医療崩壊・感染拡大防げ
新型コロナ感染拡大 医療現場が逼迫
検査拡大、病床・人員体制強化を
新型コロナウイルスの感染者が大阪で急拡大しています。コロナ「第3波」では感染者の死亡割合が大阪は全国より高くなっています。12月1日には新たに318人の感染が確認され、6人が死亡。重症者は過去最多の125人に上り、重症病床の使用率が77・6%になるなど医療体制が逼迫しています。大阪府保険医協会が行った緊急アンケートでは医療機関の実態が浮き彫りに。日本共産党大阪府委員会が民間病院に行った聞き取りでは、病床数と人員不足などが訴えられました。
府・市の責任で発熱外来、検査センターの増設置を
府保険医協会が緊急アンケート
開業医らが加盟する大阪府保険医協会(会員約6千人)では、新型コロナウイルスの「診療・検査医療機関」に手を上げた医療機関の疑問や不安、受け入れを表明していない医療機関の動向などを調べる緊急アンケートをこのほど実施しました。
大阪府では、厚生労働省の方針に基づいて、新型コロナの診療またはPCR・抗原検査のどちらかを行う「診療・検査医療機関」として、11月27日現在で1164カ所を指定しています。
アンケートに回答した527件(大阪市192件、大阪市外335件)のうち、指定医療機関は府全体で131件(大阪市46)、受け入れを表明していないのは395件(大阪市145件)でした。
PCR検査を行うべき
指定医療機関で不安な点が「ない」と答えたのはわずか2件。「ある」と答えた機関では「院内感染」「スタッフ・家族の二次感染」「休業した場合の補償」「風評被害」(複数回答可)が上位を占めました。
受け入れを表明していない機関では、その理由として「動線の確保」「陽性患者の待機場所確保」「換気などの環境整備ができない」が多い一方、2割に当たる72件は、理由が解決すれば受け入れると答えました。地域に検査センターや発熱外来センターが設置されれば「協力する」と答えた機関は、大阪市で5割を超えました。
大阪府・大阪市への希望(複数回答可)では、全体の半数以上が「感染者の受け入れ体制の確保」「PCR検査センターの増設置」「感染者発生の際の休業補償」と答え、「保健所の機能強化」を求める機関も約半数に。自由記述では、「行政主導でPCRセンター等を整備をせず、開業医に丸投げする態度は許せない」「経済を動かしたいのであればPCR検査をハードルなく行うべき」などの声が寄せられました。
府に丸投げする大阪市
大阪市の小児科医は、「感染者数が急増し、保健所が再び電話がつながらず、つながったとしても3日間待たされることも。医師が検査の必要性を認めた場合は、速やかに検査センター等で検査できるような体制を構築しなければならないのではないか。大阪市は8カ月間進展がない」と訴えています。
28日、大阪市内で行われた会見で、高本英司理事長は、検査数が伸びず、感染が止められない背景として、大阪市が5月以来、感染症対策会議も開かず、大阪府に丸投げしていること、270万人の大阪市に保健所が1つしかなく機能まひしていること、開業医が協力しようとしているのに、PCR検査センターや発熱外来センターもつくらないことなどを指摘。府・市の責任で発熱外来、検査センターの増設置と保健所を増やすことは必須だと述べました。
(大阪民主新報、2020年12月6日号より)