おおさかナウ

2021年03月22日

池田市長サウナ持ち込み
市長のパワハラ 職員が証言
池田市議会百条委員会 「秘密保持契約」の強要も

 冨田裕樹池田市長(維新公認で当選、問題発覚後に離党)によるパワハラや市庁舎の不適切使用などを調査する市議会百条委員会が開かれています。12日の百条委では、冨田市長が自身の後援会長を、市政に関わる会議に参加させていたことなどを副市長が証言しました。

動画の犯人と確信され

百条委員会が開かれた池田市議会=12日

 昨年10月22日に一部メディアで、冨田市長が庁舎内の市長室周辺に簡易ベッドや電子レンジなどを持ち込んでいる様子を映した動画の存在が報じられました。冷蔵庫や電子レンジ、トレーニング器具などが持ち込まれ、男子トイレに鍵が、女子トイレには家庭用サウナが設置されていました。
 12日の百条委では、メディアへ動画を「流出させた」と疑われた秘書課の職員が、10月25日に冨田市長の後援会長から電話で「市長ともども、あなただと確信している。そうでないのなら証明を。できないのなら真犯人を見つけて」「警察の捜査が及ぶと、元の生活に戻れない」などと告げられたと証言しました。
 また職員は同月29日、副市長に呼び出され、後援会長の事務所で「秘密保持契約」を締結させられました。その際、後援会長が職員に「明日、維新の弁護士が来て、恐らく刑事告訴する。民事と違って東京地検(なぜ東京地検なのかは不明)の事情聴取でうそは通用しない」などと話す一方、「市長は11年やると言っているから、11年後に(後継者になってはどうか)」「チャンスだ」などと告げ、動画撮影を誰に頼まれのたかと迫りました。
 副市長は百条委で、この呼び出しが市長の指示だったことを認めました。職員は「(動画を流出させたのは)私ではない」と述べ、自ら実名を明かした上で、冨田市長のパワハラや後援会長とのやりとりを生々しく語りました。

後援会長に専用駐車券

 職員は、冨田市長が後援会長について、職員らに「私と同等もしくはそれ以上」の存在として「定期的に指導を受け」るよう求めていたこと、後援会長が市役所駐車場の利用に、市長専用の定期券を使用していたことも証言しました。
 この日は後援会長への尋問も行われましたが、本人の申し出により、傍聴も報道機関の取材もできない「秘密会」となりました。

足立氏の電話に〝恐怖〟

 職員はまた、百条委での尋問の2日前に、日本維新の会の足立康史衆院議員から着信があったと明かしました。打ち合わせ中で電話に出なかったものの、上司らに相談し、「本当に恐怖を感じた」と述べました。
 足立議員は2月16日の衆院総務委員会で、池田市政について「私の元秘書(冨田市長)が、このままでは市政が私物化されると、市長として乗り込んだ」と主張。百条委から維新が排除されているとして、「こんな百条委員会の出した結果は有効か」と質問しました。
 自治行政局長は「通常の百条委員会と同じ形で成立している」と述べました。
 維新は百条委の設置に対し、「市長の人権を奪ってしまう」などとして反対しました。百条委の委員5人は、維新も出席する場で決められています。

多くのパワハラが発覚

 百条委では、冨田市長による職員へのパワハラの一端も明らかになりました。委員会が全職員に行ったアンケート調査では、796人中745人から回答がありました。119人が、市長からパワハラを受けた経験や、見聞きしたことがあると答えました。自ら実名を記入し、百条委での証言を申し出る職員も多くいました。
 「女性職員2人を呼びつけ、大声で叱責し書類を机に投げ捨てた。1人はその後、1人では市長室には行けなくなるほど恐怖を抱いた」、「他の職員のいるエレベーターホールや一般の人が通り得る市庁舎駐車場を通り抜ける間中、次の会場へ行くまで罵声を浴びせ続けた」などの告発がありました。
 冨田市長は百条委で、「指導だった」「記憶にない」などと繰り返しました。

議会答弁などで虚偽も

 同市では、昨年夏に新型コロナウイルス感染のクラスターが発生、市内初の死者が2人出ています。休暇中だった冨田市長は、「3~4時間で帰れる」として淡路島にいたと主張していましたが、実際はバイクで約1週間、九州の離島を旅行していました。幹部職員にも居場所を隠し、議長への提出書類や議会答弁(それぞれ食い違いがある)で、虚偽の日程を伝えていました。

(大阪民主新報、2021年3月21日号より)

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