府政の実態から考える橋下・維新の反動性B 日本共産党大阪府議会議員団.宮原威
大企業呼び込みの大失政への無反省と固執
輸出大企業の一人勝ちと国民の貧困化の進行
日本は、1997年以降、「成長が止まった国」と言われ、輸出大企業の1人勝ち(260兆円のため込み―内部留保)と、一方での国民の貧困化(97年〜2011年での民間平均給与年間58万円減)が進んできた。医療、介護、年金、生活保護など社会保障は、軒並み削減され、労働の規制緩和によって派遣労働者が急増してきた。所得の減少と消費の落ち込みで内需が冷え込むという「デフレ不況」の悪循環が続いている。
民・自・公の3党合意は、消費税増税と社会保障の軒並み削減によって、「デフレ不況」をいっそう深刻にする反国民的なものである。
同時に橋下・「維新の会」は、2大政党以上に大企業への特別優遇とその失敗への無反省と固執でも際立っていることも指摘しなければならない。
大企業への補助金――雇用効果は中小企業の1割以下
パネル・ベイなどとして、進出先端企業の補助金を大阪府が開始したのは03年であり、12年度末までに、145億円余りが支出されている。そしてその3分の2以上が、シャープ関連4社とパナソニックであり、その全てが、橋下・松井府政によって実行されている(表1)。
ところで、その5社に新規に雇用されたのは、操業開始後の10年度、11年度の2年間で正社員304人、アルバイト81人である(12年度分は、現在府が調査中、表2)。
一方で、先端産業以外も含めて、大阪府から補助金を受けて進出した中小企業(10年度165社、11年度170社が回答)が新規に雇用したのは、同じ2年間で正社員886人、パート・アルバイトで603人である。また、統計がある05年から11年度まででは、正社員2861人、パート・アルバイト2214人になる。補助金は99年から出ているが、11年度までで90億4600万円余りである(表3)。補助金合計では、シャープとパナソニック計5社が、176の中小企業より多いのに、雇用は逆に中小企業が正社員で9・4倍、パート・アルバイトでは27倍にもなる。
先端産業、高付加価値製品の振興を否定はしないが、ものづくりをはじめ、中小企業も含めた大阪産業全体の振興こそ求められる。ところが、橋下・松井府政下で、中小企業振興費は3分の1以下に、商業振興費にいたっては30分の1以下になるという大削減が行われた(表4)。
大阪と日本つぶす大企業減税と解雇規制緩和
一方で橋下・「維新の会」は、「国際総合特区」といって、府内4地域を指定し、民・自・公と一緒に、大企業誘致に乗り出そうとしている。また、法人税の大幅減税(半分にという案もある)や解雇規制の緩和など、小泉「構造改革」の徹底化を維新八策などで検討している。
いまでさえ法人税の実際の負担は、大企業19%、中小企業26%と逆転している。この異常な不公平税制に手を付けずに、法人税大幅減税を行うというのは、究極の大企業優遇税制になりかねない。
また、シャープは8500人から1万人、パナソニックは4万人もの大リストラを計画している。11回にも上る密室での退職強要、就業時間の15分前に解雇通告が行われるなどの無法が横行している。
この解雇権の乱用を、民・自・公など、わが党を除く既成政党は、全く是正する意思はない。
こうした中で、解雇規制のいっそうの緩和を主張する橋下・「維新の会」の政策は、輸出大企業だけ栄えて、日本がつぶれ、いずれ大企業そのものも衰退するという亡国の道である。
「無駄遣いをなくし、大企業と富裕層に応分の税負担を求め」「大企業の内部留保を、正社員増や雇用確保などに活用して」、内需主導の経済成長をはかり、税金の自然増収を確保するという、デフレ不況からの脱却の政策を唯一持っているのが日本共産党である。
総選挙で、橋下・「維新の会」を突撃部隊とした反動的逆流を食い止めるために、日本共産党の議席倍増こそ求められる。(みやはら・たけし)
(2012年11月18日付「大阪民主新報」より
投稿者 jcposaka : 2012年11月18日