橋下市長・安倍首相
憲法改悪へ意気投合
都構想は改憲の予行演習——橋下氏
維新の党に協力を得たい——安倍氏
なんとしても都構想ストップを
大阪市の橋下徹市長(大阪維新の会代表)と安倍首相が、改憲で意気投合しています。安倍首相が憲法改正の発議で維新の党の協力を求めれば、「協力も何もできることはなんでもします」と橋下氏。両者を結ぶキーワードは「大阪都」構想。橋下氏は、大阪市を廃止・解体する特別区設置の「協定書」の「住民投票」を“憲法改正の予行演習”とまで言い放ち、危険な改憲パートナーぶりを隠そうともしていません。
■都構想を評価
安倍首相は関西テレビのニュース番組に出演し、「大阪都」構想について「二重行政をなくし、住民自治の拡大のために意義はある」と理解を示す発言を行いました。これを受けて橋下氏は、翌15日の定例会見で「たいへんありがたい」「僕はうれしくてしょうがなかった」と喜びました。
昨年末の総選挙で自民・公明与党が衆院の3分の2を上回る325議席を占め、安倍首相は、首相指名後の会見で「戦後以来の大改革」を表明。5日の年頭会見では26日開会の通常国会を「『改革断行国会』にしていきたい」と語り、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」に基づく安全保障法制整備を進めることや、戦後70年の首相談話を発表する意向も示しています。
こうした中での安倍発言。憲法改正の発議について「与党だけではできない。維新の党の賛成で多数を構成できればいい」と協力を求めたことに関し、橋下氏は「憲法改正は絶対必要。もう安倍総理にしかできない」とまで持ち上げました。
■総理は実現を
「まあ、その予行演習ですよ、『大阪都』構想は」——15日の会見でこう語った橋下氏。「大阪都」構想の「協定書」について、「憲法改正における国民投票と同じような形でこれから住民投票をやる。『大阪都』構想、それに加えて憲法改正。これはぜひ総理に実現してもらいたい」と述べました。
総選挙で「第三極」が議席を大幅に減らし、旧日本維新の会から分裂した次世代の党は公示前の19議席から2議席へと激減する中、橋下氏が共同代表の維新の党は41議席と公明党(35議席)を上回る勢力。橋下氏は選挙後、都構想実現やいっせい地方選に専心するとして共同代表を辞任しましたが、いっせい地方選後には復帰もありうるとされています。
昨年末、公明党府本部が党本部や創価学会の要請で「都構想は反対だが、住民投票は協力する」と態度を急変、法定協議会での「協定書」議決で橋下・維新の会を助けました。背景に政権の思惑があったとも取り沙汰されています。
松井知事も19日に首相官邸で菅義偉官房長官と面会し、「協定書」が府市両議会で議決され、5月にもその是非を問う「住民投票」が行われる見通しだと説明。菅氏は「東京と大阪の2極をつくることは、日本の成長のためにも意義がある」と答えています。
■改憲を掲げて
橋下氏は国政政党結成に動き出した2012年当時から、「憲法改正〜決定できる統治機構の本格的再構築〜」(「維新八策」)を公然と掲げ、憲法改正の発議要件(96条)の緩和や憲法9条の改正を問う「国民投票」などを主張し、安倍政権の補完勢力ぶりをあらわにしてきました。
また橋下氏は憲法9条を敵視する発言を行うだけでなく、「安倍さんと共通するのは教育、憲法観」(2012年8月)などと発言。昨年末の総選挙でも投票日前日の街頭演説(12月13日、JR天王寺駅前)で、「野党に総理を務められるメンバーは誰一人いない。安倍さんで結構だ。自民党で結構だ」などと叫んでいました。
(大阪民主新報、2015年1月25日付より)