>>>ひとつ前のページへトップページへ

撤廃、廃案へ.たたかいさらに 府議会で2条例強行可決 大阪市議会は継続審議 府議会 提案からわずか半年余 教育内容に知事が介入

2012年04月01日

 松井一郎知事が提案した「教育行政基本条例案」と「府立学校条例案」、「職員基本条例案」が3月23日の府議会本会議で可決・成立しました。「審議が十分尽くされていない」と継続審議を主張した日本共産党と民主党は反対しましたが、維新の会と自民、公明などが採決を強行。同日、2条例の制定を許さない大阪連絡会は京橋駅頭で撤回を求めて宣伝を行い、各団体が抗議声明を発表しました。大阪市議会では、橋下徹市長が提出した「大阪市教育行政基本条例案」「大阪市立学校活性化条例案」と、「大阪市職員基本条例案」が継続審議となりました。

 教育2条例は、維新の会が「教育基本条例案」を9月に提案してからわずか半年余りでの成立。「学区撤廃」や知事が教育目標を設定するなど、子どもたちや保護者をいっそう競争教育に追い立てるものです。松井知事は教育2条例について、維新の会が提案し今議会中に取り下げた条例案と「理念は変わらない」と述べています。  「教育行政基本条例」では、「教育振興基本計画」を知事が教育委員会と協議し、意見がまとまらない場合でも、知事提案に教育委員会の意見を付して議会に提出できるとし、教育委員の罷免権を知事に与えています。

東京都では弊害見直しが始まる

 「府立学校条例」は、2014年度から府立高校の学区撤廃、3年連続定員割れ校を統廃合の対象とするもの。知事は学区撤廃により「学校選択の幅が広がる」と強弁しますが、10年前に学区が撤廃された東京都などでは、子どもたちは成績別に進学できる学校が決まり、高額な通学費に苦しむなどの弊害によって見直しが始まっています。
 「職員基本条例」は教員を除く職員の人事評価を現行の絶対評価から5段階の相対評価とし、下位5%の最低評価が2年続き、研修で「改善の見込みがない」と判断されれば分限免職の対象に。職務命令に5回違反(同一命令は3回)した職員も分限免職の対象とし、「君が代」斉唱時に起立しなかった教員への対応を強めています。
 維新の会は議会の中で、少人数学級について「きめ細やかな授業ができるというのは疑問」などと述べ、工科高校や農芸高校などを除く全日制高校113校を、70校にまで削減することを主張。府立学校の卒業式での「君が代」斉唱時に起立しなかった教員は「即時解雇する条例制定を」と迫りました。

条例案をめぐるたたかいの広がり

 同条例をめぐっては、昨年9月、「維新の会」が各議会に提案して以降、短期間に21万人以上の反対署名が集められ、弁護士会や全国著名10氏らも反対声明を発表。大阪市議会、堺市議会では昨年末、「維新の会」提案の2条例案を否決。2月府議会では、「維新の会」提案の2条例案を取り下げざるを得ず、知事提案の条例案でも教職員の人事評価への相対評価導入は「適用除外」に。3月大阪市議会では、橋下市長提案の条例案が「継続審議」になりました。

2条例連絡会が抗議宣伝

 2条例の制定を許さない大阪連絡会は3月23日夕、京橋駅前で抗議宣伝を行いました。
 全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎事務局長は、同条例に盛り込まれた「学校選択制」は、学校を選べるのは裕福な家庭の子に限られるとし、「最も深刻な被害を受けるのは低所得家庭の子どもたち」だと指摘。新日本婦人の会府本部の沖野純子副会長は、行き過ぎた競争教育が子どもたちの成長・発達をゆがめている現状を紹介。「今必要なのは30人学級などの教育条件の改善だ」とし、条例撤回を求めて運動を広げようと呼び掛けました。
 大阪教職員組合の末光章浩副委員長は、府立高卒業式で起きた「君が代」斉唱の口元チェックや、大阪市職員への「思想調査」問題を「民主主義の国で許されない憲法違反の事態だ」と批判。子どもたちの成長・発達を保障する教育を守るために全力を挙げてたたかい続けると語りました。
 通り掛かった女性(65)は、「職員アンケートのニュースを聞いて怖くなった。上司に気に入られる職員をつくるだけ。子どものことを真剣に考える先生がいなくなるのでは」と話していました。

各団体が抗議声明
憲法、府民との矛盾広がる

 府議会での条例強行可決に対し、2条例制定を許さない連絡会など各団体が抗議声明を発表しました。
 日本共産党大阪府委員会の柳利昭書記長は、この間のたたかいの広がりに加え、府議会論戦でも条例案が、子どもたちに過度の競争を持ち込み、教育現場を荒廃させるなど重大な問題点が浮き彫りになったと指摘。「府議会での可決・強行は重大だが憲法との矛盾、府民との矛盾はさらに広がらざるを得ない」とし、市議会で廃案にするための活動を広げるとともに、府議会で強行された条例については、条例の発動を許さず、撤廃のための新たなたたかいに臨むとし、「こうしたたたかいと一体に、“30人学級”の実現など、過度の競争を排し、一人一人に行き届いた教育を実現すること、学校現場と教職員の自由の確保など、大阪の教育の民主的改革めざす府民的合意と運動を進めるために総力を挙げる」と述べています。
(2012年4月1付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年04月01日

トップページへ ひとつ前のページへ ページ最上部へ
ご意見・ご要望はこちらから