ、橋下徹前知事と維新の会は「強い広域自治体(大阪都)、優しい基礎自治体を目指す」と叫び、「身近な住民サービスは基礎自治体で」と主張しています。ところが実際に維新の会が市町村でやっていることは何か。府内で初めて維新の会の首長が誕生した吹田市では、「行政の維新プロジェクト」の名で住民の暮らし・福祉・教育に直結する市独自施策の廃止・縮小などが狙われています。
橋下氏と同じ強引な手法で
4月に当選した吹田市の井上哲也市長。府議として維新の会の結成に参加して総務会長を務め、現在は顧問です。
井上市長は就任直後の5月に「財政非常事態」を宣言。「行政の維新プロジェクト」では市長を最高責任者に「マネジメントチーム会議」を設置し、「収入に合わせて予算を組む」と、橋下前知事と同じ強引な手法を進めてきました。
市長と副市長、教育長などと、市長が選んだ「有識者」だけでつくる「マネジメントチーム」では、独自施策など100事業について、「国・府制度と整合性がない」「他市でやっていない」などの基準で継続や廃止・縮小に向けて抽出。
9月末から10月上旬にかけて開かれた5回の会議で33事業の方向性を打ち出し(表)、予算編成に反映させるとしています。「推進」になっているのは公立保育所や学校給食・校務員のアウトソーシング(外部委託)だけです。
制度廃止なら介護難民生む
「見直し会議」で「廃止」とされた一つが、「短期入所生活介護(ショートステイ)」。介護保険制度では介護度によりサービスの上限が設定され、上回る分は全額自己負担になります。吹田市では介護保険制度導入の翌01年から、上限を上回るショートステイ部分に独自助成を実施。市全体では年間で423人(10年度)が、同制度を利用することで在宅生活を続けています。
例えば独り暮らしの80歳の男性は「要介護4」。重度の認知症で徘徊(はいかい)があり、何度も警察に保護されています。同じマンションの階下に住む娘が主たる介護者で、昼間は働きながら、在宅で父親を生活させたいと希望。介護サービスは週6回の通所介護、週12回の訪問介護、月14回のショートステイなどを利用。現在、市制度を活用して月約6万3千円の利用料負担ですが、廃止されれば約19万3千円と負担額は3倍になります。
「いまでも高齢者本人や家族は、ぎりぎりの毎日です」と話すのは、特別養護老人ホーム「いのこの里」の吉川幸志副施設長。「国の制度で足らない部分を補ってきたのが市の制度。廃止になれば、家族は『介護退職』で収入も減り、必要なサービスはますます受けられず、ケアマネジャーも利用者の立場に立ったケアプランが作れない。介護難民や介護心中が増える恐れがある。『介護保険制度と整合性がない』と言うなら市の役割はなくなる」と訴えます。
子の安全守る役割投げ捨て
大阪教育大学付属池田小学校の児童殺傷事件(01年)や寝屋川市立中央小学校の教職員殺傷事件(05年)を受け、府は05年度から公立小学校警備員の人件費を半額補助する制度を創設。吹田市では小学校だけでなく、市独自に公立幼稚園・保育所に警備員を配置してきました。
橋下前知事は09年度から「交付金」化し、ことし3月末で廃止。昨年9月府議会での答弁で橋下知事は、「子どもの安全を守るのは、小・中学校の設置者である市町村の仕事」と断言しています。
吹田市は今年度、独自予算を組んで警備員を配置していますが、「見直し会議」では「地域の子どもは地域で守るのが基本」として、「縮小」と判断し、地域に任せる方向です。
「赤字」あおり悪政を不問に
「財政非常事態」を宣言した井上市長は、今年度当初予算で歳入総額1103億円に対し赤字地方債発行(借金)が37億円、財政調整基金からの繰り入れ(貯金の取り崩し)が48億円であることや、赤字地方債の累積残高が325億円ある一方で、財政調整基金は32億円しかない「赤字体質」だとしています。
しかし自治体の財政力を示す「財政力指数」は、吹田市は1・06で、府内2位。個人市民税は府内2位、法人市民税も府内2位(10年度決算)です。井上市長は、小泉政権時代の「三位一体改革」などで吹田市への補助金などが毎年約11億円削減されてきたことなど、悪政の責任には何も触れていません。
維新プロ反対大パレードも
「見直し会議」で廃止・縮小が打ち出された事業の存続を求めて、障害者団体などから市当局への要望書提出が相次ぎ、10月21日には「行政の維新プロジェクト」の中止・撤回を求める「すいた大好き市民の会」が結成されました。
今月6日(日)には「吹田の子育て・福祉を守り、拡充する大パレード」(同実行委員会主催)が取り組まれる予定になっているなど、福祉・暮らし切り捨ての「行政の維新プロジェクト」に反対する市民の運動も広がっています。
暮らし・福祉最優先の市政守る
日本共産党吹田市議団 塩見みゆき団長の話
「福祉の吹田」「子育てするなら吹田」と呼ばれてきた吹田の独自事業は、革新市政時代から市民と関係団体の願いと運動で築かれてきたもので、市民の暮らしが非常事態にあるいまこそ継続・拡充が必要な施策です。この間、高齢者、子ども、医療など12の関係団体と直接、この問題で懇談を重ねてきました。議会への期待は強いものがあります。自治体本来の役割を果たす、暮らし・福祉最優先の吹田市政を守っていくために、市民の皆さんと共同として頑張ります。(2011年11月6日付大阪民主新報より)
投稿者 jcposaka : 2011年11月05日