おおさかナウ

2021年04月12日

枚方・伏見維新市政 市民不在で駅前再開発
中止求め市民らが運動

 枚方市の京阪枚方市駅周辺で、大規模な再開発事業が始まっています。コロナ禍の中、市民不在で「大型開発ありき」で事業が強行されていることに対し、「明るい民主府市政をつくる枚方連絡会(枚方明るい会)」などが運動を強めています。

京阪の土地に高級ホテルが

「編整備事業のイメージ図(「枚方駅周辺再整備基本計画」より、部分)

 枚方市は3月末に決めた「枚方市駅周辺再編整備基本計画(基本計画)」と「新庁舎整備基本構想(基本構想)」の総事業費は781億円で、市の負担額は314億円に上ります。
 「基本構想」では①~⑤の「街区」に区分し、枚方市駅周辺の「③街区」を市街地再開発事業として先行開発。京阪本線と交野線に囲まれた第3工区には重機が入り、既存施設の解体工事が進んでいます。
 第3工区には高層ビル群を建設し、ホテルや店舗、事務所、住宅などのほか、行政サービス機能を設けた複合施設を整備する計画。事業費453億円のうち市負担は75億円で、2023年度の完成を目指すとしています。
 第3工区の区分所有者は京阪グループで、高層棟(地上26階建て)の上層部には高級ホテルが進出するなどの計画を示しており、先行開発には同グループの強い意向が見え隠れしています。
 枚方市は13年に「枚方市駅周辺整備ビジョン」を策定しました。京阪も参加した検討協議会での議論を踏まえ、17年に基本計画と基本構想の「草案」を市議会に提示。翌年に示した「素案」では③街区を切り離して先行開発するとしました。

市民説明会も開かないまま

京阪本線と交野線に囲まれた枚方市駅北側で進む解体工事の現場

 市は、「素案」に対するパブリックコメントをことし1月4日から23日まで実施。新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が発令される中で、市民説明会は中止になりました。パブリックコメント(計279人・603件)には、「新型コロナの収束が見えない中、多くの市費が必要な再開発は立ち止まるべき」「説明会が開催されない状況で計画策定は進めるべきではない」との意見が寄せられましたが、3月末に基本計画と基本構想の決定を強行しました。
 19年の市長選に大阪維新の会公認で立候補し再選された伏見隆市長は、2月の市議会で「最重要課題の枚方市駅周辺再整備は何としてもやり遂げる決意」「新型コロナウイルス感染症との闘いは続くが、これまで進めてきた枚方市の未来への歩みを止めることはできない」などと述べ、再開発を進めようとしています。

問題点を市民に知らせて
枚方明るい会が学習会


枚方明るい会が開いた学習会=3日、枚方市内

 枚方明るい会は3日、枚方市内で一連の大型開発を考える学習会を開催。再開発事業の問題に取り組んできた「市民本位の市駅周辺・新庁舎整備を考える会」と、③街区に隣接する地域の住民でつくる「地元有志の会」が協賛しました。
 日本共産党の野口光男枚方市議が、先行開発の③街区の市負担額75億円の内訳が示されていないことなどの問題点を指摘しました。これまで市は財政調整基金を70億円の水準で維持するとしてきたが、再開発事業を推進するため27年度から減少し、32年度には41億円まで減少すると指摘。一方で、図書館予算の削減や公立保育所の廃止・民営化など市民施策の削減が進められているとし、「市民の命と暮らしとてんびんにかけるような大型開発はやめるべき」と語りました。
 元大阪自治体問題研究所事務局長の山口毅さんは、京阪が所有する土地の再開発事業に税金を投じる問題などを挙げ、市民が引き続き監視を強めることが重要だと述べました。
 学習会では再開発事業の問題点を広く市民に知らせると共に、基本計画と基本構想を中止し、大型開発ではなくコロナ対策、市民の命と暮らしを最優先にすることを求める緊急要望署名に取り組むことを確認しました。

(大阪民主新報、2021年4月11日号より)

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