アピール
「大阪市廃止=都構想」に再びノーの審判を下し、
新型コロナ対策をはじめ、命と健康、
くらし第一の大阪市政を市民の手で
2020年9月5日 日本共産党大阪府委員会
(1)維新・公明による強行を批判する
府議会に続き、9月3日の大阪市会本会議で「大阪市廃止=都構想」のための「協定書」が維新・公明による多数で可決されました。「11月1日」に2度目の住民投票が強行されようとしています。
新型コロナ禍に誰もが不安と危惧を抱くなか、「なんで、こんな時に」との声があがります。
新型コロナ対策を万全にすすめるうえでも、強力な大阪市の権限、財源を解体することは逆行以外の何ものでもありません。
日本共産党は、住民投票において、「大阪市廃止=都構想」に再び「NO」の審判を下し、新型コロナ問題での教訓を真剣に生かした、命と健康、くらし第一の大阪市政をきずくため、ともに力を合わせることをよびかけます。
(2)府市の新型コロナ対策の転換こそ急務
新型コロナ対策について、維新の松井市長、吉村知事は「府市一体の『バーチャル大阪都』でうまくやっている」といいますが、現実はどうでしょうか。
感染防止・対策のカナメをなすPCR検査は、府内で1日平均2100件(8月1-22日)にとどまり、検査能力数では東京都の4分の1、神奈川県の半分となっています。吉村知事は、世田谷区がすすめているPCR検査の大量検査、「いつでもどこでも何度でも受けられる」方式を「そのままわれわれに当てはめるっていうのは、現状ではそう簡単にはできない。やる必要もない」と言い放っています。
重症病床使用率は実運用数の5割に上っています(9月1日現在)。府専門家会議座長の朝野和典・大阪大学教授(感染制御学)は「受診を我慢したり、検査を受けるまでに時間がかかったりするケースがあるのではないか。重症者全体の多さも含め、原因分析が必要だ」と指摘しています。
吉村知事が「うそみたいな本当の話。コロナに打ち勝てるかも」とのべ、物議をかもした「イソジン発言」や「大阪は人工呼吸器を早めにつけている」など、科学的根拠のない発言には専門家から強い批判がでています。
大阪市は10万円の特定給付金給付が大きく遅れ、1000億円もの財政調整基金があるにもかかわらず、全国各地で実施された、コロナの患者を受け入れた病院への支援や中小企業への無利子、信用保証料ゼロなどの独自のコロナ対策をしていません。
日本共産党は、1日1~2万件のPCR検査体制、病院・介護事業所・障害者福祉事業所への減収補償など、医療・介護、くらしと中小企業の支援の強化を求めてきました。
こうした府民、市民の命とくらし、経営を守るためのコロナ対策の遅れの背景には、「二重行政の解消」を叫び、住吉市民病院廃止を強行、医療・公衆衛生分野の切り捨てをすすめてきたこと、「何でも民営化」で「公」の役割を投げ捨ててきたこと、「一人の指揮官」による独断の横行など、「維新政治」と「都構想」による間違った政治姿勢があります。
いま大阪市がなすべきは、こうした姿勢と対策の根本的転換です。
(3)矛盾と破たんがあらわな「都構想」の「設計図」
「大阪市廃止=都構想」の「設計図」は、2015年時の「バージョンアップ」どころか、維新・公明の「野合」によって、破たんがあらわです。
私たちは、①「大阪市廃止=都構想」は、膨大なコストがかかるのに財源の保証がないため、設置される「特別区」は財源がなく、「18歳までの医療費助成」「高齢者への敬老パス」などの住民サービスは後退せざるをえないこと、②「コストを抑える」といって「特別区」の新庁舎をつくらず、「中之島合同庁舎」とするため、新しい「淀川区」などは「特別区外」の職員の方が多数になるなど、おおよそ自治体の体をなさないこと、③介護保険などは「一部事務組合」の仕事となり、直接区民の声が届かず、保険料の引き下げなどがほぼできなくなること、④「特別区」は、財源の多くを府に奪われ、「府」頼みとなり、今後増える社会保障を自前で推進することが困難になること、などを指摘してきました。
