共産躍進・野党連合政権実現へ
大阪から大きな流れを
オンライン演説会 志位和夫委員長が訴え
住民投票 歴史的勝利から維新政治転換へ
新型コロナ感染の第3波が起こる一方、早い段階での解散・総選挙の可能性をはらむ情勢が続く中、日本共産党の大阪・オンライン演説会が21日行われました。志位和夫委員長が、新型コロナから命と暮らしを守る取り組みに全力を尽くすと表明。同時に、次期総選挙では比例近畿ブロックで現有2議席から4議席への倍増と、すべての小選挙区での勝利を目指し、「共闘の力で政権交代を実現し、野党連合政権をつくるために頑張り抜く。大阪から日本共産党の大躍進、新しい政権をつくる流れを大きく起こそう」と呼び掛けました。(演説会の内容は日本共産党大阪府委員会のホームページから視聴できます)
良識の力発揮し反対突き付けた
志位氏は、大阪市廃止・分割の賛否を問う住民投票で、大阪市民が再び大阪市廃止にきっぱり反対を突き付ける歴史的勝利を勝ち取ったことを、共に喜び合いたいとし、「130年の歴史を持つ大阪市をなくしてはならないという良識の力を発揮した市民に、心から敬意を表したい」と語りました。
維新は国会で自公の補完勢力である以上に、悪い政治の突撃隊という「邪悪な役割」を果たしていると指摘。「大阪市民が下した審判は、共闘の力で日本の政治を変える上でも、巨大な意義を持つものだ」と強調。勝利が判明した時に、山中智子大阪市議団長が「これからは賛成した人も反対した人も『ノーサイド(敵味方なし)』で力を合わせ、大阪の福祉と暮らしを良くする仕事に地に足を着けて歩む」と述べたことを紹介し、「こういう姿勢で共産党は取り組んでいきたい」と語りました。
民意無視の暴挙 絶対に許さない
志位氏は、維新が住民投票直後に、大阪市の権限と財源を府に吸い上げる「広域一元化条例」を来年の2月議会に出すと言い出したことを、「往生際が悪い」と批判。「大阪市廃止が駄目になったから、今度は大阪市を立ち枯れにしようというもの。民意を無視する暴挙は絶対に許せない」と語りました。
さらに維新がカジノ誘致をあくまで推進しようとしているが、コロナ禍の中で世界のどこでもカジノは廃れ、「時代遅れのビジネス」になっていると指摘。「これにしがみつく愚かな政治は終わりにしよう。住民投票の勝利の次は、維新政治を転換し、大阪市政・府政を市民の手に取り戻す新たなたたかいに力を合わせて取り組もう」と呼び掛けました。
感染の爆発を抑えるために
続けて志位氏は、新型コロナ対策と菅政権による日本学術会議への人事介入という国政の2つの大問題に言及しました。
志位氏は、新型コロナの新規感染者数が連日2千人を超える危機的な状況にある中、「菅政権の対応は無為無策、逆行という他はない」と強調。西村康稔経済再生担当相が19日、「今後の感染者数は神のみぞ知る」と述べたことに触れ、「感染状況の科学的分析もできず、政府として何をなすべきかも、分からなくなっている」と批判しました。
「感染爆発は何としても止めなければならない」と力を込めた志位氏は、4つの点を訴えました。
感染爆発防止へ4つの提案
第1は、無症状の感染者を把握・保護するためのPCR検査の抜本的拡充。志位氏は、日本の人口当たりの検査数は世界153位で、「この異常な立ち遅れは、どんな言い訳も許されない」と強調。遅れの根本原因は、政府が無症状感染者を把握・保護するという検査戦略を持ってないことにあると述べました。
その上で、感染急増地(ホットスポット)となるリスクの高い、大阪市のミナミはじめ全国の繁華街などで、「大規模・地域集中型のPCR検査」と、医療機関や高齢者施設などに対する「社会的検査」を実施するよう提案。これらを「自治体任せ」ではなく、全額国庫負担で行わせるよう、声を上げようと述べました。
第2は、感染の接触追跡(コンタクト・トレーシング)を専門に行うトレーサー(追跡者)を確保し、保健所の体制を抜本的に強化すること。志位氏は、大阪市内には1カ所しか保健所がないため、接触追跡が全国水準と比べても低いと指摘。大阪市内の感染経路判明率は33%で、東京23区の40%と比べても低いとし、「検査、保護、追跡を一体で推進するという基本原則を抜本的に強化してこそ、感染拡大を抑止できる」と語りました。
第3は、医療崩壊を絶対に起こさないために、医療機関への減収補てんをしっかり行い、宿泊療養施設を確保すること。志位氏は、菅義偉首相は医療機関への支援に3兆円の予算を投入したというが、現場に届いているのはその2割に満たず、多くの医療機関では、冬のボーナスもカットの動きになっていると指摘しました。
第4は、感染急拡大の下、「Go To」事業を見直すことです。志位氏は「Go Toトラベル」が感染拡大のきっかけになったというのが、専門家の一致した見解だと指摘。20日には、東京都医師会の尾﨑治夫会長が同事業の一時中断を求め、政府の新型コロナ対策分科会も「見直し」を提言したとし、「もともとは感染の収束が前提の事業だったのに、収束しないうちに強行したのが、そもそもの間違いだった。感染拡大を招いた菅政権の責任は極めて重い」と批判しました。
