政策・提言・声明

2021年06月07日

コロナ禍で浮き彫りになる菅政権、維新による「二重の逆流」を
打ち破り、いのちとくらしを守る大阪へ
――日本共産党の躍進、野党連合政権樹立をよびかけます

 6月5日、日本共産党大阪府委員会は、総選挙に向け、次のアピールを発表しました。

コロナ禍で浮き彫りになる菅政権、維新による「二重の逆流」を打ち破り、いのちとくらしを守る大阪へ――日本共産党の躍進、野党連合政権樹立をよびかけます

 2021年6月5日 日本共産党大阪府委員会

 新型コロナ禍が大阪で深刻化するなかで、菅自公政権と維新による「二重の逆流」に厳しい審判を下し、いのちと暮らしを守る「野党連合政権」を樹立するための総選挙が迫ります。

 日本共産党大阪府委員会は、総選挙において比例代表80万得票で近畿ブロックの議席を倍増させるとともに、「野党連合政権合意」のもとに、条件のある小選挙区でわが党及び立憲野党による「野党統一候補」を実現し、自公政権とその補完勢力・維新を少数派に追い詰めるために総力をあげます。

 日本と大阪の命運をかけた歴史的な総選挙で、日本共産党の躍進と「野党連合政権」実現へ、府民のみなさんの大きなご支持、ご支援をよびかけます。

1 大阪のコロナ感染症の拡大、「医療崩壊」――菅政権、維新の対策の抜本転換を

 深刻なコロナ感染の広がりのなかで、大阪では、「医療崩壊」が現実のものとなり、助けられる命が助けられない事態に陥っています。3月1日以後の第4波で、大阪では1000人以上が亡くなり、昨年の死者をあわせると2200人以上で全国最悪となっています。病院で治療を受けられない自宅待機者は一時1万8000人をこえました。菅政権の無策ぶりに加え、吉村知事が、PCR検査拡大に背を向け、3月には「緊急事態宣言」解除の要請とあわせ、重症病床の運用数を223床から156床へと減少させるなど、後手後手、逆行に陥った「二重の人災」といっても過言ではありません。
 日本共産党大阪府委員会は6月1日、3度目の「緊急事態宣言」延長に際し、アピール「府民の命と営業を守るため、これまでの政策から今度こそ『コロナ封じ込め』を戦略目標にすえる政策への転換を」を発表し、5つの方向を提起しました。

 第1は、ワクチンの安全、迅速な接種をすすめることです。
 第2は、大阪の2.4倍も検査し感染拡大を抑えている鳥取県のように、大規模なPCR検査で「コロナを封じ込め」る戦略に今度こそ転換することです。
 第3は、医療機関への減収補てん、保健所体制の強化をはじめ、病床と医療従事者を確保し、命を守るための集中対策をおこなうことです。
 第4は、十分な補償の徹底です。
 第5は、東京五輪を中止することです。
 「第5波」の感染を抑え込むためにも、菅政権と吉村府政が、①「コロナ封じ込め戦略」をもたず、②この1年間の対策の失敗にたいして「科学的検証」をしないという2つの問題の根本的解決を迫らなければなりません。

2、菅政権、維新政治のおおもとからの転換を

 新型コロナ危機をつうじて、多くのみなさんが、これまでの政治、社会のあり方を見つめ、誰もが健康で安心してくらせる大阪への転換を求めています。日本共産党は、大阪から次の3つの転換をすすめることをよびかけます。

(1)政治の役割は「公助」を貫き、命と暮らしをまもること――医療・福祉の「公助」の放棄、「自助」まかせをきっぱり転換せよ

 その第1は、「自助」「自己責任」おしつけの政治から、「公助」「公的責任」を果たす政治への転換です。

(医療と公衆衛生体制の抜本的強化を)

