謝罪と再発防止求める 市長の不当労働行為=@大阪市「思想調査」 府労委が命令 橋下市長 謝罪一転、不服申し立てへ
橋下徹大阪市長が昨年2月、全職員に業務命令で実施した政治活動や組合活動への参加を問う憲法違反の「思想調査」アンケートをめぐり、大阪府労働委員会は25日、使用者による不当労働行為を禁じた労働組合法に違反すると認定。労組側に、「今後、このようなことはしない」とする誓約書を手渡すよう市に命令しました。
府労委命令は、調査の実施主体は第3者チームが独立して行ったとする市の主張に対し、同チームは「市の影響の下、市の枠組みの中におかれ」ていたと判断し、調査は市が行ったといわざるを得ないと強調。アンケートの質問項目を検証し、「組合活動を委縮させ組合活動に介入する質問」だったと判断、「組合活動に対する支配介入であった」とし、労働組合法が禁じる不当労働行為だと認定しました。
橋下市長はこの日午前の会見で、「大変申し訳ない。法に基づいた行政運営をしていく」と謝罪、命令に従う意向を表明していましたが、夜になって一転、不服申し立てを行うと述べました。
同アンケートをめぐっては、大阪市役所労働組合に加盟する職員ら55人が、組合の団結権や思想・信条の自由を侵害されたとして損害賠償を求めて提訴。府労委命令は訴訟にも大きな影響を与えそうです。
日本共産党は市議会で人権侵害と不当労働行為であると厳しく追及。山下芳生参院議員が国会で取り上げ、「現代の踏み絵」だと告発しました。
荒田功大阪自治労連書記長は同日、談話を発表。橋下市長に対し、府労委命令を厳粛に受け止め、市に働く全職員への謝罪と深い反省を求めるとともに、思想調査アンケート国賠訴訟の原告の訴えを受け入れ、解決することを強く求めています。
日本共産党大阪府委員会は同日、山口勝利委員長の談話を発表。憲法違反の「思想調査」であり許されないとして立ち上がったすべての市職員と府民・市民の勝利だと強調。府労委命令の救済命令は当然の内容だと支持し、橋下市長がこれに従うよう求めています。
さらに「思想調査」は市職員に働き掛けた市民の氏名を密告させるなど、市民・国民にも矛先が向けられたものだと批判。市長があらゆる問題で憲法違反の行為を2度と繰り返さないよう求めています。
府労委命令は当然の結果
憲法の旗握ってたたかう
「思想調査」国賠訴訟の永谷原告団長
大阪市の「思想調査」で、大阪市役所労働組合(自治労連加盟)は、55人が国家賠償請求訴訟を起こしています。永谷孝代原告団長の談話は次の通りです。
「思想調査」は、橋下市長直筆名で「正確に答えない場合は処分もありえる」と強制的に実施され、組合加入や政治的考え方まで踏み込んで聞くだけでなく、誰に誘われたかと密告させるもので、思想・信条の自由、労働基本権、プライバシー権を踏みにじる憲法違反のアンケートです。
回答拒否者は、上司からの執拗(しつよう)な説得工作が行われ、多くの職員が精神的な苦痛だけでなく、処分による将来への不安を抱きました。
命令は、市が主体となって行ったものであり、支配介入にあたると断定し、アンケートが破棄されても責任は消滅していないと市側の主張を退けていることは、憲法に保障された団結権を侵害する不当な行為を2度と大阪市で行わせないための命令であり、当然の結果です。
市長命令であれば、憲法も民主主義も無視し、何でもまかり通る社会にしたくありません。人間が大事にされる社会と働くものが報われる職場を取り戻すまで、つないだ手を離さず、こぶしに憲法の旗を握りしめ、たたかっていく決意です。
(2013年3月31日付「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2013年03月30日