各地で開催のフードバンク
学生自身がボランティアに
私も人の役に立ちたい
コロナ禍でアルバイトがなくなるなどして生活が困窮する学生を支援しようと、食料や日用品を無料で提供する「フードバンク」が引き続き開かれています。この間増えているのは、自らがボランティアとして事前の準備や当日の運営を担う学生の姿。参加した学生たちに、思いを聞きました。
チラシなどで開催を知って
大阪市東淀川区では8日、民青同盟淀川東淀川地域班が呼び掛けた実行委員会が第3回目の「学生向けフードバンク」を開きました。会場は過去2回と同じで、阪急京都線の上新庄駅に近い、臨済宗妙心寺派の瑞光寺(ずいこうじ)。学生65人、一般市民53人が利用しました。
3回生の男子学生(20)は、子ども食堂を手伝うボランティアサークルに登録していましたが、コロナ禍で活動は中止に。「フードバンク」のチラシを見て、「できることをやってみよう」と参加しました。
「中学生の時、いじめがあって引きこもりになり、通信制高校で学んで自分の進路を見いだせた」と語る男子学生。「コロナで授業がオンラインになり、大学の施設も十分に使えないのに、学費はそのままというのはおかしいと思う」と話します。
実態聞き取り深刻さを痛感
同区在住で大阪府外の大学に通学する3回生の男子学生(20)は、地域情報を集めたホームページで「フードバンク」を知り、「自分は自宅生でまだ困っていないが、コロナで学生が大変になっていると知って、前から手伝いたかった」と参加しました。
当日は、会場アンケートで利用者から学生生活の実態を聞き取りました。「家賃が払えないという下宿生もいて、想像以上に深刻。自分の専攻は高齢者福祉だが、学生への支援も地域で手厚くする必要があると感じた」と語りました。
政治を共に考え変えるため
実行委員長の男子学生(21)は、「生活費を削らないと大学で学び続けられないなんて、この国の現実はおかしい。『フードバンク』でつながることで、『仕方がない』と諦めるのではなく、おかしさの大本にある政治について一緒に考え、変えるために声を上げていきたい」と話します。
民青同盟府委員会は6日から7日間、池田市の農民組合北摂支部協議会事務所前で、大阪大学の学生向けの「ふーどばんくプロジェクト」を開きました。新入生9人を含む26人の学生が利用し、「飲食関係でアルバイトをして生活費に充てていたが、時短営業で勤務は社員優先になり、シフトに入れない日が続いていて苦しい。食料や生理用品は本当に助かります」(3回生の女子学生)などの声が寄せられました。
ゲームよりも「人のために」
開催は学生マンションへのチラシ配布やツイッターなどで告知。チラシを見たという4回生の女子学生(21)が、ボランティアとして参加しました。「私自身は親からの仕送りもあり、金銭的にはそれほど困っていません。家にいる時間が増えましたが、ゲームをしている時間は不毛だと思い始めて、自分の時間を人の役に立つために使いたいと思った」と参加の動機を話しました。
(大阪民主新報、2021年5月16日号より)