八尾市の中1男子生徒が自死
遺族の思いに向き合った対応を
八尾市議会 共産・田中市議が質問
今年4月の入学式の直後に、八尾市の市立中学1年の男子生徒が自宅で自死したことが分かりました。遺族は「何があったのか知りたい」と、市と市教委に対して真相の解明と調査を求めています。市教委は、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」に当たると認定し、第三者委員会(いじめ調査委員会)で調査を進めますが、遺族の思いに向き合った対応が問われています。
男子生徒は中学校入学式の3日後の4月6日夜に、自宅で自死しているのが見つかりました。生徒は亡くなった当日、「同級生ともめた」と家族に話し、スマートフォンのラインで友達からメッセージが来たことを告げた直後に自死したことなどから、遺族は市教委に、事実の調査と共に調査委員会を立ち上げるよう求めてきました。
中学校では生徒の自死から1カ月後の5月上旬に同級生からの聞き取り、下旬に保護者説明会、生徒へのアンケート調査を実施。5月末、遺族に調査の結果報告が行われましたが、報告書は概略のみでわずか8ページのものでした。
11日の市議会では日本共産党の田中裕子議員がこの問題を取り上げ、遺族から寄せられた手紙を読み上げました。
手紙には、事態がなかなか動かず、市教委の対応が二転三転していることへの不信感などとともに、「12年間精いっぱい生きた彼が、なぜ死を選ばざるを得なかったのか」「学校現場や教育委員会は、誠意と決意を持って望んでいただきたい」と綴られていました。
田中議員は、子どもたちへのアンケート調査の実施や聞き取りが遅れたこと、亡くなった日の翌日に「重大事態」と認定しながら、市教委から教育委員会会議に15日間報告がなかったことなどを指摘。「自死をした生徒の命と遺族の思いに向き合うのは、学校、教育委員会」だとし、「学校・教育委員会が自らの検証で、自己努力で、どんな事実にも目を背けず立ち向かってこそ、この問題に取り組むことができる」と、誠実で真剣な対応を求めました。
八尾市では別の小学校でもいじめで重大事態が起きており、調査委員会、再調査委員会が学校や教育委員会の主体的な取り組みの重要性を指摘しています。
(大阪民主新報、2020年6月21日号より)