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勝てば好き放題か 松井新知事が所信表明 強権姿勢あらわ「大阪都構想」推進へ統合本部

2011年12月16日

 11月の「ダブル選」で当選した維新の会の松井一郎新知事が、12日の府議会本会議で就任後初の所信表明演説を行いました。知事選で200万票余を得た松井氏。しかし「選挙で勝てば何でもできる」と言わんばかりに、橋下・維新の会が狙う「大阪都構想」や「教育基本条例案」「職員基本条例案」などを推し進めようという姿勢が浮き彫りになっています。

理解へ努力と言っていたが

 松井知事は「当確」後の記者会見(11月27日)で、「大阪都構想」について「まだ分からないというご意見もあった。勝たせていただいたが、まだ反対だという方もあるので、そういう人にも説明して、理解いただける努力をしたい」と語っていました。
 ところが所信表明では、「ダブル選」で府民が下したのは「大阪に新たな大都市制度を実現させる、新たな統治機構をつくりあげていくという選択だ」とし、「大阪都構想」の実現が自らの政治的使命だとしました。

橋下前府政を受け継ぐ宣言

 松井知事は「アジアの諸都市とのし烈な競争を勝ち抜く」「大阪の成長を軌道に乗せ、継続させ、府民の所得を上げ、税収を上げる」とし、19日に就任する橋下徹次期大阪市長と、「しっかりタッグを組む」と宣言。「大阪都構想」実現へ「府市統合本部」を設置し、来年2月府議会には府・大阪市・堺市の各首長・議会などでつくる協議会の設置条例案を提案すると述べました。
 府政運営では橋下前府政の継承・発展を宣言し、「成長を促す役割は広域自治体が担う」「安心を提供する役割は基本的には基礎自治体(市町村)が担うべき」として、府の広域的な役割を放棄していくことを鮮明にしました。

2条例制定へ強い意向示す

 松井知事は、「まず大切にしたいのは、徹底的な対話と議論」と言うものの、「丁寧に対応すべきときは丁寧に、スピード感を重視すべきときは重視する」と強調。維新の会が府議会で単独過半数を占める下で、「最終的には民主主義のルールに則った府議会での議決を」などと、強権的な政治姿勢を隠しません。維新の会府議団が提出し審議中の「教育基本条例案」「職員基本条例案」は、来年2月府議会に「修正」して知事提案すると表明し、両条例制定の強い意向を示しました。

「選挙で大阪都信任」は根拠なし
大企業・富裕層優遇の国政・府政正してこそ
日本共産党大阪府議会議員団 宮原威団長の話

 松井知事は「ダブル選」であれだけ「改革者」を装い、既成政党を批判しておきながら、国政の暴走にものを言う姿勢がありません。野田政権の「税と社会保障の一体改革」は、社会保障削減と消費税増税という、かつてない二重の国民負担増であり、貧困と格差の拡大を加速するものですが、松井知事は何も触れませんでした。
 松井氏や維新の会は、「大阪都構想」について「ダブル選」では具体的な中身を示しませんでした。投票で重視した政策や新首長に求める施策についての世論調査結果でも、雇用や医療・福祉に比べて、「大阪都構想」は極めて少ないのが実際です。選挙結果をもって「大阪都構想」が信任されたというのはまったく根拠がなく、構想推進に向けた「府市統合本部」の設置は容認できません。
 松井知事は、「大阪都構想」の実現で「アジアとの競争に勝ち抜く」とし、その「稼ぎ」で「府民の安心・安全のための基盤づくり」をすすめると言いますが、「国際競争力強化」推進が国内の雇用と暮らしの悪化、異常な円高を招いていることはこの間の事実からも明らかです。「稼ぐ」「府民の所得を上げる」とと言うものの、その根拠は示されず、「府民の安心・安全」は後回しにされています。
 府民の貧困と格差の拡大、地域経済の落ち込みの原因は、地方制度や行政の仕組みにあるのではなく、大企業と富裕層への行き過ぎた優遇、TPP(環太平洋連携協定)問題などに見られるアメリカ言いなりという、国政の異常な歪みとそれに追随した大阪府政にあります。
 日本共産党府議会議員団は、この根本原因にメスを入れ、法人税減税など優遇策による大企業誘致や産業インフラ整備を進める一方、府民には福祉切り捨てを迫る府政の転換を目指し、暮らし・福祉・教育の向上、地域経済の活性化へ奮闘する決意です。

国政でも大阪でも
暴走政治と対決
日本共産党、震災9カ月で宣伝

清水・山中氏きっぱり訴え

 東日本大震災から9カ月の11日を前に、日本共産党大阪府委員会は10日午後、JR・京阪京橋駅前で、同後援会、城北地区委員会と共に「震災9カ月宣伝」を行い、被災地への募金や「原発ゼロ」を目指す署名を呼び掛け。清水忠史党府副委員長・衆院近畿ブロック比例候補と、山中智子大阪市議団幹事長が先頭に立ち、「被災者の苦しみに追い打ちをかけるもの」と、消費税増税などに突き進む野田政権と民主・自民・公明の3党体制を厳しく批判するとともに、府民の「政治を変えてほしい」という気持ちを利用し、「大阪都構想」、「教育基本条例案」「職員基本条例案」などを一挙に通そうと狙う橋下・維新の会の暴走にストップをと訴えました。

 清水氏は、全国の原発の4分の1が集まる福井原発でひとたび事故が起き、琵琶湖の水が汚染されると大変なことになるとし、関西電力本社などに原発撤退などを求めたことを報告。原発ゼロ、自然再生エネルギーへの転換を訴えました。  清水氏は年金引き下げや医療費の高齢者窓口負担増など社会保障制度を改悪し、大企業減税する一方で消費税増税を押し付ける「税と社会保障の一体改革」を批判。「大企業の減税をやめるだけで消費税増税する必要はありません」ときっぱり語りました。  山中氏は「ダブル選」で「政治を変えたい」という人たちの願いを集めた橋下・維新の会が、「大阪都構想」、教育・職員基本条例など強行しようとしていることに触れ、「暴走を許さず、市民の命と暮らし、安全を守るために全力を挙げる」と語りました。

街の声
「市長選で共産党を見直した」
「困っている人を救う政治を」

 自民党支持で大阪市此花区の会社員男性(57)は、「今度の選挙では共産党を見直したよ。橋下は大阪市を解体するというけど、そんなことになったら取り返しがつかないことになる」と話していました。 
 足を止めて宣伝を聞いていた東大阪市の女性(59)は、「橋下さんは、気に入らない職員の首を切るとか言ってるけど、ちょっと危険な感じがする。無駄を削るのも大事やけど、節約するにも限りがあるし、そんなことより下から景気を温めて、若者が希望を持てるような世の中にしてほしい。貧富の差がどんどん開く中で、困っている人を救う政治をしてほしい」と話していました。
 府知事選で維新の会を支持したと言う門真市の会社員男性(39)は、「だれに入れても一緒やと思ったけど、変えてくれそうな気がした。不景気で、この2年間、ボーナスも出てない。年金ももらえるかどうか分からないのに、何で払わんとあかんのか。子どももまだ小さいのに、これからどうなっていくのか不安」と話しました。(「大阪民主新報」2011年12月18日付より)

投稿者 jcposaka : 2011年12月16日

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