>>>ひとつ前のページへトップページへ

オスプレイ配備絶対に阻止する 岩国緊急集会1100人「満身の怒り」込め 大阪からも団体・個人で参加

2012年07月28日

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が、激しい抗議の中、23日に米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げされました。前日の22日には、岩国市役所前の公園でオスプレイ配備反対の緊急集会(同実行委員会)が開かれ、大阪など関西をはじめ東京、中国、四国など全国から参加した1100人が「満身の怒り」を込めて抗議。日本全国で低空飛行訓練が計画されているだけに、日米安保を盾にした国民の頭越しの「欠陥機」配備強行に、怒りが広がっています。(前川奈緒記者)

 同機はオートローテーション機能に欠陥があるとされ、ことし4月、6月にも墜落。日米両政府は「安全上、問題はない」として、先行配備を強行し、10月にも普天間基地(沖縄県宜野湾市)に本格配備する計画です。
 集会の冒頭、「住民投票を力にする会」代表の吉岡光則実行委員長は、「強行されても飛べない状況をつくろう」と呼び掛け。米軍機の低空飛行訓練の現状について、中国、四国地方の代表が報告し、「アメリカにオスプレイを持ち帰らせるまで頑張ろう」と共闘を訴えました。
 沖縄県東村高江からは、ヘリパッド建設反対の座り込みを続ける安次嶺現達さん(53)と、比嘉真人さんらが参加=写真左。現地では、オスプレイ着陸パッドへの変更を受けて、今月10日から夜間や早朝を狙って工事が強行されています。
 「いまでも昼夜問わずヘリが飛びまくっているのに、オスプレイがくれば生活できなくなる。日米安保を盾にごり押しするとは、人の命を何だと思っているのか」と比嘉さん。
 安次嶺さんも、「間違いなく落ちるような欠陥機の配備を、絶対に許してはいけない。日本政府に殺されるようなものだ。沖縄と岩国と連動して、オスプレイ反対の声を全国に発信していきたい」。
 高槻市から個人で参加した杉岡啓子さん(62)は、2年前に高江の座り込みに1カ月参加。「当時は防衛局も穏やかだったけど、いまはひどい」と、手製の裂き織り横断幕でアピール。
 広島市内からはバス2台で約80人が駆け付けました。「いてもたってもいられなくて」と話すのは辻井敏子さん(79)。新日本婦人の会の代表として、オスプレイ配備撤回の署名を持参しました。「アメリカに文句をよう言わん日本政府は腰抜けよ。伊方原発もあるし、ひとごとではない。のろしを上げなくちゃ」
 岡山県倉敷市からもマイクロバスで20人が参加。むしろ旗に「オスプレイNO!」のスプレー文字が目立ちます。三宅孝士さん(65)は、「岩国だけではなく全国の問題」と話します。
 岩国基地近くに住む堀江弘子さん(32)は、2歳の息子と夫の3人で参加。「地域経済や雇用のことを考えると複雑だけど、オスプレイはやっぱり嫌。日本政府はアメリカ言いなりですね」
 同市由宇町に住む喜良紗也香(20)さんは、舞台の上から訴えました。
 「ニュースを見ても失敗の例しかないような飛行機は、どの地域でも嫌です。犠牲になるのは市民、国民です。戦争の道具を、私たちのすぐ側に置くのは嫌。私は、基地のない平和な岩国を望みます」
 集会では、配備計画の撤回と低空飛行訓練の中止、日米安保体制の見直しを求める集会アピールを採択。オスプレイの写真に赤いバツ印を書いた紙を空に掲げ、意思表示しました。
 日本共産党から、オスプレイ配備反対闘争本部本部長代理の井上哲士参院議員、前田政明沖縄県議らが参加し、配備を許さないたたかいと、日米安保廃棄を掲げて奮闘する決意を表明しました。
 陸揚げされた23日には、市民らが海上や岸壁、基地周辺の堤防などで、「人間の鎖」や抗議行動を展開。二井関成山口県知事、福田良彦岩国市長、仲井真弘多沖縄県知事、佐喜真淳宜野湾市長など関係自治体の首長も、一斉に抗議の声を上げました。


ことば
MV22オスプレイ】
 米海兵隊が持つ新型輸送機(空軍はCV22)。主翼両端に2つの回転翼を備え、角度を変えてヘリコプターのような垂直離着陸と固定翼機並みの高速飛行が可能。米ベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル社(当時)が共同開発。試作段階から事故(表)が多発するも05年に量産決定。07年のイラク戦争で実践投入。オートローテーション(飛行中にエンジンが停止した場合、主翼を自動回転させ安全に着地する機能)機能の欠陥が指摘されている。

事故5年間で58件

 MV22オスプレイの事故件数が、06年11月から5年間で30件に上っています(米海兵隊集計)。死者が出るなど大規模事故のクラスAが2件、クラスB(50万j以上200万j未満の損害、一部永久的な障害が残るけが人が発生)6件、クラスC(5万j以上50万j未満の損害、致命的でないけが人が発生)が最も多く22件。事故の内容はエンジン関係のトラブルが多いとされ、空軍のCV22も含めると58件に上ります。
 開発に携わった米国防分析研究所の主任分析官レックス・リボロ氏(当時)は、03年の報告書で墜落の危険性を「構造上の問題」と指摘。オートローテーション機能も、安全に着陸できる能力はないとしています。米政府監査院(GAO)の報告書(09年5月)でも、ヘリコプターモードでVRS(回転する翼の端が空気の渦に入り揚力を失った状態)に陥った場合、他の回転翼機に比べ墜落の可能性が高いことを示唆。米軍ガイドブックでも「オートローテーションに頼らない」と明記しています。


(2012年7月29日付「大阪民主新報」より)

投稿者 jcposaka : 2012年07月28日

トップページへ ひとつ前のページへ ページ最上部へ
ご意見・ご要望はこちらから