一人で悩まず共に乗り越えよう
各地でフードバンク
「一人で悩まないで。みんなでコロナ危機を乗り越えよう!」と、新型コロナなどの影響で生活苦に直面する人々を、食料や日用品を無料で提供して支援する「フードバンク」が24日、大阪市西淀川区内で開かれました。同市港区で昨年12月、餓死したとみられる女性2人の遺体が発見される中、地域の連帯の力で困窮者に手を差し伸べようと、西淀川区内の労働組合や民主団体などでつくる実行委員会が取り組んだもの。「本当にありがたい。コロナで失業している息子に届けます」(60代の女性)など約200人の住民が利用しました。
大手食品会社やスーパーも
西淀川 地域一体で
5万枚のビラ地域にまいて
会場は、同区御幣島(みてじま)1丁目にある泰心山・西栄寺(浄土真宗のどの派閥にも属さない単立寺院)の大本山・大阪本坊。駐車場に設営されたテントには、検温や手指の消毒コーナーを設置するほか、パックのご飯、レトルトのカレー、カップ麺、お菓子などを詰め合わせた「基本セット」(1人1袋)、米や野菜、飲み物、菓子、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、おむつなどが用意されていました。
食品や日用品は、実行委員会の構成団体を通じて寄せられたほか、「フードバンク」の趣旨に賛同した西栄寺などからの寄付金を生かして用意したもの。区内にある大手食品会社やスーパーマーケットからも食材の提供がありました。
開催を知らせるビラを5万枚作製し、3万9千枚は全戸配布、残りは各団体を通じて活用。自民党支持の町会長からも、取り組みに賛同する声が寄せられました。
生活や医療の相談会もして
開始は午前10時でしたが、冷たい雨が降る中、午前9時半ごろから住民が次々に会場にやってきます。
ビラを見て来たという男性(32)は「コロナの影響ではありませんが、昨年の夏に離職し、失業中です。こうした取り組みに感謝します」。
接客業で働いているという女性(31)は「職場ではマスクを着けないお客さんもいて不安。営業時間の短縮でシフトが減っているのがつらい」と訴えます。
西栄寺の会館では、生活や医療の相談コーナーも開設。コロナ禍の影響で職を失った60代の男性と、40代の無職の男性を生活保護制度の利用に結び付けることになりました。40代の男性は、15年前に父親が死去したことで、うつ状態に。5年前には母親が亡くなり、貯金を取り崩して生活してきたものの、所持金はあと1万円ほどになっていました。
西淀川区には外国人労働者も少なくないことから、各テントの案内板には日本語以外に英語、ハングル、スペイン語など6カ国語で表記。外国人労働者や留学生の利用も多数ありました。
困窮者埋もれさせないため
実行委員会には、子ども食堂を運営する人々も参加。2017年から活動している「TOTTO(とっと)ひめじまこども食堂」代表の與世田利恵さん(61)は、コロナ禍でシングルマザーと子どもたちが苦境にある中、お米などを届ける取り組みをすでに行っていると言います。「困っている人ほど『助けて』と言い出しにくい。私たちから声を掛けないと。高級ステーキを食べていた(菅義偉首相のような)政治家には、国民のことが見えていない」と話します。
実行委員長で医師の澤田佳宏さん(淀川勤労者厚生協会理事長)は、自ら街頭に立って「食べる物はありますか」と声を掛けながら案内ビラを手渡しました。「重症化するまで医療を受けられない事例もあり、『公助』の貧しさへの怒り、悔しさがあります。生活困窮者を地域で埋もれさせないためにも、手を差し伸べていきたい」と話します。
次回は2月27日(土)に行う予定です。
食料支援 本当に助かる
民青吹田摂津地区 関大生対象に2度目
学生を対象にした食料支援も、各地で引き続き取り組まれています。民青同盟吹田摂津地区委員会は吹田市にある関西大学の学生のために「ふ~どばんくプロジェクト」を開催=写真。昨年12月10日に続く第2弾で、約50人の学生が利用しました。
前回は関西大学正門前にある商店の店先を借りたところ、約100人が利用。今回は大学に最寄りの阪急関大前駅から、一つ北にある千里山駅の近くにある貸会場で開きましたが、午後4時の開始前から学生が立ち寄り始めました。
今回も、日本共産党の「しんぶん赤旗」読者や市民から寄せられた米やカップ麺、マスクなどを詰め合わせて一人一人に配る「基本セット」を用意したほか、食材や日用品などを自由に選べるようにしました。利用した学生からは「学費が払えるか心配」「オンライン就活がうまくいかない」など切実な声が寄せられました。
前回も利用したという2回生の男子学生(20)は、2回目の緊急事態宣言を受けてアルバイト先の飲食店が時短営業となり、勤務シフトが激減。「下宿生活のお金は自分で稼いでいるので、どうしようかと困っている。食料支援は本当に助かります」と話していました。
(大阪民主新報、2021年1月31日号より)