「大阪都」区割り案審議 税収格差は最大5倍に 暮らしどうなるか議論を=@第2回特別区設置協 山中議員が主張
日本維新の会を率いる橋下徹大阪市長が掲げる「大阪都」構想の制度設計を行う第2回大阪府・大阪市特別区設置協議会が12日、大阪市役所内で開かれました。大阪市の現在の24区を5または7区の特別区に解体する区割り案が議題となり、日本共産党の山中智子大阪市議は特別区設置に反対する立場から見解を表明しました。
区割り案は、1特別区当たりの人口規模を30万人とする7区案と、45万人とする5区案があります。さらに両案とも、現在の北区と中央区を一つの特別区にする案と、別の特別区にする案があるため、合計4案です。協議会会長の浅田均府議会議長は、特別区の大きさを決める「人口規模」と、行政区の組み合わせを左右する「集積性」「地域性」「移動手段」を分けて議論することを提案。この日の会合では各区割り案に対応した、市営地下鉄・バスの民営化・廃止を前提にした路線図が示されました。
実態把握し考慮すべき
山中議員は市町村や行政区の人口について「最適規模」の定説がないと指摘。基礎自治を担う「区」で集積性に着目することにどんな意味があるのかと問い掛けるとともに、「地域性も歴史的経過だけでなく、現在の住民の意識や実態を把握し、考慮すべき。移動手段の問題は不確定な要素があり、論点として難しい」と主張しました。
将来負担や偏在財産は
「私たちが考えなければならない点は、市民の暮らしや市民サービスがどうなるかということだ」と強調した山中議員は、区割り案では特別区間の住民1人当たりの税収格差は最大で5倍、最少でも3・1倍になるとし、「財政調整を行うというが、財政力の差をどれくらい許容するのかを検討すべき」と要求。議会棟の建設など特別区設置に伴うコストが将来の市民負担になると述べるともに、区によって偏在している公園面積や市営住宅の戸数や財産・債務のあり方について、「方向性を持たなければ、市民生活に大きな影響が出る」と疑問を投げ掛けました。
道州制前提に京阪神も 橋下市長
公明は「20万人案」を提示
公明党案を最大限尊重
この日の協議会では公明党議員が特別区の人口規模について「20万人」とする案を提示。「一市民として身近なところに役所があったらいいという感覚もある。20万人で組めばどうなるか比較検討の条件に」(清水義人府議)、「共産党から指摘があったが、(最適な人口規模という)理論付けは何もない」(辻義隆大阪市議)と主張。松井一郎知事は「(公明党主導で)20万人案をつくってもらえれば」と応じ、次回(4月26日)の協議会から20万・30万・45万の3案で議論することになりました。
協議会終了後の記者会見で橋下市長は「(維新の会は市議会で)過半数を超えていない。公明党と合意していかないと進まない」と語り、松井知事も「維新だけで30万、45万しか認めないとなると、協議会は既定路線で走るのかということになる」などと、公明党案を最大限尊重する考えを示しています。
関西州の中に「母都市」
協議会で橋下市長は、道州制導入を掲げる安倍政権を評価すると同時に「関西州」の中に「母都市」として「大阪都」を残す考えを表明。「『大阪都』を残すのに関西州と言うのはおかしい」と自民党議員が反論したのを受け、橋下市長は「大阪市をどうするかだけでなく、堺市も衛星都市も、関西一円も考える」などと、道州制を前提に「大阪都」構想を京阪神都市圏にも広げる可能性を示唆しました。
自公規模だけの区割り
一方、維新の会の大内啓治大阪市議(此花区選出)が、大阪湾岸地域にある現在の行政区が区割り案で1つの特別区にまとめられていることについて、「人口規模だけで区割りをしたのか」と発言。バスも鉄軌道もなく、区役所の場所によっては(不便で)とても行けない。市民にどう説明したらいいのか」と質問する一幕もありました。
(2013年4月21日付「大阪民主新報」より)
投稿者 jcposaka : 2013年04月20日