大阪市解体へ踏み出す 大阪市13年度当初予算案 市民サービス切り捨て本格化 安倍・自公政権にも追随
大阪市は2月21日に2013年度当初予算を発表しました。「全国に先駆けた将来世代への投資をやっている。自信を持った予算」と自賛する橋下徹市長。しかしその中身は、「大阪都」構想を何がなんでも推し進め、それに合わせて市民サービスを切り捨て、行政の権限・財源をはぎ取り、大阪市を解体するものです。(2面に関連記事)
敬老パス有料化
国保3%値上げ
予算案では、昨年7月の「市政改革プラン」による市民施策切り捨てが本格化し、削減額は136億円に上ります。
橋下・維新の会は11年秋のダブル選で「敬老パスはなくしません」(法定ビラ)と宣伝していましたが、地下鉄・市バスを無料で利用できる「敬老パス」は年間3千円の自己負担を導入します。4〜5月に納付書を送り付け、6月20日の期限までに納めない場合は7月からパスは使用できません(14年8月からは1回50円の自己負担も)。
国民健康保険料は3%値上げし、滞納者に対する財産調査の範囲拡大など取り立ての強化を打ち出しています。
生活保護世帯の増加が続く中、大阪市は生活保護の扶助費が自然増になるとして13年度3011億円と見込んでいます。ところが予算案への計上は12年度比約3億円減の2967億円。受給者の資産・扶養状況を調査する嘱託職員の配置(49人)など「適正化」(28億円)と、国による生活保護基準見直し(16億円)を織り込むという、安倍・自公政権の社会保障削減の動きに追随しています。
権限・財源はぎ
行政責任の放棄
「広域行政の一元化」「二重行政の解消」の名で、大阪市の権限・財源をはぎ取り、行政としての責任を放棄する流れも加速しています。
橋下市長はすでに、市営地下鉄とバスを民営化するため、公営としての両事業を廃止する条例案を提出。年間167億円の黒字(11年度)を上げる地下鉄は15年度に民営化し、市バスは一部路線を廃止して14年度に残りを民間に売却しようとしています。
地元住民から存続を求める署名が7万を超えて寄せられている住吉市民病院(大阪市住之江区)を廃止し、小児・周産期医療を府立急性期総合医療センターに統合。橋下市長は「住吉市民病院たった一つ(の廃止)で5億円のキャッシュが削減できる」などと言い放っています。
「現役世代への重点投資」(橋下市長)と言いながら、「民営化基本方針」に基づいて市立保育所は13年度5カ所と、14年度8カ所、市立幼稚園は13、14年度に各6カ所と、順次民営化。保育や幼児教育から、行政としての責任を投げ捨てていこうとしています。
府市民置き去り
「都構想」推進へ
昨年8月、自民・公明・民主などが強行した「特別区設置法」に基づく「大阪府・市特別区設置協議会」(法定協議会)。昨年末に府議会で、この2月1日に大阪市議会で維新の会、公明の賛成多数で設置が決まりました。知事、大阪市長、府議会・大阪市議会の両議長と議員20人で構成します。
2月27日に第1回会合が開かれた法定協議会は、大阪市を「特別区」に解体する区割り案や財政調整制度など、2年後の「大阪都」移行に向けた具体的な制度設計を行う場です。まとめた協定書を府議会・大阪市議会で可決し、住民投票に持ち込むのが橋下・維新の会のスケジュール。これを推進するのが、府と大阪市の担当部局を一元化して設置する「大阪府市大都市局」で、橋下市長は「『大阪都』の芽」だとしています。
大阪市経済局とゆとりとみどり振興局などを統合して「経済戦略局」に再編。橋下市長らが掲げる「成長戦略」を具体化しますが、当初予算案には、カジノを中心とした「統合型リゾート」の候補地検討調査の予算(300万円)を計上しています。
(2013年3月3日付け「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2013年03月02日