おおさかナウ

2020年11月08日

住民投票反対多数で大阪市存続決まる
暮らしと営業を守る
当たり前の大阪市へ

 大阪市廃止・特別区設置の賛否を問う住民投票で「反対多数」が確実となった1日深夜、明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)が大阪市北区内で共同の記者会見を行いました。明るい会の荒田功、よくする会の福井朗両事務局長、日本共産党の柳利昭府委員長、山中智子大阪市議団長が出席。住民投票のたたかいを振り返りながら、結果を踏まえて希望ある大阪をつくる方向などについて語りました。

明るい会・よくする会 共同記者会見開く

■真実を知らせた

「反対多数確実」の速報を受けて記者会見する(左から)福井、荒田、山中、柳の各氏=1日、大阪市北区内

「反対多数確実」の速報を受けて記者会見する(左から)福井、荒田、山中、柳の各氏=1日、大阪市北区内

 「5年前に続いて2度目、大阪市廃止に反対していただいた大阪市民の良識に、あらためて敬意を表したい」と切り出した荒田功氏。世論調査では当初、「賛成」が「反対」より十数ポイント多い状況から、大阪市廃止・分割の真実を知ってもらい、「知ってもらえれば、必ず反対に投じてもらえると信じてやってきた」と語りました。
 荒田氏は「大阪市を愛するたくさんの人たちの思いが一つの結果を生んだことは本当に喜ばしく、明日の大阪をつくっていく大きな希望につながる」と指摘。「この結果は決してゴールではなく、スタート。大阪市と大阪全体や日本社会が、住民の暮らし、命を最優先にした社会、自治体であり続けるため、これからも頑張る」と抱負を語りました。

■市民と共に考え

 柳氏は住民投票の論戦で①「『大阪都』にするかどうか」ではなく「大阪市を廃止するかどうか」の選択②住民サービス充実は大阪市を守り生かしてこそ可能③カジノや夢洲開発ではなく、大阪市の力を安心の社会保障や中小業支援に注ぎ、本物の成長をつくろうと訴えたと指摘しました。
 これらの情報を草の根の宣伝・対話を通じて市民に丁寧に届け、一緒に考えて判断しようと取り組んできたことを紹介。同時に市民の手作りの運動も大きく広がったことも大きな特徴で、維新が公明党との野合や市役所ぐるみなどで力づくで押し通そうとしたことを、市民の草の根の力で打ち破ったと強調しました。
 柳氏は、市民の審判の上に立ち、大阪市の力を生かしてコロナ対策の抜本的強化、住民サービスの充実を求める取り組みに力を合わせたいと表明。「大阪市を守り抜いた力で、次の総選挙で菅政権の補完勢力である維新を国政でも倒し、野党連合政権を実現するために力を尽くす」と決意を語りました。
 山中氏も「市民の皆さんの良識、見識に心から敬意を表したい」とし、「これで本当にノーサイド(敵味方なし)にして制度いじりではなく、市政の中身を市民の命や暮らし、営業、教育を守り、福祉を向上させるという、当たり前の普通の自治体に戻し、『この街に暮らして良かった』『大阪市を残してよかった』と思ってもらえるように、スタートを切りたい」と話しました。

■国政でも審判を

 記者の質問に福井氏は、「賛成派」と「反対派」の主張が正反対で、数字も違うという中で、「なんとなく賛成」の人や「絶対反対」の人、「よく分からない。いま決めるのはちょっと待ってほしい」という意思表示としての「反対」もあったのではないかと指摘。その中で「いったん大阪市をなくしてしまえば、元に戻す法律はない。そんな法律は簡単に作れない」と訴えたとし、今回の結果は「市民の皆さんが悩みに悩んだ上での民意だ」と語りました。
 荒田氏は「今回の住民投票は5年前と全く違う状況で行われた」とし、コロナ禍で暮らしや営業の不安に駆られる市民一人一人に、大阪市の存廃を問うことは大変過酷な話だったと指摘。維新が宣伝に副首都推進局を使うなど、住民投票そのものの中立性・公平性が損なわれてきたとし、「市民の良識で大阪市廃止を止めることができたが、今回の住民投票のプロセスそのものも検証すべき」と語りました。

(大阪民主新報、2020年11月8日号より)

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