おおさかナウ

2015年03月29日

「大阪市解体ノー」広がる共同

党派・信条超え相次ぎ集会

 大阪市を廃止して5つの特別区に分割する「特別区設置協定書」の是非を問う住民投票が5月17日に実施されることが決まる中、大阪市民・府民の間で、大阪市の解体に反対する共同が急速に広がっています。

明るい会よくする会府民集会に800人余

病院の廃止は不毛の構想だ

800人以上が参加した明るい会とよくする会の府民集会=19日、大阪市中央区内

800人以上が参加した明るい会とよくする会の府民集会=19日、大阪市中央区内

 明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)が19日夜、大阪市中央区のエルシアターで開いた「『大阪都』ストップ!維新政治ノー!大阪府民集会」には800人以上が参加しました。

 2氏が連帯あいさつしました。

 来年3月末の閉院で「医療空白」の危機が迫る住吉市民病院(23日に橋下市長が閉院延期を表明)の地元、住之江区医師会の松嶋光夫会長は、地域の人々の生活を支える「社会的共通資本」の最たるものが医療と教育だと指摘。橋下市長が

「大阪都」構想の象徴として、住吉市民病院の廃止と府市共同母子医療センター(仮称)との統合を打ち出したが、「社会的共通資本を奪う、不毛の構想だ」ときっぱり。

 松嶋氏は、現在の小児周産期の病床186床は、統合で126に激減し、小児救急医療は衰退の一途をたどると指摘。大阪市南部地域の小児周産期医療は民間医療機関では担えないと述べ、「(橋下氏は)『民間にできるものは民間に』と言ってきたが、『民間にできないことは官に』と叫ぼう」と強調。同医師会理事会で「大阪都」構想反対を決議したと紹介しました。

政治家の資質市長らになし

 「府民のちから2015」呼び掛け人の一人で講談師の旭堂南陵さんは、辞任に追い込まれた中原徹前府教育長をかばい続けた松井一郎知事や、不適切な随意契約が明るみになった大阪市交通局長を軽い処分で済ませた橋下氏について、「普通なら首にする。あの方たちに政治家の資質はない」と述べました。

 旭堂氏は堺市長選で党派を超えて竹山修身市長を応援し、堺市民は「『都』構想ノー」の審判を下したことに触れ、「『都』構想になれば、市民の税金は半分も皆さんのために使われない。こんなばかばかしい話はない。根拠を上げて反論して、市民が納めた税金は市民に還元すべきと訴えよう」と語りました。

大阪の教育を悪くする
カジノなんて必要ない
「都」構想に未来はない
地方選でも審判下そう
各界から発言

 

各界から4氏が発言しました。

 元大阪府小学校校長会会長の西林幸三郎さんは、橋下氏が知事時代に出した「35人学級廃止」に対して1週間で109万の署名を集めて撤回させたことを振り返り、「『大阪都』構想は大阪の教育、大阪市の政治を悪くする以外のなにものでもない」と話しました。

北山良三さん

北山良三さん

 「あかん!カジノ女性アピール」呼び掛け人の佐々木唯さんは、ギャンブル依存で離婚した知人などの例を示し、「私たちは日々命を懸けて生きている。お金を賭けてカジノをするのはナンセンス。いまさら大阪にカジノなんて必要ない」と訴えました。

 東京自治体労働組合総連合の喜入肇書記長は、東京都では特別区から都が吸い上げた財源のうち特別区に交付・配分されるのは55%だけで、あとは大型開発の財源になると指摘。「基礎自治体にふさわしい財政自治権を行使できることこそ大事。『大阪都』構想に未来はない」としました。

 日本共産党の北山良三大阪市議団長は、「特別区設置協定書」の問題点や橋下氏の「二重行政の無駄をなくす」との主張のごまかしを徹底して明らかにする論戦を行ってきたと報告。「大阪市廃止解体構想に、皆さんと一緒にノーの結論を出すために、いっせい地方選でも審判を下す」と決意を語りました。

冨田関学大教授が講演

 関西学院大学の冨田宏治教授が講演し、「大阪都」構想の本質は大阪市消滅であることや、一度否決された「特別区設置協定書」が復活した背景には、安倍首相と橋下氏との野望と取り引きがあることを分かりやすく解明しました。

(大阪民主新報、2015年3月29日付より)

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