大都市制度推進協議会 大阪都で新たな大開発大阪再生≠フ保証なし 日本共産党・山中市議が主張
橋下徹大阪市長と松井一郎知事が「大阪都構想」づくりの舞台とする「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」の第3回会合が15日開かれ、両首長が5月に共同提案した「大阪にふさわしい大都市制度大阪都=vに対して、公明党を除く各党代表が意見を述べました。
「広域自治体」のリーダー1人に
橋下大阪市長と松井知事の共同提案は、大阪経済の低迷の原因について「府市の枠組みにとらわれ有効な戦略、政策を打てなかった」からだとして、既存の大都市制度の枠を超えた「府市再編」を行い、「新たな広域自治体=大阪都」と「基礎自治体=新たな特別自治区」との「役割分担」を明記。「リーダーが1人」の「大阪都」で「世界的な都市間競争に打ち勝つ『強い大阪』」を実現するために、交通インフラの整備などに「投資の選択と集中」を図り、「基礎自治体」で住民に身近なサービスを行うなどとしています。
府市の戦略には大きな差異なし
日本共産党の山中智子大阪市議はまず、大阪経済の低迷には「東京一極集中」の進展や、90年代に不要不急の大型公共事業に投資が偏った結果、市民の暮らしを豊かにすることに結び付かず、いまもその負の遺産に苦しめられていると指摘。橋下市長や松井知事が「府市の枠組みにとらわれて、統一戦略を欠いていた」とするが、府市の「成長戦略」には大きな差異はなく、同じ方向を向いていたと述べました。
山中議員は「大阪都」は、淀川左岸線延伸部やなにわ筋線などに「集中投資」するためのものではないかと指摘。「いま以上にインフラ整備を進めても、大阪が再生し、企業の集積が進む保証はどこにもない。経済が良くならないのではないか。つまるところ政治の中身、政策選択の中身の問題だ」と主張しました。
地方への責任を国が果たすべき
その上で山中議員は、現行の大都市制度は、大都市が抱える様々な行政需要に応えるものになっていない中で、国・府からの権限・税源の委譲を進め、大都市税財源の拡充を図るべきだと強調。国直轄事業負担金の廃止や、ナショナルミニマムである生活保護費の全額国庫負担化、国民健康保険の国庫負担の引き上げなど、地方に対する国の責任を果たさせることが必要だと述べました。
税財源の拡充と住民自治前身を
住民自治の前進について山中議員は、区役所機能の強化と都市内分権の本格的取り組みを一体的に進めることを提案。例えば各区の施設の改廃は区民の意見を聞くなど、市民意見を反映する公式機関を設けることが必要だと述べました。議会改革でも、陳情・請願者が意見陳述できるようにすることなどを挙げ、「これらが喫緊の課題であり、『統治機構』を変えることではない。政令市の改善型≠アそが、いまの大阪に求められている」と発言しました。
「最終ゴールは関西州」
橋下市長が首長提案で説明
国の役割を外交・防衛等に重点化
橋下市長は第3回会合で、首長提案の追加資料として「道州制」「大阪市以外の市町村のあり方について」を説明し、「『大阪都』は統治機構を変え、関西州(道州制)を目指す一里塚」と強調しました。提出資料で「国の役割を外交、防衛等に重点化し、地方分権を進めた最終ゴールが関西州」と明記。「道州制はこれまでいろんな政治家・有識者が語ってきたが、唱えているだけでは実現できない」と述べました。
橋下市長は「大阪都」構想で広域自治体と基礎自治体を大阪府域でまず整理し、「これを発展させて『大阪都』の部分を関西に広げて、関西州にもっていく」「『大阪都』も関西に広げて発展的に解消する。関西州になるなら『大阪都』は不要」と主張。「自民党、公明党は道州制を中心命題として掲げているが、口だけではなく、本気で道州制を目指す行動が必要。国が動かないなら関西から本気で動かす」と語りました。
大阪市以外の市町村について橋下市長は、「中核市並みの権限のある基礎自治体」に向けた市町村合併が一つの選択肢だとすると同時に、「自治体の自主性を尊重し、合併しない場合は広域連携を」と発言。「このような形で道州制を目指す。議論ではなく実践の段階だ」としました。
橋下市長・松井知事・浅田会長
都構想へ強引な姿勢
「都構想」で再生――維新の会
首長提案に対し維新の会の大橋一功府議は、「『大阪都』で指揮命令系統を一つに。交通インフラ、産業施策で成長戦略を推進する」と発言。首長提案に具体的な区割り案がないという批判に対して、「区割り案がなくても検討は可能。『大阪都』構想目指して大阪の再生に取り組む」としました。
国の制度で低迷――自民党
自民党の花谷光愉府議は「大阪の成長のために広域行政の一元化、二重行政の解消が必要だが、まず現行制度で可能な改革を徹底すべき」として、府・大阪市・堺市の首長と議会代表で構成する「大阪広域戦略協議会」の設置を提案。「経済低迷は国の制度や政策によるもので、府市の関係や大都市制度の問題は大きな要因ではない」として、成長阻害要因について検証すべきだとしました。
地方分権に逆行――民主党
民主党の中村哲之助府議は、「ダブル選で同じ価値観の両トップが誕生し、(府市で)協議不能な状況は解消され、府市統合本部もある。制度化を急ぐ必要があるのか」と指摘。「『大阪都構想』は基礎自治体の権限を限定する不完全な自治体であり、分権に逆行する集権化だ」と批判しました。
検証目的でない――浅田会長
これに対して協議会会長の浅田均府議会議長(維新の会)は、「(阻害要因の)検証自体が協議会の目的ではない」「全否定するなら対案を出すべき」と発言。松井知事も「後ろ向きの全力疾走の意見」として、自民党の「大阪広域戦略協議会」について「決定できるプロセスが示されていない」と述べました。
橋下知事も「新しい『大阪都』をつくるのに、問題点ばかり検証してはだめ」「僕らが問題にしているのは意思決定のプロセス」と、「大阪都」づくりを強引に進める姿勢をあらわにしました。(2012年6月24日付け「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2012年06月24日