大阪市議会7月臨時議会開会「市政改革プラン案」・政治的行為制限条例案 橋下大阪市長 暴走加速 あらゆる世代に負担
大阪市の7月臨時市議会が6日開会しました(7月27日閉会予定)。橋下徹市長は「市政改革プラン(案)」とそれを具体化した12年度補正予算案、市職員の政治活動を制限し違反者は原則懲戒免職とすることを盛り込んだ「職員の政治的行為の制限に関する条例案」や、「大阪市労使関係に関する条例案」などを提出しました。(6面に「職員の政治的行為の制限に関する条例案」全文、同条例案に対する山口勝利日本共産党府委員長の談話を掲載)
補正予算案は一般会計1489億円で、4月からの暫定予算と合わせた総額は1兆6652億円と23年度当初予算比で553億円(3・2%)の減となっています。「プラン(案)」のうち今年度から実施するものとして、地域コミュニティーづくり事業、老人憩いの家事業、市社会福祉協議会への交付金など31億円の削減を盛り込みました。新婚世帯向け家賃補助制度は廃止を前提に募集を停止しています。
小中7校のモデル校で小学校3年生以上の児童・生徒にタブレット型パソコンの整備(1億3千万円)、教員1人1台のパソコン整備(6億4千万円)、西成特区構想でバウチャー(利用券)方式による塾代助成などを計上。「現役世代への重点投資」がうたい文句ですが、「プラン案」では13年度以降、前年度市民税非課税世帯からの保育料徴収、ひとり親家庭などへの上下水道福祉措置の廃止など、子育て世代に痛みを押し付ける改悪を打ち出しています。
大阪フィルハーモニー協会、文楽協会への補助金も削減(計2400万円)。補助金削減をめぐり文楽協会側が技芸員(演者)との意見交換を非公開で行うよう求めたのに対し、橋下市長は「公開でなければ応じない」などとしています。
「職員の政治的行為の制限に関する条例案」は、大阪市職員が勤務時間内外を問わず、政党機関紙の配布、デモ行進や政治集会への参加や援助など条例の規定に「違反」すれば原則として懲戒処分にすると規定。憲法が保障する思想表現の自由、集会・結社・表現の自由を真っ向から踏みにじるものです。
「プラン案」撤回へ奮闘
共産党市議団が懇談会
臨時市議会開会を前に日本共産党大阪市議会議員団(北山良三団長)は5日、大阪市役所内で労働組合や民主団体などとの懇談会を開きました。
北山団長は「プラン(案)」が3年間で399億円の市民サービスを削減し、あらゆる世代に負担を強いるものだと強調。議会論戦とともに、広範な市民に呼び掛けて撤回を迫っていく決意を語りました。
井上浩政調会長が「プラン(案)」や補正予算案の内容や問題点を報告するとともに、「職員の政治的行為の制限に関する条例案」などの撤回に全力を挙げると表明。山中智子幹事長は、8月1日に就任する公募区長への権限移譲について「実際には区長に裁量権がない保育所運営費や男女共同参画施策が含まれているなど、いい加減な制度設計になっている」と批判しました。
参加者から「新婚家庭家賃補助制度を廃止し、利子補給制度を検討するというが、住宅政策を知らない素人がやるものだ」(大借連)、「クレオ大阪の廃止問題では、町会女性部からも怒りの声や反対運動への激励が寄せられている」(新婦人旭支部)、「赤バスの運営費補助を削減して存廃は区長の判断というが、ノウハウもない区長に何を委ねられるのか」などの意見や怒りの声が出ました。
休日でも集会・デモに参加したらクビ
憲法蹂躙の政治的行為制限条例案
橋下大阪市長は市議会開会日の6日、市職員の市民的政治的自由を制限し、違反者を懲戒免職するとした「職員の政治的行為の制限に関する条例案」を提出しました。
同条例案では、「職員の政治的行為の制限」により、「職員の政治的中立性を保障」するとし、禁止・制限する行為として、政党など政治団体の機関紙の編集・配布、(デモ)行進の企画・組織・指導することなど10項目を挙げています。このほか、集会などで拡声機などを利用して意見を述べることも、演劇の演出・主宰なども「政治的目的を有する」とみなされると禁止しています。
条例案は、禁止行為を行った職員は、「原則として懲戒処分として免職の処分をする」としています。
日本共産党大阪府委員会の山口勝利委員長は6日、同条例案についての談話を発表(6面に全文)。条例案が「憲法19条(思想良心の自由)、21条(集会・結社・表現の自由)を蹂躙(じゅうりん)することが明白」だと指摘。「日本国憲法の下で到底許されるものではありません」と述べ、「市議会内外での論戦とたたかいで断固葬り去る」としています。
豊かな芸術活動を制限
政治的行為制限条例案
演劇人400人が反対アピール
わかぎゑふさんも
石原燃(劇作家)、岩崎正裕(劇作家・演出家)、くるみざわしん(劇作家)、わかぎゑふ(劇作家・演出家)、河東けい(俳優)の各氏はじめ大阪を中心に活動する400人の演劇人が連名で、政治的行為制限条例案に反対する緊急アピールをこのほど発表しました。
条例案では、「政治目的を有する演劇を演出もしくは主宰し、またはこれらの行為を援助すること」と明記し、違反職員は懲戒免職等に処するとしています。
アピールでは「あらゆる芸術活動において、個人の思想・信条・体験に基づいて広く深く社会に訴えようとする作品を作ろうと思えば」「政治的要素が含まれ」るとし、条例案は「大阪市職員の思想・精神を破壊するものであり、このような内容の条例が施行されれば、大阪市全体の思想・精神に壊滅的な影響を与える」「地方公務員の私的な政治的行為は、憲法の保障する通り、あらゆる自由な活動を保障されなければなりません」とし、市に対し、豊かな芸術活動を奉仕推奨する政策を要望しています。(2012年7月15日付「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2012年07月14日