淀川左岸線全面ふた掛け 環境優先のまちづくり 5月25日開通 地下トンネル化、脱硝装置 住民運動で対策前進
共産党と住民が現地調査
阪神高速は2月21日、建設中の阪神高速2号「淀川左岸線」1期事業の此花区島屋から高見までの4・3`区間が5月25日に開通すると発表しました。この道路建設をめぐっては、「環境悪化を招く道路公害を許すな」と此花区をはじめ住民と一緒に日本共産党が長期にわたって運動を展開。当初計画の「掘割構造」から「全面ふた掛け・地下トンネル構造」へ変更させ、さらにトンネルの換気施設に自動車排ガスの有害物質を除去する「脱硝装置」を実現させました。同20日、日本共産党と住民らが、「脱硝装置」などの設備を現地調査しました。
今回、全線が開通するのは淀川左岸線1期事業。事業費は2975億円(換気塔・脱硝装置含む)。此花区北港2丁目の北港ジャンクションから高見1丁目の海老江ジャンクションまで、5・6`に4車線の道路を建設。当初計画では1日3万1500台の利用を予測。3号神戸線と5号湾岸線が直接つながり、都心部の慢性的な混雑を緩和し、一般道との比較で8分の時間短縮効果があるとしています。
島屋2丁目からの正連寺川区間3・6`は地下トンネル構造です。
阪神高速は5月11日に開通前イベント・ハイウェイウォークを実施します。
この日の現地視察には、日本共産党の山下よしき書記局長代行・参院議員、たつみコータロー参院大阪選挙区候補、清水忠史党府副委員長、瀬戸一正前大阪市議、山田みのり福島区生活相談所長、中津コーポ環境を守る会(大阪市北区)の廣瀬平四郎さんらが参加。阪神高速担当者らの説明を受け、完成間近の島屋換気所に入り、道路トンネル内の自動車排ガスから有害物質を除去する「脱硝装置」の性能などを詳しく聞き取りました。
関西初の設置
島屋、大開の2カ所に設ける換気塔の脱硝装置は、阪神高速が関西で初めて設置するもので、道路トンネルの排気ガスのNO2の90%近くを除去し、電気集塵機では、大気汚染の原因となるSPM(浮遊粒子状物質)も90%近く除去するとしています。
阪神高速の担当者らは、活性炭のような働きをする特殊脱硝材で、自動車排ガスのNO2を除去する仕組みを説明。「換気所から排出する空気のNO2濃度は環境値を超えないようにしたい」と述べました。
視察を終えて、山下議員は、「住民の皆さんの運動で、公害をまき散らす掘割式の道路からふた掛けを実現し、今回、脱硝装置を実現することができました。住民運動が広がり、環境優先のまちづくりを進めるという、新しい道路建設の手法が全国に示された点で、画期的な成果だと思います。多くの市民が願う公園・緑地化が実現するまで、住民の皆さんと共に引き続き運動を進めていきたい」と語りました。
日本共産党 展望示し実現に奔走
大阪のまちに「緑のルネッサンス」となる
19fの「花と緑と水の公園」を
前大阪市議 瀬戸一正さん
阪神高速の淀川左岸線1期区間がいよいよ5月25日に開通します。左岸線1期は1986年に公害まき散らしの「掘割型」で計画決定されましたが2002年に「トンネル型」(全面ふた掛け)に計画変更。換気所から出る排気ガスからNO2を取除く脱硝装置も設置されました。
85年に構想が持ち上がって以来28年、ぶれずに一貫して公害持ち込みを許さないと頑張ってきた住民運動と日本共産党の大金星の成果です。
86年に「掘割型でも結構だ」と賛成したのは自民・公明・民社・社民の「オール与党」。唯一反対しただけではなく、その後「こうすれば全面ふた掛けできる」と展望を示し、具体的なまちづくりの提案もして、阪神高速や国土交通省、大阪市にその実現を迫ってきたのが日本共産党です。
日本共産党と住民運動は90年に「全面ふた掛け」にすれば正蓮寺川の中の2・3`区間に19fの「花と緑と水の公園」ができると提案。私は91年にこれを公約として市会議員に初当選し、これまでに市議会での代表質問で3度、歴代市長に正蓮寺川公園の実現を求めてきました。
地元此花区では広範な市民が署名運動を展開し、私もたつみコータロー参院選挙区候補もその先頭に立ちました。府政、国政へも取り組みを広げ、山下よしき参院議員には超党派で脱硝装置設置を国交省と環境省に要望する際に紹介議員となって頂きました。
正蓮寺川の中を19fの広さで緑地にすることは都市計画決定されています。しかしどんな公園にするかはこれからです。大阪市は03年度に「正蓮寺川公園基本構想」を策定しています。「地元住民から要望の出ている」桜並木やせせらぎを配し、遊歩道や野鳥公園もある立派なもので工事費は45億円です。
ところが最近になって「財政が厳しくなったのでこんな立派なものはできない」と言い出しました。確かに大阪市の公園整備予算は10年前に比べて5分の1近くに減っています。しかしそのこと自体が「地球温暖化」対策や「ヒートアイランド現象」克服に逆行する大問題です。
公害道路を地下に閉じ込めて19fもの緑地が生まれるのですから、言わば「緑のルネッサンス」です。大阪市を潤いのある都市に再生する絶好のチャンスです。今の市政のもとでは大きな困難が予想されますが、大きな夢を持って再び住民運動にチャレンジしたいと考えています。(せと・かずまさ)
(2013年3月3日付け「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2013年03月02日