橋下大阪市長の「思想調査」は現代版「踏み絵」 民主主義の根幹に関わる問題=@共産党・山下参院議員が参院予算委でただす 野田首相も憲法違反否定せず
日本共産党の山下芳生参院議員は13日の参院予算委員会で質問に立ち、橋下徹大阪市長による全職員を対象にした「思想調査」について、「憲法と日本の民主主義の根幹に関わる問題だ」として野田佳彦首相をただすとともに、収集データの即時廃棄、職員と社会に対して橋下市長が謝罪するよう主張しました。
市長の責任で調査の中止を
山下議員は、憲法19条が保障する「思想及び良心の自由」は戦前の深い反省の上に明記された重要な条項だと指摘。大阪市の「思想調査」は、組合活動への参加や特定の政治家の応援など、個々人の思想や心の中にまで踏み込む調査項目が多く含まれ、橋下市長の業務命令として全職員に強制し、正確に回答しなければ処分の対象になっていると述べました。
山下議員は、大阪市の幹部職員と労働組合の一部には正すべき問題があり、同党市議団も、市長選での「市役所ぐるみ選挙」や特定団体と一体となった不公正乱脈な同和行政、「ヤミ年金」問題を厳しく追及してきたと紹介。「だからといって、すべての職員の思想や考え、心の中まで市長が業務命令と処分で強制的に調査することはあってはならない」と強調。府労働委員会の勧告(2月22日)も、組合への不当な支配介入の恐れがある項目が含まれているとして、調査の「凍結」ではなく、橋下市長の責任で中止するよう求めていることを示しました。
違憲の命令は絶対許せない
山下議員は、今回の調査では特定の政治家を応援する活動への参加について、自分の意思なのか、組合から誘われたのか、組合以外の者から誘われたのか、あるいは参加していないのかという選択肢で回答させる仕組みになっていることを示し、「見る人が見れば、回答した職員がどの政党や政治家を支持しているか、政治にどの程度関心があるかが全部分かってしまう。まさに『思想調査』そのもの。こういう調査を、公権力を使ってやることが許させるか。地方自治体の首長でも憲法や法令に抵触する職務命令は出せないのではないか」と迫りました。
川端達夫総務相は「地方公務員法32条は、職員の職務遂行義務を課しているが、職務命令は適法でなければならないのは当然」と答弁。山下議員は「憲法が保障する思想・良心の自由を踏みにじる『思想調査』など、誰であっても許されない」ときっぱり語りました。
市民監視する秘密警察≠ノ
山下議員は、思想・良心の自由には、言いたくないことは言わない自由=「沈黙の自由」も含まれるが、橋下市長の「思想調査」にはそれがないと指摘。職員は職場のパソコンで回答を入力するが、答えたくない項目を飛ばすと次に進めず、回答を強制される仕組みになっており、「心の中が回答すればするほど、あぶり出される、まさに現代の踏み絵だ」と批判しました。
さらに山下議員は、特定の政治家を応援する活動に「誘った人」の名前も回答するよう強制していることについて、「大阪市役所の職員に声を掛けた市民の氏名を報告せよというもの。一般市民・国民が演説会に誰を誘っても、投票依頼をしても自由。それを3万数千人の大阪市職員を通じて報告させ、監視する網の目を張り巡らせようとしている。本来市民の福祉のための組織である市役所が、市民を監視する秘密警察のような組織に変質させられてしまう」と力説しました。
内心の自由は規制できない
野田首相は、憲法19条について「内心について国や地方公共団体が制限・禁止することは許されない。憲法に保障された基本的人権は大変重要なもの」と答弁しました。
橋下市長の「思想調査」については「個別の地方公共団体の事案」と答弁を避けましたが、憲法19条に抵触することについては否定できませんでした。
大いに勇気もらった℃R下議員の質問に反響
山下議員の質問をNHKテレビの国会中継で見た、大阪市平野区に住む年金生活者の男性は、日本共産党の近畿ブロック事務所に電話を掛け、「山下さんの質問で、(「思想調査」問題を)国民が知るところになり、大いに勇気をもらった」と強調。「橋下市長のファッショ的なやり方に、誰かが何かを言わなければと思っていた。息子や孫の時代を暗黒の世の中にするわけにはいかない。山下さんの質問に身震いするくらい神経が高まった」と述べました。
さらに男性は、橋下「改革」で大阪市営バスや赤バスがなくなるのではないかと不安を語り、「あなた方を見ている人がいる。頑張ってください。いざとなったら共産党だと思っている。何かで応援したい」とも話しました。(2012年3月18日付け「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2012年03月17日