おおさかナウ

2020年10月05日

大阪市廃止・分割(都構想)巡り討論
ネット番組「とことん共産党」 辰巳前参院議員・山中大阪市議団長が出演

 大阪市を廃止して4つの「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の住民投票(10月12日告示、11月1日投開票)を全国的な課題として考えようと、日本共産党のインターネット番組「とことん共産党」が9月25日、生配信されました。同党の小池晃書記局長、辰巳孝太郎前参院議員、山中智子大阪市議団長が出演し、「都」構想を巡る疑問に答えながら討論。朝岡晶子さんが司会しました。番組は動画投稿サイト「ユーチューブ」で視聴できます(「とことん共産党」で検索)。

「とことん共産党」で討論する(左から)小池、山中(リモート出演)、辰巳、朝岡の各氏=9月25日、ユーチューブより

「とことん共産党」で討論する(左から)小池、山中(リモート出演)、辰巳、朝岡の各氏=9月25日、ユーチューブより

大阪市は再び元に戻らない

 山中氏は、「都」構想とは大阪市をなくし、政令市・大阪市がもつ権限・財源を府が奪うもので、「何もできない無力な『特別区』をつくり、一人の指揮官(大阪府知事)が好きなことをするという、とんでもない構想だ」と指摘。辰巳氏は、大阪市が廃止されれば、法律上、再び大阪市には戻せず、大阪府は「都」にならないと説明しました。
 小池氏は高市早苗総務相が「元へは戻せない」と国会答弁で述べていると紹介。前回の住民投票で「都」にならないことを知らずに「賛成」に投じた人が少なくないことについて、「詐欺じゃないですか」と語りました。

コロナ対策で独自施策なく

 松井一郎大阪市長(大阪維新の会代表)が、大阪のコロナ対策は「バーチャル(仮想)都構想でうまくいっている」と主張しています。
 辰巳氏は、松井氏が大阪市はなくなったとみなしてコロナ対策を府に丸投げし、財政調整基金などの貯金が1300億円あるにもかかわらず、市独自の対策を行ってこなかったと批判。山中氏は、何が何でも住民投票を行うために、いわゆる「大阪モデル」で感染状況を示す「赤信号」を永遠にともらないように変えてしまったと述べました。

超高層ビルは政策の失敗だ

 維新は、府と大阪市の「二重行政の無駄」を「都」構想で「解消」すると宣伝しています。山中氏は、松井氏らが挙げる旧WTCビル(市)やゲートタワービル(府)という2つの超高層ビルの失敗は、「2つあるから悪いのではなく、1つもつくってはいけない。政策の失敗だ」と指摘。辰巳氏は、カジノ・万博予定地の夢洲で大阪メトロが超高層ビルを計画していることについて、「同じことを繰り返そうとしている」と述べました。

「特別区」ではサービス低下

「都」構想の問題点をまとめたパネルも紹介されました=9月25日、ユーチューブより

「都」構想の問題点をまとめたパネルも紹介されました=9月25日、ユーチューブより

 辰巳氏は、「特別区」の設置には初期費用や運用経費が15年間で1300億円かかるが、大阪市を廃止しなければ必要のないお金だと指摘しました。小池氏は「これだけお金があれば、医療・教育・福祉でやれることはたくさんある」と語りました。
 山中氏は、大阪市は失敗した巨大開発の借金をようやく返し終えるとし、「切り捨てた住民サービスを元に戻さないといけないときに、その力を奪ってどうするのか」と強調。「特別区」では税収が減る一方で、コストは増えるため、18歳までの医療費助成や敬老パスなど大阪市が政令市の力で築いてきた独自施策は削らざるを得なくなると語りました。

大阪市を守るたたかい広げ

財政試算に盛り込まれた施設の大幅削減を示すパネル=9月25日、ユーチューブより

財政試算に盛り込まれた施設の大幅削減を示すパネル=9月25日、ユーチューブより

 視聴者から寄せられた「なぜ共産党は自民党と一緒に反対しているのか」という質問に対して山中氏は、「地球が侵略を受けたら、地球の仲間は一緒にたたかう」と説明。今回はそれぞれたたかっているが、「大阪市をなくしてはならない」と思う人たちと共にたたかうのは当然だとしました。
 山中氏は、住民投票はどれだけ投票率が低くても成立し、「賛成」が1票でも多ければ大阪市がなくなると強調し、全国から大阪市民の知人・親戚に「反対」票を投じるよう働き掛けてほしいと呼び掛けると共に、「私たちも死力を尽くす」と決意を語りました。
 辰巳氏は、党派のたたかいではなく、130年の歴史ある大阪市を守るたたかいだとし、「知れば知るほど賛成できないのが、大阪市廃止構想。『分からない』という人は、白票ではなく、『反対』票を投じてほしい」と訴えました。

(大阪民主新報、2020年10月4日号より)

月別アーカイブ