若さと行動力、論戦力で 参院大阪選挙区 たつみコータロー(35)さん
来年の参議院選挙で、日本共産党から大阪選挙区に立候補することを表明した、たつみコータローさん。若さとエネルギッシュな行動力、論戦力で国政に挑むたつみさんに、出馬への思いなどを聞きました。
自分自身のすべて注ぐ
―出馬を決意したいまの思いは
たつみ この選挙区は1973年の沓脱タケ子さんの補欠選挙から、橋本敦さん、吉井英勝さん、山下芳生さん、宮本岳志さんといった、そうそうたる顔ぶれが議席を獲得してきた選挙区。責任の重さを感じています。
いま、自民党と民主党の2党を合わせても支持率が25%に満たない。共産党の役割は非常に重いものがあります。特に大阪選挙区は維新の会との対決を意識せざるを得ない。憲法9条を敵視し、教育と公務労働に関わる条例を制定、また思想調査など民主主義を壊す勢力との対決ができるのは共産党しかいません。そこへ青年政治家・たつみコータローの全てを注ぎ込むという気持ちです。
自宅が相談所
―子ども時代のことを教えてください
たつみ 父親(辰巳正夫さん)が西淀川区選出の大阪市会議員を7期28年していたので、家には電話が5台、トイレにまで電話がついていました。事務所を持たずに自宅マンションが相談事務所で、道路からよく見えるベランダに「辰巳正夫相談所」の大きな看板がありました。電話と訪問者がひっきりなしにあり、政治家というよりも、どんな相談でも受ける「なんでも屋」だと思っていました。
アメリカに行って、2年間はテネシー州に、残り2年間はマスコミや映画、テレビ関係の学科があったボストンのエマーソン大学に編入しました。母が小さいころからよく映画に連れて行ってくれたので映画が好きだったんです。帰国してからは映像製作会社に入りました。それが2001年でした。
ただ一紙「侵略反対」
―共産党へ入党したいきさつは
たつみ 当時、兄が国連のボランティアでコソボに赴任していました。その兄からセルビア人の高校生を日本に招待したいと話があり、プロジェクトの事務局長になるため会社を辞めました。渡航費など200万円以上の資金を集め、僕の母校の子どもたちと交流したり広島の原爆資料館などへも行きました。そのとき、9・11アメリカ同時多発テロが起きたんです。
飛行機がビルにぶつかる場面がテレビに映ると、セルビア人たちは拍手喝采でした。なぜなら母国がアメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO)軍に空爆された歴史があるからです。僕は「武力は憎しみの連鎖しか生まない」と実感しました。
理解が尊敬へ
その後、米軍のアフガニスタンへの侵攻が始まりました。全ての新聞が「侵攻」という表現でしたが、しんぶん赤旗だけが「侵略反対」と書きました。世論調査でも「テロがあったのだから仕方がない」という意見が多かったときに、「テロは犯罪だが、戦争ではなく警察力で解決すべき」という論陣を堂々と張っていたことで、共産党への入党を決意したんです。
それまでも共産党への理解はありましたが、それが尊敬に変わりました。
02年に入党して03年のいっせい地方選挙で、党の議席がなかった此花区から府議選に出馬しました。投票日の3週間ぐらい前に出馬表明して、オール与党相乗りの社民党現職が約1万5496票、僕が1万559票と、新人にしてはかなり迫ることができました。
2度目の選挙では、自公相乗り候補を457票差までに追い詰めました。
生活できない
―現在の活動について教えてください
たつみ 選挙の後、此花区生健会の事務局に入り、貧困と格差の問題に直に触れることになりました。家賃を滞納して追い出されホームレスになったという相談や、最近は少なくなりましたが多重債務も。孤独死の問題も深刻で、身寄りのいない高齢者が認知症になり家賃を払わず追い出され、「80歳の男性がホームレスになっている」といった通報があるんです。一緒に家を探して諸手続きをするなどということが増えてきました。
離婚後の生活相談も多い。離婚原因で一番多いのは夫の収入が不安定というケース。此花区は日雇い労働者が多いのですが、子どもに食べさせてやれないとなると、夫婦の間もギクシャクし始める。相談者の中には本当に食べていない、ガリガリに痩せて来る人もいます。
なぜ大阪は生活保護受給者が多いのかは、失業率を見れば一目瞭然です。不正受給が多いからではありません。40歳を過ぎると仕事はないんですね。ずっと水道工事をやってきた人が別の仕事を探すのは難しい。そこを大阪市は、とにかく働けと言う。
生活保護を受けてからうつ病になる人はすごく多いんです。女性に多いのは介護ヘルパーの資格をとっても仕事が少ない。それなのに市はもっと給料のいいところで働けと。途方に暮れてしまうのです。
貧困打開は政治の役割
―日本経済のどこが問題ですか
たつみ 日本の政治はアメリカべったり、大企業優遇と言われています。しかし雇用の7割、企業数の99%を占めている中小企業が元気にならないと景気は良くなりません。政治にそういう視点が欠けていると思います。海外では下請け企業と親会社との取引適正化が法整備されているのに、日本は法律はあっても実行されていない。
軍事的脅威に対しても憲法9条を持って対話できるのは日本しかないわけです。東アジアの一員としての自覚を持って、どの国とも対等に付き合う。それができないから日本は信頼されないのではないでしょうか。
―訴えたいことは
たつみ いま、若者は不景気の影響をもろに受けています。学校を卒業しても就職できない、労働条件が悪い、暮らしに困っている。若者は仕事が終わって家に帰ったらヘトヘトで寝るだけ、本を読む時間もない。社会のことを学ぶ気力は残っていません。共産党の候補者として、貧困は個人の責任ではなく政治がもたらしているものだということに気付いてもらえるような論陣を張りたい。
また、参議院選挙の前にある総選挙での日本共産党勝利、野田政権が「一体改革」の名で進めようとしている消費税増税の絶対阻止に全力を挙げます。
1976年、大阪市西淀川区出身。米エマーソン大学映画学科卒。此花区生健会事務局次長、全大阪生活と健康を守る会連合会常任理事。コソボ高校生の日本招聘プロジェクト事務局長、此花博愛会理事、ラジオ派遣村村長代理など歴任。03、07、11年の府会議員選挙・此花区に連続立候補。
(2012年4月1付「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2012年04月01日