 菅政権と維新は、コロナ禍のなかで、「病床削減推進法」を強行し、維新も賛成しました。
 大阪の「医療崩壊」の事態の背景には、自民党政権と維新政治による「病床削減」「保健・衛生行政職員削減」が長期に続けられてきた問題があります。大阪では病床数は110840床(2007年)から105441床(2019年)へ、「地域医療構想」による「高度急性期・急性期病床」は、5万5222床(2014年)から5万2059床(2019年)に削減され、2025年には4万746 床にまで減らす計画をすすめています。コロナ禍のさなかに「住吉市民病院」つぶしを強行しました。
 マンパワーはどうでしょうか。大阪の看護師は47都道府県中38位、保健師は46位と低い水準です。地方公共団体の「病院会計職員」数は、この10年、全国では増えているのに、大阪では廃止や採算重視の独立行政法人化などによって7714人(2011年)から4434人(2020年)に、同じく保健所などの衛生行政部門の職員は10957人から9175人へと全国平均の2倍以上、削減されています。
 「身を切る改革」などといって、維新政治が実際に切ってきたのは公的保健・医療体制であり、府民のいのちと暮らしでした。
 日本共産党は、地域医療構想による急性期病床削減はただちにやめ、パンデミックに対応できる病床数と医療、衛生行政の公務員の確保、小児・周産期をはじめとした救急医療体制の整備、廃止された保健所の復活と保健師などの増員による体制強化への転換を強くよびかけます。

(ケア労働者の待遇の抜本的改善を)

 医療、介護、保育など「ケア労働」にたずさわる労働者の待遇の抜本的改善が必要です。医療労働者の賃金は、医師を除くと、全産業平均より月額7378円少なく、大阪の介護職の給与額は全職種の給与額と比較すると月額で7~10万円低くなっています。
 診療報酬を引き上げ、看護師など医療従事者の賃上げ、人員体制の確保などをすすめます。介護報酬、保育の公定価格の引き上げ、介護や保育従事者の処遇改善をすすめます。日本共産党と立憲民主党が共同提出した予算組み替え動議に盛り込んだ「保育士・幼稚園教諭、介護・障害福祉従事者等の処遇改善」を実らせます。

(医療と介護の負担軽減を)

 自公政権と維新は、受診抑制を引き起こし、国民皆保険制度を空洞化させる高齢者「医療費2倍化法案」を強行しました。年収に占める医療費の割合は若年層の2-6倍にのぼることが指摘されており、撤回すべきです。
 こども医療費の「窓口負担ゼロ」と対象年齢の引き上げを国と大阪府独自の責任ですすめなければなりません。

 国費1兆円投入で国民健康保険料を協会けんぽ並みに引き下げましょう。そうすれば大阪市では、給料400万円の4人家族で42万円の保険料を24.7万円に引き下げることができます。
 大阪市で全国最高額(町村除く)の月8094円など、高すぎる介護保険料の引き下げへ、国庫負担率をただちに1割引き上げることを求めます。

(2)大阪経済の主役・府民のふところと中小企業をあたためる対策こそ――コロナ禍でもしがみつく、「インバウンドとカジノ頼み」を切り替えよ

 第2に、庶民のくらしと中小企業の営業を守る経済対策の転換が急務です。
 関経連も「(大阪・関西経済は)失われた30年」(『関西ビジョン2030』)と嘆くなど、従来の経済政策の破たんは明瞭です。

(「外需頼み」から「内需」と「家計」を柱の経済政策に)

