住民投票の市民の審判にたち、新しい大阪市への歩みをともに
――維新が策す「広域一元化条例」「8区総合区案」に反対します
11月18日、日本共産党大阪府委員会の維新対策本部は次のアピールを発表しました。
住民投票の市民の審判にたち、新しい大阪市への歩みをともに
――維新が策す「広域一元化条例」「8区総合区案」に反対します
2020年11月18日 日本共産党大阪府委員会・維新対策本部
(1)
11月1日の大阪市・住民投票において、大阪市民は再び「大阪市廃止に反対」の審判を下しました。大阪市の存続と市民本位の発展を望む市民の良識と共同による歴史的勝利です。
日本共産党は、大阪市廃止を許さず、「特別区」設置コストに1300億円もかけるのではなく、いますぐ新型コロナ対策をはじめ、市民の命と暮らしを守るために振り向けること、カジノ(IR)誘致やインバウンド(外国人観光客)頼みの「成長戦略」ではなく、政令市ならではの財源、権限を活かし、福祉と教育、中小企業支援などに力をつくすことを提起してきました。
また、住民投票で「賛成」に投じたみなさんの多くも、大阪市の改革を願ってのものです。賛否をのりこえ、市民の声が活かされ、市民の声で動く大阪市をどうきずくか。ともに議論し、足を踏み出す時を迎えています。
(2)
こうした流れに真っ向から挑戦するかのように、松井大阪市長、吉村府知事は、住民投票での敗北直後、突如「広域一元化条例案」と「8区総合区案」を来年の2月議会に提出する意向を表明しました。「広域一元化条例」の詳細は不明ですが、知事、市長の会見では、「大阪市の持つ権限のうち、『成長戦略』にかかわるものを大阪府に『委託』し、財源も移す」としています。その理由として、吉村知事は「二重行政解消に対して大阪市民の半数が賛成」したなどとうそぶいています。
しかし、これは住民投票の審判と市民の願いに根本から背くものです。市民は、大阪市を廃止して権限、財源を「府」に移す「都構想」にきっぱり「反対」を下しました。その民意を尊重する限り、「大阪市」から「成長戦略」の権限、財源を奪い去り、実質上「大阪市解体」につながる提案などありえません。
しかも、「住民投票」での審判は、法的に拘束力をもつものです。「大阪市廃止」は条例や議会決議などでは到底ありえず、だからこそ維新はさまざまな手段を講じて「大都市法」を国会でつくり、二度にわたる住民投票を巨額の税金を投じて強行しました。ところが、今回の「広域一元化条例」は地方自治法などの規定はなく、脱法的に強行しようというものです。みずからの政治的野望を貫くため、民意も、法も無視することは断じて許されません。
また「8区総合区案」は、再「住民投票」を狙った維新が、当初、公明党からの提案を「都構想へのカモフラージュ」(吉村氏)としてとりあげてきたものです。公明党は、「都構想」賛成に転じた時点でこれを取り下げました。「総合区」そのものは地方自治法改正時に、大都市における住民自治拡充の一方策として取り入れられたものですが、今回の松井市長らの提案は、「はじめに合区ありき」という点でも、住民の意思や議論はそっちのけで上から押し付ける点でも、およそ「地方自治拡充」とかけ離れたものです。
(3)
いま1つ、住民投票後の維新の動向で見過ごすことができないのは、大阪市議会において、住民投票最終盤に市財政局が「218億円試算」をだしたことについて激しいバッシングを繰り広げていることです。この問題はそもそも、松井市長らがかつてはみずからの「試算」をだしていたにもかかわらず、今回の住民投票にあたっては都合が悪いと隠し通してきたものです。みずからの説明責任はいっさいほおかむりして「メディアの誤報」「財政局の捏造」と非難する松井市長に対しての怒りと批判がわき起こりました。
松井市長、吉村知事は、住民投票での敗北、市民の審判を謙虚に受けとめ、これまでの「都構想」三昧の政治姿勢や異論、批判を排除する政治手法そのものを改めるべきです。さもなくば住民投票同様に、みずから墓穴を掘り、さらに大きな審判が待ち受けるでしょう。
(4)
日本共産党は広範な市民のみなさんによびかけます。
住民投票をへて、大阪市の新しい岐路にたついま、賛否をこえ、ともにこれからの大阪市のあり方について胸襟をひらいて話し合いましょう。そのなかで、維新がもちだしてきた「広域一元化条例」「8区総合区案」についても論議し、その問題点と住民投票結果に立って、きっぱりノーをつきつけましょう。府議会・市議会、各会派への働きかけもすすめましょう。
維新がくりかえす「二重行政」論や「大阪の成長」論など、この10年の「維新政治」の是非についても客観的に、お互いに検証し、議論し、市民の手で新しい大阪府・市政の改革の道をきりひらきましょう。
私たちは、市議会・府議会での論戦に力をつくすとともに、住民投票をともにたたかった市民団体、市民のみなさんとの対話・懇談をすすめます。「しんぶん赤旗」や「大阪民主新報」、必要な宣伝物やSNSでの発信も強化します。
迫る解散・総選挙でも、菅政権の補完勢力となる維新を少数に追いつめるために力をつくします。
維新政治のおおもとからの転換へ、ともに歩みをすすめようではありませんか。