退職強要許すな 電機大手が13万人の大リストラ 大阪労連など実行委結成
“大企業は雇用と地域経済守る社会的責任を果たせ!”――円高やアジア勢の台頭で経営危機にあるなどとし、電機・情報関連企業が13万人規模の大リストラを計画し強行。これに対し大阪労連(全大阪労働組合総連合)や電機・情報ユニオン、日本共産党大阪府委員会などは10月17日、「電機等大企業のリストラから雇用と地域経済を守る実行委員会」を発足させました。パナソニック、シャープ、IBM、NECなど府内で進むリストラ計画から労働者・家族の暮らしと地域経済を守り、財界主導の労働法制改悪を許さず、当たり前の働くルールが守られる社会実現を目指します。
実態は指名解雇 組合も合意
「会社に君のいる場所はありません」「お願いだから退職して下さい」…。経営危機にあるとして一部事業売却や従業員削減を進める電機メーカー・シャープでいま、こんな言葉で希望退職に応じるよう個人面談が続けられていると、複数の男性社員が打ち明けます。
再就職支援の会社と提携も
液晶テレビの不振にあえぐ同社は営業黒字化を目指すとし、8月以降に国内外で1万人規模の「大リストラ」を実行すると発表しました。
労働組合も「組合員の“雇用確保”のために会社再生が不可欠。会社復活に向けて従業員全員が主体的に取り組む」と計画に合意。12月15日を退職日とする国内2千人の希望退職達成に向け、現在、対象者の個人面談が続けられています。これには再就職支援会社の社員が同席することもあると言います。
男性社員は、「“希望退職”なんて名ばかりで、実態は指名解雇そのもの。酷いやり方にぞっとする思いです」。
シャープ本社勤務だった男性社員は、企画業務から他県の関連工場へ営業職として配置転換。ある女性社員は慣れない業務への異動を嫌がると「製造現場へ回す」と言われました。
この1年でグループ従業員を3万6千人削減したパナソニックも、引き続き大リストラを進行中。「まだ若い。他の会社で頑張ってみてはどうか」と退職勧奨を受けたという、本社勤務の男性が語ります。「こんなやり方では日本の大企業は本当に駄目になってしまうのではないか」
労働者犠牲で大もうけ
大リストラは必要ない
17日、大阪労連などが呼び掛けて発足した同実行委員会。労組や政党関係者らを集めた会合のあいさつで、大阪労連の川辺和宏議長は、「電機各社は2008年のリーマン・ショック後、労働者削減と賃下げ、下請けたたきで利益をため込んできた。労働者を使い捨てにして利益追求に走る大企業の身勝手を許してはならない」と発言。宮武正次副議長は、主要電機メーカーは内部留保を09年比160%の26兆円に積み上げているとし、「労働者犠牲の経営のゆがみが、国内需要の冷え込みを招く悪循環を招いた。リストラ効果でV字回復を果たしてきた大企業に、雇用と地域経済を守る社会的責任を果たさせ、働くルールの確立と日本経済の健全な発展を目指したい」と述べました。
日本共産党府委員会労働部の柴田外志明さんは、巨額ため込みを続ける大企業の経営実態と、決算におけるリストラ経費前倒しや税金処理などに触れ、「赤字決算はつくられたもの。体力は十分にあり大リストラは必要ない」と強調。シャープやパナソニックの労働者から日本共産党へ相談が相次いでいることに触れ、「雇用と地域経済を守るため、職場、地域のたたかいに連帯し、取り組みを強めたい」と述べました。
日本共産党が国会でも追及
日本共産党の田村智子参院議員は8月、NECの1万人リストラ計画をめぐり、同社が従業員への執拗な面談で退職を迫っている実態を告発。電機各社の実態調査を政府に要求。山下芳生参院議員も22日、厚生労働省担当者に、大阪府内で起きている退職強要の実態などを示し、改善を図るよう要請しました。
希望は名ばかり 違法な退職強要
仲間や市民と共にたたかい広げたい
実行委員会事務局長 西野健一さん
“あなたの仕事はもうない”“まだ若いから他の会社で頑張れ”と言い放つ例など、希望退職を口実としていても、実際は人権を侵害する違法な退職強要です。
日本の電機産業の破綻は、米国型の新自由主義経営を取り入れ、労働者と取引業者を犠牲にするリストラと、生産拠点の海外移転で国内産業空洞化、技術衰退を招いた結果です。
財界・大企業の身勝手な大リストラは、労働者の暮らしだけでなく地域経済にも深刻な影響をもたらします。職場の仲間や市民と共に、電機大リストラを許さないたたかいを大いに広げていきたいと思います。
(2012年10月28日付「大阪民主新報」)
投稿者 jcposaka : 2012年10月27日