おおさかナウ

2020年09月21日

都構想 サービス維持不可能
関テレ報道番組 共産・山中氏が力説

討論する(右から)山中氏と松井氏=8日、関西テレビより

討論する(右から)山中氏と松井氏=8日、関西テレビより

 大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の住民投票が11月1日投開票で行われることが決まってから初めての討論番組が8日、関西テレビ「報道ランナー」で放送されました。日本共産党、自民党、大阪維新の会、公明党の代表が出席し、「特別区」で住民サービスが維持できるのか、財政が成り立つのかどうかなどについて議論しました。
 維新の松井一郎代表(大阪市長)は、「特別区」設置が否決された前回の住民投票では、「デマで反対が多かった」と言い募り、「(『都』構想で)いきなり水道料金や公営住宅が値上げとか、そういうことじゃない」と述べました。
 日本共産党の山中智子大阪市議団長はすかさず、「生活に影響が出るというのは決してデマではない」と反論。司会の新実彰平アナウンサーが、大阪市の現在の財源8800億円のうち2千億円が府に、6800億円が「特別区」に配分されると説明したのを受け、「それが本当に(『特別区』に)来るかどうか全然担保がない」と釘を刺しました。
 山中氏は、「特別区」に新庁舎を造らない今回の制度案でも、イニシャルコスト(初期費用)が241億円、ランニングコスト(運用経費)が毎年30億円かかると指摘。「今までより収入が減って支出が増えるわけだから、『特別区』は今の(大阪市の)住民サービスは維持できない」と力説しました。
 「都」構想を巡り、維新に屈して「反対」から「賛成」へと態度を一変させた公明党府本部の土岐恭生幹事長(大阪市議)は、「住民サービスはすべて維持します」と強弁。新実アナウンサーが失笑し、言葉を詰まらせる一幕もありました。
 「特別区」の制度案づくりを担う副首都推進局が8月に出した財政シミュレーション(更新版)が、大阪メトロからの税収や配当が増えることが前提になっている問題も議論になりました。新実アナウンサーは、新型コロナの影響で大阪メトロは4~6月期の決算で62億円の赤字だが、財政シミュレーションには入っていないとし、「本当に『特別区』はやっていけるのか」と問い掛けました。
 自民党の北野妙子大阪市議団幹事長は、「やっていけない」と指摘。大阪メトロの減収を反映せず、インバウンド(訪日外国人旅行)が好調だった19年時点の大阪メトロの経営計画に基づくもので、「一企業に依存する財政シミュレーションを、唯一の財政が成り立つ根拠にしている。それはおかしい」と批判しました。
 松井氏は「インバウンドは十分戻るし、その成長を確実なものにする」と強弁。番組解説デスクの神崎博氏が、ポストコロナで在宅勤務が増えるなど、大阪メトロの利用客が元に戻らない可能性もあるとし、「3段階くらいのシミュレーションがあってもいいのでは」と質問しましたが、松井氏は現在の試算で「全然問題ない」と居直りました。

(大阪民主新報、2020年9月20日号より)

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