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教育破壊から子ども守ろう 橋下「維新」が強行狙う 教育・職員基本条例案 撤回へ広がる共同

2011年12月10日

 橋下徹次期大阪市長が代表を務める維新の会が、知事や市長が政治介入し、「教育目標」を決めることなどを明記した教育基本条例案や、自治体職員に首長への服従を強いる職員基本条例案を府議会、大阪市議会、堺市議会に提案・強行しようとしていることに対し、府内外で撤回を求める声と運動が広がっています。5日夜には、堺市内で市民らが条例案の白紙撤回を求めて集会・パレードを開き、大阪弁護士会は3日、条例案の問題点を考える緊急シンポジウムを開催。大阪での2条例案成立を許さない「教職員組合共同アピール」には、組織の違いを超えて都道府県の支部、単組教職員組合代表が賛同しています。(6面に関連記事)

条例の問題点を検証
大阪弁護士会が緊急シンポ

 大阪弁護士会は、府教育委員の小河勝氏、神戸大学発達科学部教授の二宮厚美氏、維新の会大阪市議で弁護士の坂井良和氏を迎えて、3日、大阪市内で「緊急シンポジウム」を開催。約220人の市民が参加しました。

「教育の要」に教員の協力が

 小河氏は、条例案が子どもたちに苛烈な競争をもたらすと厳しく批判。教材開発や生活指導などで教員が協力し合うことが「教育の要」だとし、教員の評価・免職を可能にする条例案の白紙撤回を求めました。

任期付雇用は一種の脅しだ

 二宮氏は、「教育における競争は、それを通じて互いが能力を伸ばし合うものだ」と前置きし、条例案で持ち込まれる競争は「優勝劣敗が同時に弱肉強食になってしまう」と指摘。「教育は集団労働で、その成果を個別に評価することは不可能」とし、学校長の民間公募について、「任期付きで、首長の眼鏡にかなわなかったら雇用の継続はない。これは一種の脅しだ」と批判しました。
 坂井氏は、条例案を府市ダブル選挙で争点として「はっきりさせた」と主張し、「(教育を)変えて欲しという人が多かったのが現実」と述べました。その上で「これからいろんな意見が出てくる。すべてを考慮した上で、最終的にやはり教育条例案は提案していきたい」などと、条例案を強行する考えを示しました。。

基本条例案は意見の可能性

 大阪弁護士会は同条例案に反対する中本和洋会長の声明を9月15日に発表しています。声明は条例案が憲法92条や地方公務員法などに反する可能性を指摘しています。

全国組織の違い超え
教職員組合共同アピール

 全日本教職員組合の北村佳久中央執行委員長ら6氏が、全国の教職員組合に呼び掛けた「教職員組合共同アピール」には、12月1日現在で、全国組織の所属の違いを超えて146人が賛同。アピールでは、教育基本条例案について、「憲法と教育の条理を否定するものであり、大阪の教育はもちろん、日本の学校と教育、社会全体にとっても見過ごすことのできない重大な問題」だと指摘。2条例案成立を許さず、「子どもと教育、学校を守りましょう」と呼び掛けています。

堺市
名誉教授、与謝野晶子研究家、牧師さん…
数週間で600人超
アピールへの賛同急速に

個性や柔軟性多様性を奪い

 堺市では、教育基本条例案の白紙撤回を求め、大阪府立大学の小股憲明名誉教授、日本ペンクラブ会員で『大阪春秋』編集委員の中井正弘さんら4人が発起人となり、11月4日、「堺からのアピール」を発表しました。
 アピールでは、堺出身の歌人与謝野晶子が、学校の教育目的について、「画一的に他から強要されることなしに」、個人の創造能力を、本人の長所と希望に沿って自由に発揮させることだと述べたことを紹介。その上で、条例案がもたらすものは、競争の徹底と強制、子どもの個性や柔軟性、多様性を奪った画一的な子どもの姿だと指摘。知事・市長が「教育目標」を一方的に定めることができるなどの問題点について、「政治介入を戒めている日本国憲法・教育基本法を、地方条例で全面的に覆す」ものだと厳しく批判。大阪の子どもたちを教育破壊から守るため条例案の白紙撤回を強く求めています。

小さな声集め世論広げよう

 5日夜、市民らが市内で開いた集いには200人が参加。開会あいさつした発起人の小股氏は、同条例案による教育の政治支配を許してはならないと述べ、「力を合わせて不当な圧力をはねのけよう」と訴え。続いて発起人の与謝野晶子研究家の松永直子さんが経過報告し、アピール発表から数週間で賛同人が600人を超えたことを紹介、「小さな声を寄せ集め、教育基本条例反対の世論を広げていきましょう」と呼び掛けました。
 フロア発言で、2人の子どもを育てる母親は、自らの学校体験を振り返りながら、「子どもは一人一人違っていい。個性豊かな子どもと向き合うのが教育のはず。教育基本条例が目指す先生像に寒気を感じる」と語り、アピール発起人で堺キリスト教会牧師の平良仁志さんは、「教育基本条例は、教育にとって最も大切な人と人との絆さえ破壊するものだ」と強調。独裁政治と教育の政治利用で侵略戦争を進めた歴史の教訓に触れながら、「子どもの未来、国の将来を守るために何としても条例を止めなければなりません」と話しました。
 集い後は横断幕やプラカードを手に市内をパレード。行進参加者が次々とマイクを手に、同条例反対の思いを訴え、沿道の市民にアピールしました。(「大阪民主新報」2011年12月11日付より)

投稿者 jcposaka : 2011年12月10日

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