教育ゆがめる条例やめよ 共産党・くち原府議が主張
日本共産党のくち原亮府議は12日の府議会教育常任委員会で、松井一郎知事が提案した「教育行政基本条例案」「府立学校条例案」について、貧困の広がりや教育現場の困難などの事例を紹介しながら、「教育をゆがめる違法な条例は制定すべきでない」と主張しました。
教育条件の整備こそが必要
くち原府議は「少人数学級の拡充や正規教員を増やすこと、補習授業や子どもの個別指導のための教員加配、教員がしっかり授業準備するための時間保障など、教育条件・環境の整備こそ必要」と強調しました。
府の生活保護率は全国平均の2倍以上となるなど、子どものいる家庭にも貧困が広がっています。高校中退率も2・3%と2%を超えているのは大阪だけで、学力テストの白紙答案も多く、テスト結果が悪いのは、困難を抱えている子どもが多いのが原因と言われていると指摘しました。
くち原府議は、教員の休職者が10年前から1・6倍の494人に増え、精神疾患によるものは1・75倍の293人に、在職死亡も多い年では46人に上ること、「親が教員の小学生は、夕食がコンビニのおにぎりということが多くなる」など教育現場の現状と長時間労働を紹介しました。
子のやる気を失い傷つける
その上で、知事提案の教育2条例について質問したくち原府議は、「教育行政基本条例案」で知事が教育委員と協議して策定するとしている「教育振興基本計画」について、「条例案には『愛国心』や学力テスト結果の学校別公表などは盛り込まれていないが、『基本計画』に入れば結果は同じ。具体的な中身での知事の介入が行われない保証はない」と指摘し、過度な競争教育は「子どもたちを傷つけ、やる気も失わせる」と述べました。
くち原府議はまた、府立高校の学区撤廃について、9年前に学区撤廃した東京都の実態を示し、「『学校選択の幅が広がる』どころか、行きたいところに行けなくなってしまう」と指摘し、「すべきでない」と主張。東京都では、高校進学率が96%から89%へと下がり、「行きたい学校に行けなくなった」、「学校が序列化され、行ける学校にも通学費が高く通えない」などの声があるといいます。
3年連続定員割れの高校を統廃合する問題について、くち原府議は定員割れ高校で6クラス募集のところ、教員のやりくりで7クラスにして少人数学級を行い、中退を減らすなどの努力をしていることを紹介し、「困難な学校ほど教員体制を手厚くし、少人数学級などを実施すべきだ」と迫りました。
すべきことに逆行する条例
くち原府議は、教員の病休の代替が配置されなかったり、新年度に配置されるべき教員がいないなどで、「教育に穴があく」問題を取り上げ、「正規雇用を増やすことが求められている」と指摘。府の今年度の教員採用試験の合格者2292人の内、辞退者が284人と12・4%に上る一方、京都府では辞退者がわずか23人(4・1%)であることも紹介したくち原府議は、「この4年間で給料を下げ、思想・信条の自由を踏みにじる条例を制定し、今また子どもたちの教育をゆがめ、教員をクビにする条例を提案するなど、やるべきことに逆行している」と批判しました。
また、松井知事提案の「職員基本条例案」で、教員が卒業式などでの君が代斉唱時に起立しないことが3回あれば免職するのか質問しましたが、理事者側はまともに答えませんでした。
維新の会の中野隆司府議は、卒業式での君が代斉唱時に起立しなかった教員について、「もう議論は終えて、条例を手直しし、即座に解雇するぐらいの強い態度を示すべき」と主張しました。(2012年3月18日付け「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2012年03月16日