おおさかナウ

2018年04月07日

森友疑惑 人ごとを決め込む松井知事・維新
関与の徹底解明を

 財務省の森友文書改ざんが明るみに出され、当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の国会での証人喚問を受けて、安倍夫妻の疑惑がますます深まりました。

 疑惑の舞台である大阪の松井府知事は、「(改ざんについて)こんなことがあるのか」「大阪府庁ではありえない話」などと人ごとを決め込んでいますが、松井知事と維新の会が森友疑惑に深く関与していることを示す事実が、次々と明るみになっています。

改ざん文書は「私学審事案」

 「安倍事案」として「特殊性」が強調された今回の財務省改ざん文書の特徴として、もう一つ際立つのは、この案件が「私学審事案」「維新府政事案」であったことです。

 要旨を拾ってみると、「近畿財務局が府私学課を訪問し、認可の事前審査状況について照会」(2013年10月30日)、「府私学課に認可の状況について照会」(14年2月3日)、「近畿財務局から府私学課に対して、審査基準について照会」(同10月2日)、「府私学審において…資料の不足などから継続審議」(同12月18日)など、大阪府による小学校設置「認可適当」や私学審の審査状況に関わる記述がことごとく削除されていることが分かります。

 実際には、この約1カ月後の15年1月27日に臨時私学審が招集され、条件付き「認可適当」の答申が出されています。

真相にフタ、虚偽報告

森友疑惑の徹底解明を求めプラカードを掲げる人たち=3日、大阪市北区内

森友疑惑の徹底解明を求めプラカードを掲げる人たち=3日、大阪市北区内

 松井知事は、今年3月19日の府議会教育常任委員会で、共産党の追及に対し、森友の設置認可申請に関わる資料を開示すると言明しました。

 私学審議会での委員の批判や懸念にもかかわらず、それらを抑え込んでごり押しした背景に何があるのか、今こそ全面公開し、明らかにすべきです。

 さらに重大な問題は、府の私学課が私学審に虚偽報告をしていたことです。石川たえ府議が昨年5月府議会で追及しました。

 私学審で大きな懸念が出されていた学園の財務状況について、府の私学課は「多額の寄付金」が寄せられ安定したと報告していました。

 ところが「2億円の寄付」者とされた方は「しんぶん赤旗」の取材に、「寄付はしていない」と証言。その後この問題は、他の複数メディアでも報じられました。

深まる松井知事と維新の関与疑惑

 これまでメディアでも「籠池氏と松井知事の“接点”」として、11年の大阪府知事・市長ダブル選挙時に、籠池氏が橋下・松井氏に同行する姿を放映(関テレ3月26日「Mr.サンデー」)するなど、松井知事と森友学園の関与については、疑惑の焦点となってきました。

 籠池氏は昨年3月の証人喚問で、「松井知事や府にお力添えいただけるよう畠先生にお願いした。そのおかげで…小学校設置の認可申請では、特別な取り計らいをいただいた」と述べるなど、知事と、森友学園の監事を務めた畠成章元自民党府議の名前を度々口にしました。知事も14年4月に畠氏と知事室で面会したことを認めています。

 国会喚問の場で籠池氏自身が、「真相解明のために、トカゲのしっぽ切りではなく、百条委員会を設置し、松井知事…も呼んでほしい」と語ったように、松井知事の関与疑惑の解明はこれからです。

 改ざん文書では、維新の国会議員5人についての記述も削除されていました。平沼赳夫衆院議員、中山成彬衆院議員が森友学園で講演会を行っていたこと、杉田水脈衆院議員、三木圭恵前衆院議員、上西小百合前衆院議員が学園を訪れていたこともいったん記され、削除されています。上西氏は、学園が運営する塚本幼稚園を含む施設を視察し、維新党本部に報告書を送ったことを、自身のツィッター(17年2月17日)に記しています。

 これまでにも、東徹参議院議員、中川隆広前府議など、小学校建設に関わって籠池氏が面会し、“口利き”を依頼した複数の維新議員の名前が挙げられてきました。

 さらに維新が、学園の小学校建設を請け負った藤原工業から政治献金を受け取っていたことも、明らかになっています。

安倍首相をかばう維新・松井知事

 松井知事はこれまで「森友問題は横に置いて、大事な問題の議論を」「昭恵氏の証人喚問は必要ない。総理の辞任に値する話ではない」など、安倍首相夫妻をかばう発言を繰り返してきました。

 今回の公文書改ざんについても、昭恵夫人の関与について聞かれた松井氏は、「それは違うんじゃないか」と否定。その姿勢は一貫しています。

 国会で維新は、結束して森友問題を追及する野党に対し、「ネタ切れ」「他にテーマがない」などと悪罵を投げ付け攻撃。真相解明から逃れようとする安倍首相を、助ける役割を演じてきました。

 民主主義の土台を崩す重大問題として、徹底究明へ向け結束する6野党共闘から、維新は完全につまはじきにされる存在となっています。

 国では改憲へひた走る安倍首相夫妻と、復古的教育を推進しようとした森友学園、そして教育基本条例で教育への政治介入を公然と進め、大阪の教育と府政をゆがめてきた松井維新府政。その関与を徹底的に明らかにすることは、大阪の進路にとって不可欠です。

(大阪民主新報、2018年4月8日号より)

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