夢洲の生物多様性を守れ
大阪市議会環境対策特別委 長岡ゆりこ議員が質問
大阪市議会環境対策特別委員会が7月28日開かれ、日本共産党の長岡ゆりこ議員が、2025年の大阪・関西万博の会場予定地である大阪湾の埋め立て地、夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)での生物多様性の保全などについて質問しました。
夢洲は、南港野鳥園(同市住之江区)と共に「大阪府レッドリスト2014」で日本固有種を含め希少な野生動植物が生息・生育し、生物多様性の保全に特に重要な場所として「生物多様性ホットスポット」に選定されています。環境省が絶滅危惧種に指定しているカモメ科の渡り鳥・コアジサシが飛来・営巣するほか、今年度は府のレッドリストで「絶滅」と判定されている水草・カワツルモの生息が確認されました。
長岡氏は、夢洲で大阪・関西万博に向けた用地造成が進む中、これらの動植物への対応についてただしました。大阪港湾局は、コアジサシが繁殖活動を行う範囲を保護区域として立ち入り禁止としたが、巣立ちが確認できたので保護区域を解除して工事を継続実施していくと答弁。カワツルモは専門家と相談して対応を検討するとしました。
「コアジサシが無事巣立ったのは本当に良かった」と長岡氏。カワツルモは、沿岸部の開発で全国的に生育地が減少し、移植による維持も難しいことから、関西自然保護機構から「都市と自然環境の共存」の象徴として保存を求める要望書も出ているとし、「工事中の一時だけでなく、今後の長期的な保全を視野に入れて対応すべき」と求めました。
さらに、大阪・関西万博の理念には「持続可能な開発目標(SDGs)」が達成された社会を目指すことが盛り込まれていることに照らして、「絶滅危惧種の保護や生物多様性の保全の取り組みが不可欠」と強調。夢洲を「生物多様性スポット」として世界に知らせ、積極的な保全に取り組むよう要望しました。
(大阪民主新報、2021年8月8日・15日合併号より)