国待ちやめ大規模検査を行え
新型コロナ 共産党府議団が申し入れ
知事は検査に消極的な姿勢を改めよ
日本共産党府議団は7日、吉村洋文知事らに対し、新型コロナ第4波への緊急対策を申し入れました。「(感染を抑え込む)積極的な方策を、国待ちにならず大阪府独自に立案し実施すること」「検査強化に消極的な姿勢を改め大規模検査戦略に踏み出すこと」などが急務としています。
1日当たり300件程度のモニタリング検査を2万件以上へ増やすことや、調剤薬局などで無症状者に対する無料の検査容器配布、重症病床確保と感染者受け入れ医療機関への府独自の財政支援、教育・保育現場への支援などを求めました。
石川たえ団長は「自粛や時短営業だけで抑え込むのは限界だ。陰性が確認された人で経済を回す体制を取るしかない。どうやって検査能力を一気に増やすかを、もっと真剣に考えてほしい」と要求。内海公仁府議も「検査に対する考え方を抜本的に改めなければならない」と指摘しました。
日本共産党大阪府議会議員団が7日、吉村洋文知事と藤井睦子大阪府健康医療部長宛てに行った、新型コロナ「第4波」への緊急対策を求める申し入れは次の通りです。
新型コロナ「第4波」への緊急対策を求める申し入れ
日本共産党大阪府議会議員団 石川たえ・内海公仁
大阪で急拡大している新型コロナ「第4波」は、英国由来変異株の市中感染拡大によるものである可能性が高くなっています。感染力の強さや重症化のしやすさ、若年層への感染増などの特性から、「第3波」までの従来型ウイルスによる感染拡大とは異質の、急激かつ深刻なものとなる危険をはらんでいます。
一昨日から、法に基づく「まん延防止等重点措置」が大阪市域に適用されています。しかし、すでに大阪市域以外でも急激な感染拡大がみられています。また、示されている具体策は、飲食店などへの営業時間短縮拡大や「マスク会食」の要請などにとどまっており、府域全体の感染拡大防止には不十分です。ワクチン接種はコロナ収束への有力な手段ですが、「第4波」には間に合いません。現在の府の対策では「第4波」を抑えきれないと指摘せざるを得ません。
今急がれているのは、医療体制の深刻なひっ迫をもたらした「第3波」の教訓と、これまでと異なる「第4波」の特性を踏まえた緊急対策です。感染爆発を抑え込み、医療崩壊を食い止め、生命と生活を守り抜く積極的な方策を、国待ちにならず大阪府独自に立案し実施することです。
検査強化に消極的な姿勢を改め大規模検査戦略に踏み出すこと、重症病床を始め「第3波」を上回る感染者数を想定した受け入れ態勢をとること、さらなる営業時間短縮を要請する飲食店および減収となる事業者への支援、新年度が始まる教育現場や保育施設のケアなどが急務です。
以上の立場から、日本共産党府委員会として3月26日に提出した緊急要望を前提として、改めて以下の緊急対策を直ちに講じるよう求めます。
1 大規模検査の実施
(1)現在1日300件程度のモニタリング検査を1日2万件以上に増やし、大阪市内や府内東部をはじめ、府内全域の繁華街やターミナルで実施する。
(2)「現役世代スマホ検査センター」の検査対象地域を府全域とし、府内全保健所所管区で実施する。
(3)無症状者に対する調剤薬局などでの無料の検査容器配布・回収を、広島県の取り組みなども参考に実施する。
(4)感染源や感染拡大の予兆を探知した地域や集団に全員検査を行う。
(5)「高齢者施設等従事者定期PCR検査」の対象を、通所施設従事者、入所者・利用者、医療従事者、学校・保育所・幼稚園・放課後児童クラブ教職員に拡げる。
現在2週間に1回としている頻度を、1週間に1回とする。
陽性者が出た場合はその施設の従事者と利用者全員の検査を行う。
(6)以上を確実に実施するため、コンテナ型全自動PCR検査センターや検体プール検査法、短時間で判定できる抗原検査キットなどを導入し、検査能力を大幅に引き上げる。
(7)変異株のゲノム解析を大阪独自で行う物的・人的体制を直ちにとり、府内新規感染者の全例を解析する。
(8)検査およびゲノム解析の大幅増のために、大阪健康安全基盤研究所の設備と人員を緊急確保するとともに、府内外の大学、民間研究機関などへの協力要請を強める。
(9)接触者の追跡を専門に行うトレーサーの確保など、保健所の体制を退職者の力も借りて臨時に拡充する。
2 医療体制の確保
(10)重症病床を400床をめどに緊急確保する。
「ミニ・コロナ重症センター」への補助金を引き上げ前倒し開設するとともに、制度を大幅に拡充し、直ちに追加募集を行う。
(11)重症病床に対応できる医師、看護師、技師などの専門職員を、国や関西広域連合などへの要請も含め緊急確保する。
(12)感染者受け入れ医療機関への、国による診療報酬特例や空床補償制度に上乗せした府独自の財政支援制度を設ける。
3 事業者への支援
(13)「大阪府営業時間短縮協力金」の第1期・2期分の支給を急ぐ。
審査作業を大幅に簡素化するとともに、審査作業従事者の大幅増員を委託業者に求める。
第3期以降の申請手続きに要する書類等を大幅に簡素化する。
(14)飲食店など営業時間短縮要請の対象施設以外で、営業時間短縮や自粛要請により減収となる小規模事業者への府独自の支援制度を設ける。
(15)持続化給付金の2回目の給付および4月末までとしている雇用調整助成金のコロナ特例の延長を国に強く求める。
(16)飲食店のCO2モニター、アクリル板などの設置への補助制度を速やかに設ける。
4 教育、保育現場のケア
(17)小、中、高校で、新年度の授業開始に当たっては時限的に時差登校を実施する。
(18)学校の清掃・消毒などの作業に当たる「スクール・サポート・スタッフ」を臨時増員する。
(19)保育所や学童保育所に、消毒などの専門員を大阪府の責任で配置する。
(大阪民主新報、2021年4月18日号より)