 新型コロナ禍で、家計・内需を犠牲にしながらインバウンド・外需頼みの経済政策、非正規頼みの雇用政策の危うさともろさが浮き彫りになりました。これを「内需」と「家計」中心、雇用は正規労働を中心に、賃金をあげ、「8時間働けば普通に生活ができる」社会への転換が急務です。
 とくに大阪では、大阪経済の行き詰まりのおおもとにある社会保障の切り捨て、中小企業施策の縮小、雇用破壊が強行されてきました。
 大阪の非正規雇用割合(2017年)は40.3%と全国の38.2%を上回っています。コロナで打撃が大きかった飲食・宿泊業では非正規の割合が73%にものぼっています。労働者派遣法を抜本改正し、非正規から正規化をすすめることは大阪ではとりわけ重要です。
 国民の多数が求める消費税の5%への減税をよびかけます。コロナのもとでも巨額の利益を手にしている富裕層と大企業に応分の負担を求め、法人税率引き下げ競争をやめ、世界の流れになりつつある引き上げへと転換します。フリーランスや小規模事業者を淘汰する消費税のインボイスを中止します。
 最低賃金を引き上げる中小企業支援予算を大幅に拡大し、時給1500円を実現します。
 公的資金投入は大型公共事業優先から経済波及効果の大きい安心の社会保障優先に転換させましょう。

(カジノにすがる成長戦略から撤退を)

 菅政権と維新は、人の不幸を食い物にして儲けるカジノを「成長戦略の要」とし、コロナ禍で大手カジノ資本そのものがたちいかなくなっている現状のもとでも「誘致」にしがみついています。「カジノ頼み」が破たんし、関連事業の夢洲へのメトロ延伸費が40億円増えるなど、府民負担増の危機にも面します。キッパリ断念すべきです。

(中小企業切り捨てから「主役」にふさわしい支援へ)

 菅政権は、ブレーンの一人が「中小企業は半分にしてよい。特にへらすべきは小規模事業者。多くは実効税率ゼロ」と叫ぶなど、コロナ禍のもとで中小企業淘汰をより露骨に主張しています。維新もまた「産業の新陳代謝促進」を主張。大阪でも「大企業に競争力つけさせないと中小企業の売り上げはのびない」と言って支援を削減してきました。
 「商都大阪」の経済の主役は事業所の99%を占める中小企業です。資金繰りや販路拡大、IT化、後継者づくりなどの具体策を抜本的に強化してこそ、経済はよみがえります。
 要件を緩和して「持続化給付金」「家賃支援金」の再給付を求めます。
 公共事業は、減災・防災・生活密着を優先します。

(3)政治に立憲主義と民主主義、個人の尊厳を――「一人の指揮官」のやりたい放題で政治を私物化、教育に土足で介入をきっぱり改める

 第3に、安倍・菅政権と維新政治によって破壊されてきた立憲主義・民主主義をとりもどし、個人の尊厳を守ることを最優先にした政治への転換が求められます。

(政治の私物化・強権政治に終止符を)

 安倍・菅政権のもとで、「モリ・カケ・サクラ」問題、学術会議人事介入問題、河井夫妻の買収事件をはじめ、あまりにもひどい政治の私物化が横行しました。また「国民投票法改定案」を強行し、コロナ危機にかこつけて「緊急事態条項」制定を叫ぶなど、9条改憲による「戦争する国」づくりが企まれています。
 「安保法制」などの憲法違反の立法を廃止、「集団的自衛権行使容認」の閣議決定撤回をはじめ、憲法9条改定に反対し、改憲発議は許されません。
 国政私物化疑惑究明。透明性ある公正な政治に転換します。

(大阪での維新の民意無視、行政私物化にストップ)

 大阪では、維新政治によって、民意無視・行政の私物化が目に余ります。昨秋の大阪市「住民投票」では、市役所をまるで「維新出張所」、市職員を「維新の奉仕者」とする「広報」活動が展開されました。市民の良識と共同で「都構想ノー」がつきつけられたにもかかわらず、「大阪府市一元化条例」を強行し、大阪市破壊の道をひた走ります。衛星都市においても池田市で市長が市役所に「サウナ持ち込み」」をはかるなど、異常事態が続きます。
 「一人の指揮官でやりたい放題」の「統治機構改革」をかかげる維新政治にきっぱり終止符を打つことが求められます。

(教育介入を許さない)

