おおさかナウ

2020年07月18日

コロナ禍なのに住民投票か
大阪市をよくする会が年次総会
投票中止へ 実施でも必ず勝利を
宣伝・対話へ踏み出そう

 大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想を巡る情勢が緊迫しています。コロナ危機で市民の暮らしや営業が悪化している中、大阪維新の会は住民投票の「11月1日実施」を目指し、8月末から9月初めにかけて府市両議会で「特別区設置協定書案」を議決しようと暴走。松井一郎大阪市長(大阪維新の会代表)は9日、秋に解散・総選挙が行われれば、住民投票を同日で実施する考えまで示しています。大阪市をよくする会(よくする会)は11日、大阪市中央区内で2020年度の年次総会を開催。住民投票の中止を求めると共に、実施するなら必ず勝利するため、構成団体・地域連絡会の全構成員が総決起しようと意思統一しました。

攻勢的に情勢 捉えて活動を

「住民投票の中止を求め、実施なら必ず勝利しよう」と決意を固め合った大阪市をよくする会の2020年度年次総会=11日、大阪市中央区内

「住民投票の中止を求め、実施なら必ず勝利しよう」と決意を固め合った大阪市をよくする会の2020年度年次総会=11日、大阪市中央区内

 開会あいさつで中山直和事務局次長は、「住民投票必至」の構えで「11月1日」からの逆算方式で活動に踏み出し、「『今だけ・カネだけ・自分だけ』の維新政治を終わらせるたたかいを進めよう」と語りました。
 活動方針を報告した福井朗事務局長は、政党構図の変化など情勢を攻勢的に捉えることを強調。「都」構想反対から賛成へと変節した公明党は、支持母体との矛盾は避けられず、同党の提案で「合同庁舎案」などが盛り込まれたことで「協定書案」の破綻は鮮明になっていると述べました。
 賛成に回った自民党府議は衛星都市選出の議員。賛成理由は「権限、財源、人員が移れば大阪市の住民サービスが下がる可能性が高い」というもので、逆に大阪市民が「反対」することにつながると指摘しました。
 吉村知事の高い人気が大阪市廃止の判断に直接結び付かないことは、前回2015年の住民投票で「橋下人気」の下で勝利したことが示しているとし、「コロナ禍のどさくさで、『吉村人気』を追い風に住民投票を強行する狙いを打ち砕こう」と呼び掛けました。

「協定書」議決許さぬ対話を

 府議会では8月28日、大阪市議会では9月3日に議決するとの報道がある中、市議会に向けて「大阪市を廃止する『協定書』の採決を止め、コロナ対策に全力を!」との陳情署名に取り組み、市民との対話を広げることを提起。議決が強行された場合は、住民投票での反対多数を勝ち取るために総力を挙げるとしました。
 対話では▽「都」構想と「協定書」の問題点を明らかにし、「必ず住民サービスが低下する」ことを知らせる▽コロナ禍以前に作成された「協定書」は、今後の経済状況や財政試算が反映されておらず、使い物にならないことを知らせる▽政令市・大阪市の権限と財源で住民サービス充実や災害対策の強化は可能であり、その値打ちを広げる――などを力点に、大阪市廃止について市民に正しい情報を知らせようと語りました。
 住民投票のあり方について、前回の住民投票で投票用紙に明記されていなかった「大阪市を廃止」の文言を今回は入れることや、大阪市廃止で大きな影響を受ける定住外国人にも投票権を付与することを求めていこうと呼び掛けました。

「子どもを守るために」
「世論は変わると確信」

地域や団体の代表が決意

 地域連絡会や構成団体の代表からは「8月1日に開く区民の集いを案内するチラシを4大紙に折り込み、陳情署名で地域ローラー作戦も行う。『吉村人気』というが、コロナ禍の中で本当に住民投票をやっていいのかと訴えれば、世論は変わると確信している」(西淀川区)、「大阪市はコロナで独自対策をせず、保育所には『手作りマスクの作り方』を届けただけ。現場の努力でなんとかやってきた。子どもたちを守るため『都』構想の問題点を明らかにしたい」(大保連)などの活動報告や決意が相次ぎました。
 来賓あいさつした明るい民主大阪府政をつくる会の荒田功事務局長は、「都」構想の中身をまともに説明せず住民投票を強行しようとする維新の姿勢に、市民不在の体質がはっきり現れているとし、「絶対に負けられないたたかい」と強調しました。
 住みよい堺市をつくる会の丹野優事務局長は、コロナ危機による企業倒産が増加し、各地で相次ぐ豪雨災害に不安が高まる中、市民を分断する住民投票は許されないと力説。「堺も、大阪市のたたかいをわが事として全力を挙げたい」と決意を語りました。
 日本共産党大阪市議団の山中智子団長が、臨時議会に向けた動きを報告しました。府市が「副首都・大阪をめざして」と「都」構想を一方的に宣伝するポスターを、地下鉄駅や公共施設に張り出すなど、なりふり構わぬ動きに出ているとし、「必ず勝利するため、市民の皆さんと共にたたかい抜きたい」と語りました。
 大阪市教の宮城登委員長は、維新の会が安倍政権の教育改悪の『突撃隊』となって、子どもたちをテスト漬けにし、公教育の破壊を進めている実態を告発しました。

(大阪民主新報、2020年7月19日号より)

月別アーカイブ