また「協定書」は「コロナ以前」に決められものであり、コロナ後の現在は、特別区が財政的に成り立たないことは明らかと指摘してきました。大阪市は、にわかに新たな「財政シミュレーション」をだしてきましたが、コロナ禍でとても利益の計上や財政見通しが立てられない「大阪メトロ」から、巨額の「配当」が「特別区」にはいるという虚構のもとで、「成り立つ」としているものです。「協定書」のずさんさは鮮明です。
維新は「都構想」は「二重行政が解消できる」とあおりますが、新型コロナ対策では、国も、大阪府も、大阪市も、二重三重に対策を講じてこそ打開の道が開けることが痛感されています。また「大阪の成長を止めるな」などと主張してきましたが、インバウンドとカジノ頼みの「成長戦略」はすっかり破たんしています。
みずからの政治的思惑のために、虚構の前提のうえに大阪市を廃止・分割し、暮らしも住民自治も壊すなど、文字通り「百害あって一利なし」といえるのではないでしょうか。
(4)新しい大阪へ、6つの方向で
新型コロナ問題は、これまでの大阪の政治・経済・社会のあり方の根本転換を求めています。日本共産党は、「大阪市廃止」ではなく、大阪市の力を活かした新しい大阪へ、次の6つの方向を提唱し、府民・市民のみなさんとともに議論し、一歩一歩実現する道をきりひらくことをよびかけます。
1、医療・介護・社会保障が充実した安心の大阪に
24区の保健センターを保健所に戻し、医師・保健師など専門職を増やす。介護、障がい福祉、保育の民間事業所で働くケア労働者への人件費助成制度をつくり、低賃金・長時間労働の是正、正規化をすすめる。国保料と介護保険への公費投入で保険料を引き下げる。
2、みんな楽しく子育てできる大阪に
こどもの医療費助成制度の窓口負担をなくす。保育所の低年齢児枠を拡大する。保育所を増やし、すべての申請児が入所できるようにする。保育所・こども園・幼稚園などの副食費を無償化する。新婚世帯向け家賃補助制度を復活させる。
3、こども中心の教育、文化豊かな大阪に
当面「30人学級」にし、さらに「20人学級」にする。関係者の合意なしの学校統廃合はやめる。市立大学の学費を半減させ、さらに無償化に向かう。中小企業や医療、介護・福祉の事業所への就職者で、貸与型奨学金を返還している人の返還金への助成制度をつくる。中小企業や事業者の人材確保にもつなげる。総合的な「芸術文化センター」をつくり、まちと経済の活性化にも役立てる。
4、消費と中小企業の活性化で景気回復させる大阪に
資金繰りや販路拡大、IT化、後継者づくりなど中小企業支援を抜本的に強化する。中小企業の社会保険料の使用者側負担を支援する制度をつくり、最低賃金の1500円への引上げをすすめる。減災・防災と、医療・保健・福祉・介護・教育への公的資金の投入を抜本的に増やし、大阪経済の成長につなげる。カジノ誘致とそのための大型開発は中止する。
5、「何でも民営化」を改め、「公」の役割を果たす大阪に
公立保育所・幼稚園のこれ以上の民営化は中止する。水道の民営化はせず、安全で安価、良質な水の安定供給をつづける。環境科学研究所は、直営に戻し、市民の生命・健康を守る公衆衛生への責任を果たす。病院、保健所などは、危機対応できるよう職員体制を強化する。
6、誰もが大切にされ、尊厳をもってくらせる大阪に
男女共同参画センター・クレオ大阪でのジェンダー平等の施策を抜本的に強める。ひとり親家庭の医療費助成制度の窓口負担の無料化。就労支援や相談体制など、生活支援を拡充する。セクハラ・DV・性暴力のない社会づくりをすすめる。性暴力被害者を支援する条例をつくり、相談と支援をすすめる。
みなさん
「大阪市廃止=都構想」のために1300億円(向こう15年分の試算)もかけるというムダ遣いをやめ、政令市として持っている大きな権限と財源をまっすぐ市民のために使えば、コロナ対策はじめ、命と健康を守り、くらしをよくすることは必ずできます。
2015年の住民投票で大阪市民は維新による激しい宣伝攻勢のなかでも、大阪市のあり方を真剣に考え、ともに語り合い、「大阪市廃止」に「NO」の選択をおこないました。新型コロナ問題で、「明日の大阪」を誰もが真剣に探究しているいま、今度も「大阪市廃止」にきっぱり「NO」の意思を示し、その力で大都市・大阪でのくらしと自治をみずから守り、発展させる大きな一歩を日本共産党とともに踏み出そうではありませんか。