おおさかナウ

2018年03月18日

約束反故も吉村市長謝罪せず
住吉市民病院廃止

入院できる公的病院存続を
大阪市の病床再編計画説明会 住民の怒り噴出

住民説明会で若い母親が訴えても視線を合わせようともしない吉村市長=10日、大阪市住之江区内

住民説明会で若い母親が訴えても視線を合わせようともしない吉村市長=10日、大阪市住之江区内

 大阪市は10日夜、市立住吉市民病院(大阪市住之江区)の閉院(3月末)に伴う病床再編計画について住民説明会を同区内で開きました。橋下徹前市長が「二重行政の無駄」と決め付け廃止を打ち出した住吉市民病院。現地での病院存続を求める地元の強い世論を無視して廃止条例が可決されたのは2013年3月のことです。それから5年、跡地への民間病院誘致に3回も失敗した末に、吉村洋文市長が持ち出したのは入院もできない診療所の開設。参加者からは維新市政の無責任極まりないやり方に、怒りや不安の声が相次ぎました。

「医療空白」がすでに生まれ

 住吉市民病院は2月20日に入院機能を停止し、すでに「医療空白」が発生。3月20日には外来診療も終わります。府立急性期・総合医療センター(住吉区)で4月から高度医療を担う「府市共同住吉母子医療センター(仮称)」を新設しますが、住吉市民病院跡地には6年後に市立大学付属病院を誘致したいとして、それまでの間、小児科・産婦人科の診療所を開設する計画です。

 説明会は西成区(17日)、住吉区(22日)でも開かれますが、吉村市長が出席するのは住之江区だけ。約250人の参加者を前に吉村市長はこれまでの経過を淡々と説明し、「住吉母子医療センター」への医療機能の集中化・集約化が重要で、診療所には病床を設けないなどと語りました。

話をすり替え耳を貸さずに

 約1時間半にわたった質疑応答では、まず西成区の男性が「結局、市大病院が来るというなら、住吉市民病院を残せばよかったのではないか。そのことへの説明や謝罪がないのはなぜか」「診療所にはベッドがない。それでいけるのか」と口火を切りました。

 吉村市長は「ハイリスク出産・分娩が増える中で、(母子医療センターでは)住吉市民病院で対応できなかった体制が整備できる。府市共同で機能の高い病院をつくる」などと話をすり替えました。

 住吉区の女性は「私たちは現地での入院機能を求めている。いまからでも遅くはない。考え直してほしい」と訴えましたが、吉村市長は「市民病院跡地から2㌔のところに新しい病院ができる」などと耳を貸しませんでした。

非常に無責任声受け止めて

説明会の開会に先立って会場前で宣伝する「住吉市民病院をまもるママの会」のメンバー=10日、大阪市住之江区内

説明会の開会に先立って会場前で宣伝する「住吉市民病院をまもるママの会」のメンバー=10日、大阪市住之江区内

 「非常に無責任だ。謝罪も何もない。当初の約束は何だったのか」と別の男性は問い掛け、今からでも入院できる病院を設置すると市長が決断すべきと要求。「世界に向かって万博と言いながら、こんな大事な病院も守れないとは。都構想の住民投票に32億円の税金をかけるなら、できるではないか」と迫りました。

 「住吉市民病院をまもるママの会」のメンバーが、「安心して住めないから堺市に引っ越す」という母親の声を紹介。重度心身障害児を育てる母親が、「最も困っているのは、短期入所ができなくなること」と苦しんでいることを述べ、「こういう思いを市長は真摯(しんし)に受け止めてほしい」と訴えました。

 吉村市長は母子医療センターで安心の出産、福祉的な機能も果たせる体制を整えるなどの答えに終始。さらに市立大学病院誘致は「保証はない」「実現するために協議したい」と述べるにとどまりました。

(大阪民主新報、2018年3月18日号より)

月別アーカイブ