「オール大阪」の共同で「大阪都」構想のための2度目の「住民投票」を断じて許さず、2018年を「維新政治転換」の年に
「オール大阪」の共同で「大阪都」構想のための2度目の「住民投票」を断じて許さず、2018年を「維新政治転換」の年に
2018年1月9日
日本共産党大阪府委員会
激動の2018年を迎えました。大阪では、安倍政権による9条改憲を許さない全国的な闘争の大きな一翼をになうとともに、維新が秋にも実施を狙う「都」構想(特別区設置)のための2度目の「住民投票」を断じて許さないたたかいが求められます。
(1)「都」構想は2015年住民投票で大阪市民が明瞭に「ノー」をつきつけたもの
維新の会が掲げる「大阪都」(特別区)構想に対しては2015年5月、32億円もの市税を投じた大阪市・住民投票が実施されました。維新は「5億円」ともいわれる宣伝費をかけた空前の宣伝・組織戦を展開し、「都」構想のバラ色の幻想を広げました。しかし、大阪市民から「ノー」の審判が下され、法的にも政治的にも、明瞭な決着がつけられました。
「都」構想が否決されたのは、これが、①「大阪市」を廃止・解体し、二度と元に戻せない構想であり、②いまの大阪市が持つくらしをささえるしくみをバラバラにして壊し、③大阪市の財源、権限を「都」(府)がむしり取って、「一人の指揮官」でやりたい放題できる仕組みをつくる、という本質が見抜かれたからにほかなりません。
彼らがつくった設計図(協定書)をみても、5つの「特別区」設置に莫大なコスト負担がのしかかること、当初あおっていた「財政効果」はほとんどでてこないこと、「特別区」は「半人前」の自治体になってしまうこと、東京都とは違い地方交付税を受けている大阪では「都区財政調整」の財源保障はないこと、「都」と「特別区」の間に複雑怪奇な「一部事務組合」が設置されることなど、あまりにも破たんが明白でした。
ところが維新は、「都」構想を断念すると「維新壊滅」になると恐れ、今度は「副首都構想」と装いを変え、また「総合区もあわせて議論するから」などと公明党を抱き込んで、昨年再び大阪府・市に「大都市制度(特別区設置)協議会」を設置し、「9月、10月」を叫んで「住民投票」の道をひた走ろうとしています。
しかし、彼らがだした新たな「特別区案」なるものは、否決された「5区案」を「4区」または「6区案」にするというだけで、前回指摘された問題点にたいする真剣な反省や総括はなく、本質的には何の違いもうちだせていないものです。そればかりか、前回は鳴り物入りでうたった「財政効果額」は消え、「カジノ」(IR)などを進める以外に、「都」構想の大義も、道理も、大阪にどんなメリットがあるのかも示せず、より矛盾と破たんを広げるものになっています。
「法定協議会」では、日本共産党からはもちろん、自民党、公明党からも「いまの法では都区調整財源に地方交付税は使えないではないか」「現行のままの財政シミュレーションをださないのは、都構想のメリットがないからではないか」などの異論、疑問がだされています。
昨年9月の堺市長選挙では、2013年に続き、「大阪都反対」をかかげる竹山市長が「都」構想で「堺市つぶし」を狙う維新に対して勝利しました。世論調査でも、とくに大阪市民のなかで「都」構想反対は1年間で5ポイント増え47%に、賛成は10ポイント減少し37%(「読売」2017年11月21日付)となっています。
民意にも、法的決着にも背いて、維新の政治的思惑のためにまた32億円も使って住民投票を策すなどとんでもありません。維新は「都」構想をきっぱり断念すべきです。
(2)「都」構想への手法に塗り込められた何重ものペテン
維新による「都」構想への手法には、何重ものペテンが塗りこめられています。
そもそも2015年の住民投票で、維新は「ラストチャンス」「2度目の機会はありません」と訴え、それが敗れるや、橋下代表(当時)は政界引退を表明しました。松井知事は「3度目はない」などとうそぶきますが、誰が信用できるでしょうか。
前回も、当初府議会・大阪市議会とも否決されたのに、「住民投票」が復活したのは、維新が官邸にすがり、創価学会によって大阪の公明党の態度を180度ひっくり返したことによるものでした。今度もまた、維新は公明党がうちだした「総合区」案にのり、「特別区も、総合区も議論できるから」と維新・公明多数の力で「法定協議会」設置をはかりました。しかし、「特別区」と「総合区」は性格も役割もまったく異なるものであり、両者を天秤にかけることには何の道理もありません。