志位氏は、全国一律の「Go To」事業をやめて地域ごとの事業にし、中小・小規模事業者が支援を受けられるようにし、持続化給付金の第2弾など直接支援と組み合わせることで、観光・宿泊業を支えるように転換すべきだと述べました。
菅政権と維新「二重の人災」
「現在の感染拡大は、『菅政権による人災』という他はない」と志位氏。大阪の場合はさらに「維新政治による人災」も加わり、「二重の人災」に苦しめられているのが大阪の現状だときっぱり。大阪府の感染の中心地は大阪市だが、維新市政は「バーチャル大阪都」の名で、コロナ対策を府に丸投げしてきたと批判しました。
大阪市のコロナ対策本部は5月22日以降、一度も開かれていないのは異常だと指摘。大阪市で第2波の震源地となったのはミナミの繁華街だったが、無症状者に対する集中的検査はいまだに行われておらず、「大規模・地域集中型のPCR検査」は、大阪でこそ必要だと訴えました。
さらに医療機関と高齢者施設での「社会的検査」に踏み出すべきだと主張。「住民投票で存続した大阪市が持つ1300億円の基金を使わせよう」と語りました。
志位氏はコロナ禍が、暮らしと営業に深刻な影響を与えている中、自粛と一体の補償、年末で終了する政府の直接支援策の延長・充実、消費税の5%への引き下げなどを求めたいとし、「国民が声を上げれば政治は必ず動かせる。少人数学級を巡る前向きの動きも出ている」と語りました。
任命拒否
計り知れない災いもたらす
説明ができず違憲かつ違法
菅首相による日本学術会議への任命拒否問題について志位氏は、「日本の今後に計り知れない災いをもたらす、極めて重大な問題。日本の政治の一つの分水嶺になりかねない深刻な問題だ」として、2つの大問題を挙げました。
第1は、菅首相が、任命拒否の理由を説明できない問題。「総合的・俯瞰(ふかん)的」「多様性が大事」「事前調整ができなかった」など、任命拒否を巡る答弁が次々に破綻し、うそが明らかになったと強調。「理由なき任命拒否が許されるなら、日本社会全体が、何の理由もなく誰がいつ標的にされ排除されるか分からなくなる。全体主義国家へ転げ落ちる道は、絶対に許すわけにはいかない」と語りました。
第2は、任命拒否が違憲・違法だという問題。志位氏は、国会審議を通して確定した「任命拒否はしない」という法解釈を、政府が勝手に変えることはできないと強調し、「そんなことが許されるなら、国会審議は意味をなさなくなり、三権分立は成り立たなくなる。クーデター的な解釈の改ざんは、絶対許せない」と断じました。
科学尊重する政治こそ必要
志位氏は、憲法に明記された「学問の自由」の保障は、日本がかつて侵略戦争に踏み出していった歴史的教訓に立つものだと強調。科学と政治の関係が問われているが、両者の論理は違うとして、次のように述べました。
「政治は少数意見を大切にしながら議論を尽くし、最後には多数決の原理が働く。しかし、科学は多数決ではなく、真理かどうかで値打ちが決まる。そして科学では、真理は最初は必ず少数から始まる。地動説を唱えたガリレオがそう。科学が発展するには、何よりも自由・自主性・独立性が大切。科学を政治の支配下に置いてしまえば、科学は死んでしまう。社会全体の進歩がそがれ、国民の利益も損なわれる。(任命拒否問題は)国民全体の問題。科学を政治のしもべにしてはならない。科学を尊重する政治にしなければならない」
志位氏は、日本共産党がこの問題を重視するのは、過去の侵略戦争と専制政治に命懸けで反対を貫いた唯一の政党だからだと強調。「誤った歴史を繰り返させないことは、党の存在意義に関わる重大な責任だ」とし、違憲・違法の任命拒否の撤回へ頑張り抜くと表明しました。
最後に志位氏は、菅政権について「戦後最悪の政権」と批判してきた安倍政権以上に強権、かつ冷酷だと指摘しました。「国民に説明する意思も能力もない点でも、菅首相は前任者を上回る。こんな政権をおめおめと続けさせるわけにはいかない。次の総選挙で、共闘の力で必ず政権交代を実現しよう。『オール野党』で野党連合政権をつくり、どうか日本共産党の大躍進を」と訴えました。
立民・社民が連帯メッセージ
村上氏(立民)・大椿氏(社民)
オンライン演説会には、立憲民主党府連代表代行の村上史好衆院議員と、社民党府連の大椿裕子副代表が連帯のビデオメッセージを寄せました。
村上氏は、住民投票で存続を勝ち取った大阪市の発展のために力を合わせるとともに、安倍政治を継承する菅政権に対し、野党が共闘してコロナ対策や国民生活優先の政治を訴えていると強調。「新しい政治をつくるのが野党の責任。野党がまとまり、国民の生活が第一の生活をつくるため協力しよう」と語りました。
大椿氏も、住民投票で市民と力を合わせて大阪市を守り抜いた経験を次に活かしたいと語ると同時に、コロナ禍での解雇・雇止めを許さず、生活困窮者と共に政治を変えたいと表明。「そのためにも市民と野党の共闘の力を大阪から、全国から実現していきたい」と語りました。
(大阪民主新報、2020年11月29日号より)