おおさかナウ

2014年11月02日

大阪府議会・大阪市議会 都構想「協定書」を否決

大阪市解体にノー 暴挙重ねた維新に審判

 大阪市を廃止・解体して特別区を設置する「大阪都」構想の「協定書」は、10月27日の府議会、大阪市議会で維新の会以外の反対多数で否決されました。追い詰められた維新の会は、橋下徹大阪市長が議会の議決を踏みにじり、知事や市長の「専決」処分で「協定書」を住民投票にかけることを狙い、「住民投票のための住民投票」まで持ち出して策動。これに対し、29日には府民要求連絡会(府民連)と大阪市対策連絡会議(市対連)が大阪市役所包囲パレードを行うなど、「『大阪都』構想は断念を」と迫るたたかいが始まっています。

「維新政治ノー!、暮らし最優先の府・市政を実現しよう」と府民連と市対連が取り組んだ大阪市役所包囲パレード=10月29日、大阪市北区内

「維新政治ノー!、暮らし最優先の府・市政を実現しよう」と府民連と市対連が取り組んだ大阪市役所包囲パレード=10月29日、大阪市北区内

橋下市長は都構想断念を

市民の負託受け

 「市民の負託を受けた議会として、きっぱりと否決する以外にない」――大阪市会本会議の反対討論で、こう強調した日本共産党の山中智子幹事長。「協定書」は橋下・維新の会が特別区設置協議会(法定協)から反対派を排除するなど無法を重ねてでっち上げたものだと述べ、明らかになった問題点を示しました。
 第1に、橋下氏らが「広域行政を一元化して大阪の成長戦略を進める」という中身は、カジノ誘致やなにわ筋線などで、「無駄な大型開発を府に一元化し、一人の指揮官の下で強力に推進することで、WTCなどと同じ過ちを繰り返すものだ」と批判しました。
 第2に「二重行政解消で4千億円を生み出す」といううたい文句はまったくのまやかしで、統合効果はないに等しいと指摘。特別区設置で初期コスト600億円、ランニングコストは年20億円に上り、発足後5年間で1071億円もの収支不足が生まれ、「市民サービスは良くなるどころか、さらに切り縮めざるを得ない」としました。

時代遅れの制度

 第3に、東京都では都区制度の廃止を求める声が上がっていることを示し、「大阪市でなすべきは、政令市を解体して権限や財源を府に吸い上げる時代遅れの集権を持ち込むことではなく、政令市の権限・財源の拡充など地方分権の推進、地方自治の充実を国に求め、都市内分権に思い切って取り組むことだ」と主張しました。

反対討論に立つ山中議員=10月27日、大阪市議会本会議場

反対討論に立つ山中議員=10月27日、大阪市議会本会議場

 他会派も「『協定書』がそのまま実現すれば、市民生活に多大な影響を与えることが明らかになった」(公明党)、「『大阪都』構想は破たんして、大阪市解体だけが残っている」(自民党)、「住民投票にかけるに値しない」(民主系)と反対討論を行いました。
 さらに「特別区設置協定書に対する議決を真摯(しんし)に受け止めることを求める決議」を維新の会以外の賛成多数で可決。「府民、市民の代表である議会の議決は民主主義にもとづく一つの民意」とし、今後特別区設置の取り組みを行う場合は民主的な手続きによる正常な法定協での議論の再開を求めています。

「闇の協定書」だ

 府議会では総務常任委員会での採決に当たって日本共産党の宮原たけし団長が、「住民から見れば地方政治史上例をみない、“闇の協定書”だ」と力説(2面に詳報)。特別区設置で360万人が利用するプールが24カ所から9カ所に減らされるが、「こういうことは『協定書』や関連資料に書いておらず、住民に最初から何も知らせず福祉切り捨てをやろうというものだ」と述べました。
 3つの特別区で新庁舎建設に555億円を投じるなど新たな無駄遣いが生まれ、国民健康保険や介護保険など100以上の事業を一部事務組合で共同で実施することは、住民自治を遠ざけるものだと指摘。さらに「広域行政の一元化」で府が担う大型開発は、なにわ筋線など計1兆5千億円に上るが、本当に大阪のためになるかどうか、住民は議論しようがないと批判。「こういう“闇の協定書”は認めるわけにはいかない」としました。

(2014年11月2日付け「大阪民主新報」より)

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