深刻で複雑な相談相次ぐ
年末年始の臨時相談に取り組んで
日本共産党大阪府委員会は年末年始、臨時相談に取り組みました。相談内容と今後の課題などについて、相談に当たった府委員会新型コロナウイルス関連対策本部本部長の辰巳孝太郎さんの寄稿を紹介します。
日本共産党府新型コロナウイルス関連対策本部本部長 辰巳孝太郎
役場が閉庁となる年末年始、日本共産党大阪府委員会は12月27日から1月3日までの8日間、臨時相談窓口を設置し、生活困窮者への対応や、活用できる制度の紹介などを行いました。私が対応した事例を寄稿します。
売上不振で住宅ローン返済が困難に
40代の洋服店を営む夫婦は、新型コロナの影響で売り上げ不振に陥り、住宅ローンの返済が困難となり相談窓口に電話されました。
私からは金融庁が今年4月に発出した事務連絡で、顧客からの返済猶予の求めに柔軟な対応を求めたことを紹介。6カ月間の返済猶予、元金据え置きを勝ち取ったケースもあることを伝えました。相談者は年が明ければすぐに金融機関に相談すると話しています。
医療費が生活圧迫し生活保護を希望
高齢の両親と同居している無職の40代女性からは、分譲住宅に住んでいるが親の医療費が高く、生活保護を利用できないか、という相談が寄せられました。
一般に生活保護利用の際は資産の活用が求められますが、持ち家だからといって必ず売却しなければいけない訳ではありません。ローンを返済し終え資産価値が一定以下の持ち家であれば、売却せずに住み続けることができます。
なお厚生労働省は昨年4月の事務連絡において、将来自立の見込みがある場合、自動車や事業で使用している工場機器等の保有を認める方針に変更しています。
この相談者の場合は、現在のところ預金も一定あり、今すぐに生活保護申請にはなりませんが、医療費の負担軽減ができる無料低額診療を実施している医療機関を紹介しました。
その他、会社から嫌がらせを受けているなどの労働相談もありました。
居所失った人への踏み込んだ施策を
臨時相談の期間は、失業等で家を失う恐れがあるなどの相談はありませんでしたが、新型コロナの影響は益々深刻化しており、今後そのような相談が発生することも十分考えられます。
その際、まず活用したいのは住居確保給付金です。家賃を補填(てん)してくれる制度で、失業だけでなく収入減となった世帯にも対応しています。今般、給付期間が9カ月から12カ月に延長となりました。返済不要の給付金です。
そしてこれから最も重要なのは居所を失った方への対応です。東京都では家を失ってホームレス状態になっている方のために、ビジネスホテル等を確保し対応しています。残念ながら同様の支援が大阪にはありません。
大阪市内には、無料で宿泊できる「あいりんシェルター」(西成区)がありますが、相部屋で感染症対策には不向きですし、女性や家族の使用は想定されていません。従来の枠を超えた踏み込んだ行政支援が求められます。
コロナ禍において日本共産党の各地区委員会や生活相談所で開かれている相談会は、文字通り「駆け込み寺」となっていると思います。国民の苦難軽減のために働く共産党の役割は、今後さらに大きくなっていきます。
(大阪民主新報、2021年1月10日号より)