928病床を削減・転換
医療崩壊に道開く 絶対に止めよ
石川日本共産党府議団長が吉村知事に迫る
府議会健康福祉常任委
日本共産党の石川たえ府議団長は11月24日の府議会健康福祉常任委員会で吉村洋文知事に対し、今年度に府が進める928床もの病床削減・病床転換を「医療崩壊に道を開くもの。絶対に止めるべきだ」と強く求めました。
知事は削減を正当化・推進
府は昨年、急性期病床がコロナ禍で不足するにもかかわらず229床減らしました。今年度、さらに426床の病床削減と502床の回復期病床への転換を進めています。多くが急性期病床と見られます。府は急性期病床の削減数を明らかにしていません。
石川氏は「削減を止めるべきではなかったか」とただしました。吉村知事は「高齢化に伴う医療需要の変化は目前に迫っている」などとし、急性期病床の削減を正当化しました。
「229もの病床を減らさなければ、中等症対応の医療機関が重症者を受け入れなければならなかったケースや入院できず自宅療養になったケースはもっと回避できたはず」と石川氏は主張。「国の地域医療構想に基づいて各県が病床のあり方を検討しているが、コロナ禍でストップしている県もある」と指摘しました。
石川氏は「2年にわたるコロナ禍は保健所をはじめ感染症の対応ができる医療機関の重要性を浮き彫りにした」と指摘しました。
今春の第4波では病床が足りず、重症者が軽症・中等症病床に留め置かれ、感染した高齢者が入院する病院もなく、高齢者入所施設で療養するという事態までありました。「高齢者だと救急車が搬送してくれない。命の選別が起こっている」「嘱託医の自分にできるのは看取りだけ」など、行政の対応への怒りが現場から語られています。
夏の第5波で大阪は、人口当たりの死者数が全国平均の約1・6倍になっています。
石川氏は「感染者全員が入院治療できる体制を取ることが府のやるべきことだ」と述べ、コロナ収束まで病床削減を凍結するよう、知事の決断を求めました。
しかし吉村知事は「地域医療構想は超高齢化社会に向けて必要不可欠。取り組む病院は引き続き支援する」と、病床削減に固執しました。
PCR定期検査休止するな
府は高齢者施設などの職員に対する、新型コロナウイルスのPCR定期検査を休止するとしています。「国の方針から削除された」ことを理由としています。しかし府内の高齢者施設などでは10月1日の緊急事態宣言解除後も、クラスター発生が続いています。
11月19日に改定された国の方針では、積極的、戦略的な検査と積極的疫学調査により、感染拡大の起点となっている場所や活動を特定することや、クラスターが発生している地域では感染者がいない医療機関・高齢者施設などでも、従事者や入院患者、入所者全員のいっせい検査を行うと記しています。
石川氏は「クラスターが起きてから対処するのでなく、感染者がいなくても府内の高齢者施設などで繰り返し検査をすることが、感染を施設内に持ち込まない、重症者を生まない対策だ」と強調。定期検査を継続するよう求めました。
吉村知事は「陽性となる可能性の低い無症状者に対する繰り返しの検査の必要性は低い」と、継続を拒否する姿勢を崩しませんでした。
医療費の助成制度の復活を
府の福祉医療費助成制度のうち、老人医療費助成制度が廃止され、昨年度で経過措置期間も終わりました。石川氏は「福祉医療の拡充を求める大阪実行委員会」と大阪障害フォーラムの共同影響調査を紹介。制度廃止後に国の重度医療助成へ「移行できた」との回答は全体の3%にとどまっています。
中でも医療費負担が月1万円を超えるとの回答が53%に上り、経過措置の終了から半年間で約3割が受診回数や検査・投薬を減らすなど医療内容を縮小している状況が伺えます。
医療費助成制度の復活を求める石川氏に対し吉村知事は「制度を元に戻す考えはない」と拒否。
石川氏は「国の助成制度の対象外をカバーし、府民の命を守ってきた制度だ。これこそが地方自治体の役割で、放棄することは許されない」と強く批判しました。
病床削減とコロナ対応は別次元?
府が昨年度、コロナ禍で不足する急性期病床をさらに229床減らしていた問題で、維新の会は開会中の府議会で「病床削減とコロナ対応は『別次元の話』」などと事実をゆがめる発言を行いました。 急性期病床229床削減は、日本共産党の石川たえ府議が11月16日の府議会健康福祉常任委員会で指摘したものです。これを受けた18日の同委員会で、維新の横山英幸府議は「コロナ禍において急性期病床を減らすということが府民にとっては非常に不安に感じる」としつつ、「中長期的な病床再編の議論と新型コロナウイルス対策における病床確保は全く別次元の話」、「何も知らない府民が229床削減とだけ聞いてしまうと、このコロナ禍でわざわざ削減するのとなってしまうので、しっかり誤解のないように説明、周知徹底を」と府に求めました。 府は急性期病床を減少した8病院のうち、2病院がコロナ患者受け入れ医療機関で、3病院がコロナから回復した人を受け入れる後方支援病院となっていると答弁。「別次元」どころか、コロナ患者の治療に当たっている病院で、病床削減が全く“同次元”で進められていたことが明らかになりました。 |
(大阪民主新報、2021年12月5日号より)