橋下市長「少しの我慢」と言うが. 3年間で399億円削減 もう限界 「市政改革プラン(案)」 暮らし破壊・大阪市潰し
大阪市は6月27日、「市政改革プラン(案)」をまとめ、同29日にはそれに基づく7月補正予算案を出しました。4月の「PT試案」、5月の「素案」に対し、施策の切り捨てや施設の廃止に反対する市民の声が高まっていますが、今回の最終案は「素案」のごく一部を修正しただけ。橋下徹市長が昨年12月に就任して半年余。問答無用で暮らし破壊と大阪市解体に暴走する橋下「改革」の正体がいよいよあらわになっています。(2面に「市政改革プラン(案)」による主な施策の廃止・削減一覧を掲載)
「案」による市民施策の削減額は今後3年間で399億円。「素案」の488億円から約90億円減りましたが、ほんの一部の手直しを除けば、市民各層すべてに負担増を押し付ける「素案」の内容そのままになっています。
国民健康保険(国保)料の市独自3割減免は「素案」で廃止だったのを「当面継続」としましたが、上下水道料金福祉措置は廃止時期を半年間先送りしただけ。大阪市音楽団も廃止時期を13年度から14年度に先送り。大阪フィルハーモニー協会への運営補助は削減率を25%から10%としましたが、文楽協会は25%削減のままです。
生活実態おかまいなし
新婚世帯家賃補助制度の廃止は変わらず、分譲住宅購入者にローンの利子補給を行う制度をつくるとしています。完全無料だった敬老パスはあくまで有料化で、13年度から年間3千円の自己負担を導入。その上、14年8月からはバスや地下鉄に乗ると1回50円を徴収するとしています。「高齢者に少し我慢していただく」(橋下市長)と言いますが、いずれも所得に関係なく一律に負担を求めるもので、高齢者の生活実態などおかまいなしです。
市の施設では、「素案」でスポーツセンターを24カ所から9カ所に削減するとしていたのを18カ所にしただけで、クレオ大阪(男女共同参画センター)5館全廃、屋内プール削減、市民交流センター廃止などは「素案」と同じ。「大阪都構想」実現に向けた大阪市解体が前提です。
福祉・暮らしを予算の主役に
対案示し撤回を要求
日本共産党
「素案」に対するパブリックコメントは5月11日から29日まで18日間。パブリックコメントは通常1カ月ですが、「補正予算編成から逆算すると5月29日がリミット」(市政改革室)と、橋下市長の「改革スピード」に無理やり合わせた不当に短いもの。6月27日の市戦略会議でも「案」についての説明・議論はわずか10分程度でした。
財源つくる4つの方向
日本共産党大阪府委員会は6月22日発表した提言「『大阪市政改革プラン』はどうあるべきか」で、暮らしと大阪経済が深刻な危機に直面しているときに、それに追い打ちをかける橋下市長の「市政改革」は許されないと撤回を要求。
「提言」では、橋下市長が「市政改革」の理由にしている「500億円収支不足」のごまかしを明らかにするとともに、@巨大開発の破たんや国の地方財政締め付けなど「財政危機」の根本にメスを入れる、A市民の福祉と暮らしを支えることを予算の「主役」に、B巨大開発頼み、大企業と外国企業依存の「成長戦略」の抜本的転換、C国の財政改革と大企業の社会的役割を迫ることと一体に財源をつくりだす――の4つの改革方向を打ち出しています。
「プラン(案)」に異議あり!
地域福祉が崩されかねない
大阪市港区の振興町会長
田村晴美さん
赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが安心して暮らせる生活の土台、地域福祉が崩されかねない事態です。婦人部をはじめ、誇りを持って町会活動を担ってきた人たちみんなが怒っています。
老人憩の家は、住む人たちの絆と地域コミュニティーを育む大切な場所です。その日常的な維持管理・運営費まで削ってしまうのは本当に許せません。
町会長として老人憩の家で開いている「ふれあい喫茶」や、月1回の食事会などのお世話を続けてきましたが、こうした行事は婦人部を中心としたボランティアらの献身で支えられてきたし、地域福祉を根底から支える活動として、誇りと喜びを持って取り組まれているのです。
近所の70代女性が、「いつも元気で楽しく暮らせるのは皆さんのおかげ。本当にありがとう」と声を掛けてくれました。数年前に夫を亡くし、いまは一人暮らしです。
何気ない会話や笑いが、どれほどお年寄りたちの“元気”になってきたか。この笑顔を守り、地域福祉の充実・発展のために、改革プラン許すなの声を広げていきたいと思います。
クレオ廃止は男女共同参画の後退に
大阪の男女共同施策をすすめる会呼び掛け人
女性のための街かど相談室ここ・からサロン共同代表
中野冬美さん
男女共同参画センター(クレオ大阪)の5館全廃は、男女共同施策を後退させるもので、絶対に許されません。
市は、センターで行われている相談事業を、区役所など身近な場所で行うことが効果的などとしていますが、認識不足としか言いようがありません。DV被害者などにとって身近な場所とは、加害者とつながりやすい大変危険な場所で、そのような所には相談に行けません。
センターが5館あることで、被害者は安心して選んで相談しに行けます。各館で行っている催しや、置かれている団体のチラシなどを通してエンパワーメント(力をつける)もできます。
「つぶさないで!クレオ・大阪の会」が作成した存続署名を私たちも集めてきましたが、日本全国からたくさん寄せられ、「男女共同参画センターで私は救われた」というコメントを付けてきた方もいました。
各センターで専門家がじっくり話を聞いている相談活動が、生活保護申請を受け付けない職員が評価される区役所などでやられたら、2次被害で傷つく人も出てくるかも知れません。
自治体の仕事は費用対効果で施策や施設をなくすことではないはず。なくすどころか増やすべき施設です。
全市民に総攻撃 怒りの声広げる先頭に
日本共産党大阪市議会議員団
山中智子幹事長
「大阪市市政改革プラン(素案)」に対しては、過去に例のない意見総数3万件近いパブリックコメントが寄せられ、その94%が「暮らしと地域をこわさないで」など、同素案に反対する声であったにもかかわらず、今回発表された「市政改革プラン(案)」で見直しが行われたのは、スポーツセンターの削減数、敬老パスの負担額などごくごくわずかであり、すべての市民と地域コミュニティへの総攻撃という姿は何ら変わりません。
「プラン(案)」発表に先立ち行われた委員会で、橋下市長は、パブリックコメントの受け止めについて問われ、「(パブリックコメントを)読んでおりません」「(報告を)詳細には聞いておりません」と吐き捨てるように答弁しました。必死の思いで意見をお寄せになった市民を踏みつけにする態度であり、絶対に許せません。
「プラン(案)」をめぐっては、7月議会が山場となります。橋下市長が耳を傾けざるを得なくなるところまで、怒りの声を大きく広げましょう。
議員団は、皆さんとご一緒に全力を尽くします。
投稿者 jcposaka : 2012年07月07日