おおさかナウ

2015年03月29日

住吉市民病院 閉院延期へ

1年半〜2年 橋下市長が方針転換
市民の運動と共産党の論戦が動かす

 大阪市の橋下徹市長は23日、来年3月末としていた住吉市民病院(大阪市住之江区)の閉院時期を1年半から2年先送りするよう市健康局と独立行政法人大阪市民病院機構に指示したことを、市議会各会派に伝えました。閉院時期の見直しをかたくなに拒否してきた橋下市長の方針転換。「市民病院守れ」と続けられてきた市民の運動や日本共産党の論戦が動かしました。

「大阪都」構想を先取りする政策

住吉市民病院

住吉市民病院

 市健康局によると、橋下市長は20日、閉院時期の延期とそれに伴う必要な体制整備について検討するよう、同局などに指示しました。

 橋下市長は就任直後の2012年、「大阪都」構想の先取りとして、住吉市民病院を廃止し、府立急性期総合医療センター(住吉区)に新設する府市共同母子医療センター(仮称)に機能統合すると打ち出しました。これに対し「住吉市民病院を充実させる市民の会」や地元町会・医師会などが市議会に提出した存続署名は7万をこえました。

 橋下市長は13年3月議会に廃止条例を提案。住民の要望を「ミクロの声」と敵視しながら、世論に押される形で、廃止後の跡地に小児周産期医療を担う民間病院の誘致を表明しました。条例は日本共産党以外の賛成多数で可決され、同時に民間病院の早期誘致を求める付帯決議が可決されました。

 ところが民間病院の誘致は2度にわたり失敗。母子医療センターの建設計画も進まず、このまま住吉市民病院が予定どおり閉院されれば、来年4月以降、「医療空白」が生まれることが必至になっていました。「市民の会」は閉院時期の見直しを求める陳情署名7500筆を提出していました。

かたくなに延期拒否した橋下氏

 6日の市議会民生保健委員会で日本共産党の北山良三議員は、「閉院時期を見直し、延期するという市の方針が示されれば、それに従って最善の努力をする」との舟本仁一病院長の言葉も紹介。「最優先で考えるべきことは、患者さんや医療をこれからも必要とする市民に、絶対に迷惑や被害を与えてはならない」と説き、この一点で閉院時期を見直すよう迫りました。

 ところが橋下市長は、「閉院時期は延期しない」と答弁。3月市議会では民間病院の誘致の実行と、母子医療センターへの機能統合まで小児・周産期医療を提供することなどを求める付帯決議が、維新の会以外の賛成多数で可決されました。

 住之江区医師会の松嶋三夫会長は、明るい民主大阪府政をつくる会と大阪市をよくする会が19日開いた府民集会でのあいさつし、「橋下市長はどうなっても来年3月末で閉院すると宣言したが、誘致する病院が決定しない中で、小児救急医療の状況を考慮しないものだ」と厳しく指摘していました。

公立病院として現地建て替えを

 地元住之江区で「住吉市民病院守れ」の運動の先頭に立ってきた日本共産党の松本やすひろ府議候補と、つじい大介大阪市議候補は、「市民の運動と日本共産党の論戦が橋下市長を動かす大きな力になりました。引き続き住民の皆さんと力を合わせ、住吉市民病院を公立病院として現地で建て替えることができるよう、全力を尽くします」と話しています。

(大阪民主新報、2015年3月29日付より)

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