 コロナ禍で「少人数学級」の大事さが浮き彫りになり、政府もようやく「35人学級」へのカジを切りました。日本共産党はさらに「20人学級」を子どもたちにプレゼントするために力を注いでいます。
 大阪市では、松井市長が準備の整っていない「オンライン授業」の実施を突然発言し、教育現場が混乱するなか、見識ある校長が公然と市長あての意見書をつきつけ、教育関係者、保護者から熱い支持が寄せられています。首長にはそもそも授業内容を決定する権限がなく、しかも教育委員会の開催もせずに実施が強行されました。こんな不当な教育介入は根絶すべきです。
 大阪で行政私物化、民意無視の政治をやめさせ、主権者の声で動く政治に転換するためには、「大阪府市一元化条例」や「職員基本条例」「教育基本条例」などの廃止が必要です。

3、「二重の逆流」と正面対決し、「市民と野党の共闘」で新しい大阪と日本を切り開く日本共産党

 総選挙での躍進へ、日本共産党の姿をぜひ多くの方に知っていただき、これまで縁のなかった方にも大きく広げて下さい。

苦難軽減を立党の精神に――コロナ禍のもとで。

 コロナ禍で、日本共産党の支部、党員、議員は、みずからの感染防止に努めつつ、何よりも命と暮らしに不安をもつ市民のみなさんのもとでアンケートや懇談をすすめ、ワクチン接種予約のお手伝いにいたるまで、「国民の苦難軽減」を立党の精神とする党として役割を果たしています。こうした活動のなかで、政府が渋っていた「10万円」の一律支給を実現し、大阪府・市にも不十分ながらも事業者への給付金支給に踏み切らせました。市町村ではPCRの大規模検査にも道を開いています。

「二重の逆流」に立ち向かい、草の根から政治を動かす

 菅自公政権と維新政治による「二重の逆流」に正面から立ち向かうとともに、草の根で活動し、「検察庁法改正案」につづき、「入管法改正案」も廃案に追い込むなど、国民の声で政治をともに動かしてきました。
 維新政治と終始一貫、正面対決してきたのが日本共産党です。昨秋の「大阪市・住民投票」では広範な市民と手を携え、草の根での宣伝・対話を重ね、「都構想ノー」の審判をくだす共同をすすめてきました。

憲法9条改悪を許さない。アメリカにも、中国にもきっぱりものをいう平和・自主・自立の党

 立憲野党、市民のみなさんと共同し、「安倍改憲」を許さず、9条を守りぬく先頭にたっています。
 中国による「海洋進出」「人権抑圧」にたいして、「国際法を守れ」ときっぱり主張。菅政権や他党との違いを際立たせています。

「ジェンダー平等」「気候変動」を綱領に明記。未来の扉を開く党

 日本共産党がかかげる綱領には、資本主義をのりこえてすすむ未来社会のロマンある姿や「ジェンダー平等」や「気候変動」問題も明記。新しい社会への扉を開く方向をさし示しています。

「市民と野党の共闘」「野党連合政権」で政治を変える党

 2015年以来、「安保法制廃止」を一丁目一番地とする「市民と野党の共闘」をすすめ、国会には野党共同で20数本の法案を提出し大学入試への英語民間試験は「延期」、記述式問題は「見送り」させる(2019年)など政治を動かしています。今年の北海道、長野、広島の衆参補欠選挙では消費税の5%への引き下げを公約するなどした野党統一候補が全勝。共闘すれば政治は変えられることを鮮明に示しました。大阪でも平松市長らがよびかける「政策フォーラム」に立憲野党がせいぞろいし、忌憚なく意見交換するなど共闘が深化してきています。

(「野党連合政権」への道をごいっしょに)

 府民のみなさん
 総選挙で菅政権を打倒し、補完勢力・維新も少数派に追いつめるためには、市民と野党の共闘をさらに発展させ、「野党連合政権合意」のもとで野党統一候補を多く生み出し、勝利させること、そして、比例代表選挙を軸に、日本共産党が大きく躍進することがどうしても必要です。
 ともにこの歩みを進めるために、絶大なるご支援を心から重ねてよびかけるものです。

以上

 

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