副首都推進本部会議
「総合区」素案を発表
「都」構想との選択狙う
松井知事〝18年までに住民投票〟
府・大阪市共同設置の「副首都推進本部」(本部長=松井一郎知事、副本部長=吉村洋文大阪市長)が22日、府庁内で第4回会議を開き、大阪市の24行政区を合区して権限を強める「総合区」(注)の素案を発表しました。
「都」構想の復活を狙い
「副首都推進本部」は松井知事と吉村市長が、昨年5月の住民投票で否決された「大阪都」構想を、「大阪の副首都化」の名で復活させるために設置したもの。
「総合区」は公明党が積極的に検討していることをとらえて、松井氏らは「大阪都」構想の対案のように扱い、推進本部の事務を担う「副首都推進局」の所管事項とし、「総合区」の案をつくるよう指示していました。
素案では、現在の24行政区を合区して「総合区」を置き、①5区(1区当たり人口45万人程度)②8区(同30万人程度)③11区(同20万人程度)の3つの区割りを設定。その上で「総合区」が担う事務のレベルごとに、5区では「一般市並み」と「中核市並み」、8区では「ほぼ現行の行政区並み」と「一般市並み」、11区では「ぼぼ現行の行政区並み」の計5案を示しています。
否決されたはずなのに
松井知事、吉村市長らが出席した会議では、8月末から大阪市内全行政区で開く「住民説明会」で使う資料も示されました。「総合区」の素案だけでなく、大阪市廃止が前提の「特別区」と比較するために、住民投票で否決され廃案になった「特別区設置協定書」などを使った資料も含まれています。
会議で吉村市長は「いまの(大阪市の)現状でいいのか、問題意識をもってもらうことが大事」と発言。松井知事は「(特別区と異なり)総合区は区長の判断で保育所は設置できない。そこを丁寧に説明しないといけない」と語りました。
「総合区」か「特別区」が
終了後の記者会見で松井知事は「総合区がいいのか、特別区がいいのか、両方住民投票で決めてほしいと思う」と述べ、次期いっせい地方選前の2018年秋までに住民投票を実施する考えを示しました。
住民説明会の日程
松井知事と吉村市長も出席する「住民説明会」は来年2月まで全24行政区で各1回開く予定。8、9月開催分の日程と会場(時間・募集定員・申し込み締切日)は次の通り。
▽8月31日(水)=此花区民ホール(午後6時半〜8時半、310人、8月15日)▽9月10日(土)=東住吉区民ホール(午後2時〜4時、350人、8月25日)▽9月10日(土)=都島区民センター(午後6時半〜8時半、290人、8月25日)▽9月24日(土)=住之江区民ホール(午後2時〜4時、350人、9月6日)。
大阪市民であればどの会場にも申し込み可能。申し込みの詳細は、広報紙やホームページで知らせるとしています。
狙いは「都」構想への誘導
日本共産党大阪市議団 山中智子幹事長
そもそも「総合区」制度は、住民自治を拡充する一つの方法として設けられました。ところが今回の素案は、その意義にまともに触れず、現在の24行政区を再編する「合区ありき」での区割りなどや事務分担に応じて5つの案を示しています。
住民説明会ではこの「総合区」と、大阪市を廃止・解体する「特別区」について吉村市長や松井知事が説明し、市民の意見を聞くといいます。しかしすでに、吉村市長らは「総合区長には予算編成権がない」などと「特別区」の“優位性”を訴えると公言しています。
そこには維新の会が唯一の旗印とする「大阪都」構想を、何が何でも復活させるため、「総合区」をてこに市民を誘導していくという危険な狙いがあると言わざるを得ません。大阪市の制度にかかわる説明会に、府知事である松井氏が出席し持論を述べることは、説明会を「都構想再挑戦」のための集会にするようなもので、まったく道理がありません。
私たちは一貫して、「統治機構」改革や「制度いじり」ではなく、「変えるべきは政治の中身だ」と主張してきました。これからの大阪市のまちづくりや暮らし・福祉に自治体がどんな役割を果たすのかということについて、行政側が、地域で住民とともに議論していくことなしに、住民自治の拡充はあり得ません。
私たちたちはその立場から、市民の皆さんとの共同を広げ、論戦をはじめ議会内外の取り組みに全力を挙げます。
(大阪民主新報、2016年7月31日付より)