大阪市を廃止して４つの「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の賛否を問う住民投票は１日投開票され、大接戦の末、「反対」（69万２９９６票）が「賛成」（67万５８２９票）を上回り、大阪市の存続が決まりました。前回２０１５年の住民投票に続き、市民が下した「大阪市廃止ノー」の審判。看板政策の「都」構想を掲げて暴走してきた大阪維新の会は、松井一郎代表（大阪市長）が任期満了での政界引退を表明するなど、大きな打撃を受けました。当日有権者数は２２０万５７３０人、投票率は62・35％でした。

大勢判明を受け記者会見する（前列左から）福井、荒田、山中、柳の各氏＝１日、大阪市北区内

松井市長　任期満了での政界引退表明

　今回の住民投票は、５年前の審判を踏みにじった維新が、新型コロナの収束が見通せない中で強行されました。
　前回反対した公明党を抱き込むため、「特別区」の制度案は新庁舎を造らず、住民サービスも「特別区」設置時（25年１月１日）は「維持する」が、それ以降は「維持に努める」だけで何の保証もないなど、破綻があらわでした。
　日本共産党も加わる大阪市をよくする会（よくする会）と明るい民主大阪府政をつくる会（明るい会）は、「大阪市廃止か１３０年の歴史ある大阪市の存続か」「住民サービス低下か、大阪市の力を生かした拡充か」「カジノ・インバウンド頼みか、命、暮らし第一への転換か」を争点に押し出し、大阪市廃止・分割の正確な情報を知らせ、市民とともに考える「１００万対話」などの取り組みを展開しました。
　「大阪市廃止反対」で多くの団体・市民が活動を広げ、文化人・著名人がアピールを発信しました。投票前日の10月31日には、市民と野党の共同街頭演説も行われました。
　維新は公明党と野合し、４億円ともいわれる資金を使った大量のビラやテレビコマーシャルなど「物量作戦」を展開。住民サービスは「グ～ンとＵＰ（アップ）」というチラシを出すなどしました。
　最終盤、大阪市分割で年間２１８億円のコストがかかるとした市財政局の試算を「ねつ造」と攻撃するなど、なりふり構わぬ動きに出ました。

賛否超え新しい大阪を

　１日深夜、「反対多数確実」の大勢判明を受け、明るい会の荒田功、よくする会の福井朗両事務局長、日本共産党の柳利昭府委員長、山中智子大阪市議団長が大阪市北区内で記者会見。住民投票の結果は大阪市民の良識を示すものであり、「賛成」「反対」を超えて新しい希望ある大阪をつくろうと呼び掛けました。

共産党府常任委員会が声明

　日本共産党府常任委員会は２日発表した声明「住民投票勝利――大阪市民の良識の力による歴史的勝利」（クリックすると全文を読めます）で、大阪市廃止に再び「反対」を突き付けたことは市民の良識の発揮だと強調しています。
　今回の勝利は大阪の前途に希望をもたらすとともに、維新の政権補完と野党共闘つぶしの野望に打撃を与え、国政に大きな影響を与えるものだと指摘。大阪で維新政治を転換すると共に、来るべき総選挙で菅政権と維新を少数に追い込み、野党連合政権を実現する決意を表明しています。

(大阪民主新報、2020年11月8日号より）