※「特別区」 大阪市を廃止・解体して設置するもの。「大都市法」にもとづく「住民投票」で是非を決します。ひとたび「特別区」が決まれば、元の政令市に戻す法律はありません。
※「総合区」 大阪市は存続させたうえで、いまの行政区の権限を強化するために、単独あるいはいくつかの区を合わせて設置しようというもの。「改正地方自治法」にもとづいて市議会で決定します。「住民投票」は不要で、「総合区」の設置も変更・解消も市議会の権限です。
「いまの24区のまま」の選択肢を奪い去る「基本議決」構想
実際、吉村大阪市長が「総合区」は「特別区」のための「カモフラージュ」と公言している通り、維新の狙いはあくまでも「特別区」(大阪都)です。
またいまの「総合区案」も、初めから「8区」に合区する乱暴な案です。かつて「東区」「南区」が「中央区」に合区する時には10年以上かけて自治会などで議論されるなど、住民合意への努力がはかられました。しかし、今回は「区長会議」で「区の組み合わせ」を議論したにすぎないものを決めようというのです。
そのうえでいま警鐘を乱打しなくてはならないことは、吉村大阪市長が「住民投票」に先立って、大阪市議会で「基本議決」なるものを成立させ、「住民投票」で「特別区」が否決されたら「総合区に移行する」ことを決める――つまり、「住民投票」実施となれば、その結果がどうであれ、「いまの大阪市のまま」という選択肢をなくしてしまうというとんでもない案を口にしていることです。
維新の狙いは、「総合区」か「特別区」かを選べとなれば、「特別区」が勝てるというものでしょう。しかし、2015年の住民投票の審判は「いまの大阪市のままがいい」というものにほかなりません。世論調査でも「特別区」「総合区」「いまのまま」を選択肢にすると最大多数は「いまのまま」の46%(「朝日」2017年3月1日付)となっています。それを初めから選択肢から外すなど、「勝つまでじゃんけん」どころか、「インチキ手品」まがいのペテンではありませんか。
「都」構想に大義と道理があるのなら堂々と訴えればいいものを、それができずに追い詰められ、ついにはこんな卑劣なやり方まで策すとは情けない限りですが、民主主義と地方自治の名にかけて、これを許してはなりません。
(3)2度目の「都」構想の住民投票は許さない。この一点での「オール大阪」の共同を
日本共産党大阪府委員会は、大阪の重大な歴史的岐路を前に、政治的立場の違いをこえ、「都」構想の住民投票は、断じて許さない。この1点で「オール大阪」の共同とたたかいをきずくことを府民のみなさんによびかけます。
「都」構想のもつ問題点――「大阪市つぶし」「くらし壊し」「一人の指揮官でやりたい放題の体制づくり」――と維新手法のひどさもあわせて訴え、徹底して市民、府民に広げ、大阪市の再「住民投票」そのものを実施させない世論と運動を一気につくりましょう。すでにさまざまな団体が、宣伝や学習会、つどい、署名などに立ち上がっています。お互いに交流し、励ましあい、それぞれの立場から世論と行動を大きく広げましょう。
2度目の住民投票を許さないたたかいは、維新を除くすべての政党、団体、個人が総結集しうるたたかいです。各政党・議員、経済界や自治会、市民団体、宗教界、文化・芸術諸団体などありとあらゆる層への申し入れ、懇談、共同行動を追求しましょう。
これらを文字通り総結集し、2015年の住民投票時を上回る「オール大阪」の結集と共同行動を実現しましょう。
「オール大阪」の共同が築けるなら、維新の思惑を必ず打ち砕くことができます。それは2015年大阪市住民投票、2013年と昨年の堺市長選挙で示されました。
「住民投票」を葬るなら、それは「維新政治」への決定的打撃となって、大阪の地方政治の抜本的転換の条件が開かれるでしょう。このなかで大都市・大阪にふさわしい住民自治をいかに広げるのか、「まっとうな大阪」をどうよみがえらせるのか。府民的な議論を起こしていきましょう。
日本共産党もあらゆる面で先頭にたち、共同のために力をつくします。
以上