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教育基本条例案 通したらあかん 大阪、全国から包囲網 必ず廃案へ―シンポに800人

2012年02月04日

 2月府議会、大阪市議会で橋下・維新の会が「教育基本条例案」の強行を狙っているのに対し、廃案を求める包囲網が府内外で広がっています。(関連記事2、5面。3面に「教育基本条例案」なんでダメなの?8問8答」)

 「ともに考えましょう・子どもたちの未来と大阪の教育」と、1月28日午後、守口市のエナジーホールで開かれた「教育基本条例に反対するシンポジウム」には約800人が詰め掛け、ロビーにも参加者があふれました。

 シンポジウムはアピール「大阪府教育基本条例案に反対します」を呼び掛けた女優の竹下景子さん、教育評論家の尾木直樹さんら10氏の主催。映画監督の山田洋次さん、脚本家の小山内美恵子さん、平松邦夫・前大阪市長からの連帯メッセージも紹介されました。  パネル討論では、主催者でもある前日本教育学会会長の佐藤学・東京大学教授と精神病理学者の野田正彰・関西学院大学教授、前大阪市教育委員長で元毎日新聞論説委員の池田知隆氏、地球物理学者で前京都女子大教授の前田佐和子氏が教育現場や子どもの現状から条例案の問題点や危険な狙いを報告。精神科医の香山リカ氏も駆け付けて発言しました。  佐藤氏は、昨年11月にアピール発表以来、賛同者が急速に増えるなど反対世論が広がっていると強調。首長が教育目標を決めることは違法と文部科学省がはっきり指摘し、最高裁判決(1月16日)では東京都で「君が代」を起立斉唱しなかった教職員への重い処分の取り消しを求めたことなどを示し、「(維新の会を)ここまで追い詰めてきた。条例案を必ず廃案にするため、一人一人の声を張り上げて前進しよう」と呼び掛けました。

「目線を子どもたちに」
シンポジウム参加者の声

○…妻、3歳の長女、1歳の長男と家族4人で参加した男性(38)=高槻市在住 インターネットのツイッターで知って参加しました。妻は子どもの頃に教師の目の届かない所でいじめに遭いました。自分の子どもたちは、小規模で先生の目が生徒一人一人に行き届く学校に行かせたい。条例案を読んで信じられない思いです。困難を抱えている子を受け入れる学校を否定しているから。
○…小林貴子さん(47)=門真市 長女(20)と長男(17)、次女(13)の3人を育ててきました。長女は中学2年の終わりから不登校になり、中学3年はほとんど学校に行けなかった。中学の教師は多忙で一人一人の子をみる余裕がありませんでした。先生方の多忙さを考えると、条例案には賛成できません。上から目線に感じます。目線を子どもたちに向けて欲しいです。
○…富山幸子さん(55)=府立高校国語科教員 大阪の教育現場は、いまでも校長の教員評価が賃金に影響するシステムで、ものが言いにくくなっています。私たちは目の前の生徒のためなら頑張っても疲れません。精神的な病気にかかる教職員が多いのは、見えない評価によるものが多いと思います。こんな条例案が通ってしまえば、さらに上意下達の職場になり、職員同士の風通しが悪くなり、子どもたちへの教育にも必ず影響します。

「政治決断」で暴走
府市統合本部で条例案の骨格決定
知事が教育目標/教育委員罷免も

 「教育基本条例案」「職員基本条例案」への反対世論が広がる中、首長が2月議会に提案する両条例案を協議する第4回「府市統合本部会議」が1月30日、大阪市住之江区の旧WTCビル(府咲洲庁舎)で開かれました。「教育基本条例案」の論議だけで時間切れとなり、「職員基本条例案」は次回議論されます。
 維新の会の「教育基本条例案」の対案として府教委がまとめた「教育行政基本条例」では、「教育目標」にあたる「教育振興基本計画」を知事と府教委が「協議して作成」し、府議会で議決すると規定。これに対し松井一郎知事や大阪市の橋下市長らは「決定権者を明確にすべき」「府教委との協議がまとまらなくても知事が府議会に提案できるようにすべき」と要求。条例案の成案には「府教委の意見を付して知事が提案する」との条項を追加しました。
 「基本計画」で定めた目標の達成状況を教育委員が自己評価し、知事がその結果を地方教育行政法の罷免理由に当たるかどうかを判断。教育委員の罷免について知事に一定の権限を与えるものとなっています。
 府立高校の通学区域や統廃合の問題でも、松井知事や橋下市長と、府教育委員との間で激しい議論に。最終的に松井知事が「政治決断」を下し、14年度から府立高校の通学区域を撤廃することを前提に制度設計を進めることや、「3年連続で定員割れ」の府立高校を「再編整備(統廃合)の対象とする」ことを成案に盛り込んだ上で、松井知事が2月府議会に提案することを決めました。
 記者会見で橋下市長は、府教委の対案を修正させたことは「満額回答だ」などと発言。しかし「府市統合本部」は、法や条例の裏付けもないのに、橋下市長と松井知事が「最高意思決定機関」と位置付けているもの。今回の「教育基本条例案」をめぐる協議でも橋下・維新の会の暴走ぶりが際立っています。

「自由な発想育たない」
街頭での署名行動に反響

 シンポジウムに呼応して同日昼にJR・京阪京橋駅前で2条例反対大阪連絡会が取り組んだ宣伝行動では、1時間で76人の署名が集まりました=写真。ベビーカーに2歳の男の子を乗せた羽曳野市の母親(34)は「条例案は前から問題だと思っていました。評価や規制で先生を締め付けると、学校で自由な発想が育たなくなる」。大阪市城東区の男子中学1年生(13)は「定員より生徒が少なくなった府立高校なくていくのは、やめてほしい」と話していました。

府内外で広がる反対世論

 昨年から大阪の教育界、PTA協議会、弁護士会、日本ペンクラブ、日弁連など府内外の各界から反対の見解が出され、堺市、吹田市では教職員組合の違いを超えた共同アピールを発表。大阪、堺両市議会では、「教育基本条例案」「職員基本条例案」が否決され、高槻市議会では、教育基本条例案反対の意見書が採択されました。
 女優の竹下景子さん、映画監督の山田洋次さんらが呼び掛けた教育基本条例案反対アピールには、1月28日までに全国の著名人135人が賛同しています。
 元シンクロナイズドスイミング日本代表監督で元大阪府教育委員の井村雅代さんらが呼び掛けた「異議あり!『大阪府教育基本条例案』100人委員会」は1月21日、大阪市内で開いた3回目の集会で、「条例案を撤回し現行の法体系に則ったシステムが講じられることを強く求める」との声明を発表しました。
 府内各地で地域連絡会が結成され、街頭宣伝、学習会、集会などを展開。大阪市西淀川区でも普段交流のない労働組合とも対話。東大阪市では各家にビラを配布後、一軒一軒回って署名行動を進めています。(2012年2月5日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年02月04日

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