学校教育やスポーツから「体罰」・暴力をなくすために、府民的討論と共同をよびかけます
2013年2月18日 日本共産党大阪府委員会
大阪市立桜宮高校バスケットボール部キャプテンの2年男子生徒が、同部顧問の教員から暴力・「体罰」を受け、自ら命を絶った痛ましい事件は、多くの府民と学校・スポーツ関係者に強い衝撃を与えました。
私たちは、改めて亡くなられた男子生徒に哀悼の意を表明し、遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
「なぜこうしたことが起こったのか」、「生徒の自殺を防ぐことができなかったのか」――二度とこうしたことを繰り返さない固い決意で、また、遺族の知る権利を尊重して、関係機関が徹底した事実調査と解明をおこなうことを求めます。
「いじめ」、「体罰」など子どもたちのかけがえのない命を脅かし、発達を損なう問題をどうなくしていくか――これは日本社会の大問題であり、その解決は私たちおとなの責任です。
日本共産党は、学校教育やスポーツから「体罰」・暴力をなくすために、学校、地域、社会の各分野で解決の道を語り合う府民的討論と共同を広げることをよびかけます。
子どもへの「体罰」・暴力は許されません
子どもの心身を傷つけ、苦痛を与える教師の「体罰」は暴力行為そのものです。子どもの命と安全を守るべき教師が、どんな理由であれ、「体罰」という名で暴力をふるうことは絶対に許されません。「体罰」は子どもの人権を侵害し、子どもの人格を否定するものです。
戦前の軍国主義教育では事実上、「体罰」・暴力は当然のこととされました。こうした軍国主義教育の痛切な反省の上に立ち、戦後の憲法・教育基本法(1947年)のもとで、教育の目的は人格の完成にあり、子どもの人権を尊重する立場から、学校教育法(11条)では「体罰」を禁止することが明記されました。子どもの権利条約(1994年批准)は、「体罰」など学校における暴力を根絶する視点に立っており、これが世界の流れです。
子どもの人権を尊重し成長・発達を中心においた教育は、「体罰」など権威にもとづく威嚇や強制によらず、教師の専門性を高め理性の力を発揮することによって成り立ちます。
人間の身体的な能力を伸ばすスポーツのあり方や、スポーツ精神の発揮ということからみても、スポーツの場での「体罰」・暴力は許されません。生徒の自主的な活動の場である学校の部活動で、顧問の教員が「体罰」をふるうことはあってはならないことです。
しかし、今日なお、「体罰」が教育の場に少なからずある事実に直面して、多くの府民が心を痛め、関係者が「体罰をなくそう」と声を上げ始めています。私たちは改めて、学校教育やスポーツの場で「体罰」・暴力は許されないという基本的な認識をもつことが大切だと考えます。
学校教育から「体罰」・暴力を一掃するために――日本共産党の提案
学校教育から「体罰」・暴力を一掃するために、日本共産党は次の5つの提案を行います。府民のみなさんのご意見をお寄せ下さい。
(1)「体罰」の実態を調査し、学校での徹底した民主的議論と取り組みを進める
いま必要なことは、「体罰」の実態を調査し、「愛のムチ」などと「体罰」・暴力を容認する姿勢を改め、学校教育から「体罰」・暴力を全面的に排除・一掃する取り組みを進めることです。
子どもの命と人権を守る立場から、学校では「体罰」・暴力をなくすための徹底した民主的な議論と取り組みが必要です。保護者との話し合いや子どもの発達段階に応じた意見表明権を尊重することも大切です。「改革」の押し付けなど教育行政が命令・統制することで、問題を解決することはできません。
(2)「体罰」問題などへの相談と対応を行うセンターの設立
「いじめ」、「体罰」問題など解決の困難なケースの相談・対応をおこなう「いじめ・体罰防止センター(仮称)」を国と自治体の責任で設立します。医師や心理の専門家、法律家、ケースワーカー、教育研究者などで構成し、高い独立性を保障します。
「体罰」・暴力問題について、被害者、遺族の知る権利を保障します。
(3)背景にある「勝利至上主義」や競争主義の克服
学校教育での「体罰」・暴力の土壌となっている問題を解決することが大切です。部活動における「勝利至上主義」の克服や、大阪府や大阪市の高校「多様化」など競争主義的な「教育改革」の抜本的な見直しが必要です。
(4)教育条件整備を進めることが教育行政の役割
ひとり一人の子どもにゆきとどいた教育を行うために、35人学級・少人数学級を小・中学校の全学年から高校へ広げることは、この問題の解決にとっても土台となる教育条件です。長時間・過密労働など教職員の多忙化の解消も必要です。
学校教育から「体罰」をなくし、子どもの成長・発達を保障する教育実践にむけた教職員の自主的な研修、職場ごとの研修などで指導力の向上やチームワーク強化をはかることも大切なことです。教育行政の役割は、教育条件整備をはじめ、こうした学校でのとりくみを支えることにあります。
改めて学校の部活動を生徒の自主的な活動として位置づけることも重要です。
(5)政治権力による教育への介入をやめる
学校教育から「体罰」・暴力を一掃する取り組みや学校改革は、学校関係者の真剣な議論と合意により進めることが基本です。ところが、橋下徹大阪市長は、政治権力を振りかざして教育に乱暴に介入し、“従わないなら予算を執行しない”と脅して、多くの府民が反対する体育科「入試中止」を押し付け、教職員の総入れ替えを要求しました。これは、今回の問題の事実調査と解明、今後の学校改革への議論を遅らせ妨げるものです。「体罰」問題は理性の力で解決すべきです。政治権力の教育への介入はやめることを強く求めます。
投稿者 jcposaka : 2013年02月18日