政令市の力生かし新しい大阪へ
住民投票「反対」多数
大阪市存続 都構想に終止符
大阪市を廃止し、特別区を設置することの賛否を問う住民投票は17日投開票の結果、大接戦の末、「反対」(70万5585票)が「賛成」(69万4844票)を上回り、大阪市の存続が決まり、橋下・維新の会が看板政策である「大阪都」構想は否決されました。橋下徹氏が府知事となってから7年、大阪維新の会の橋下徹代表(大阪市長)は17日、「政界引退」の意向を表明し、維新退場の流れが加速しています。当日有権者数は210万4076人、投票率は66・83%でした。
市民共同と維新の対決
否決された「大阪都」構想は、大阪市を廃止・解体し、住民サービスを切り捨て、「一人の指揮官」でカジノや無駄な大型開発をやりたい放題に進める体制づくりでした。
橋下・維新の会は、「二重行政の無駄をなくす」「大阪を変えるのか、いまのままでいいのか」などと大宣伝しました。
これに対し、「大阪市をなくすな」の一点で党派を超えた共同が広がり、市民団体の共同、大阪市地域振興会、大阪市商店会総連盟、府の医師・歯科医師・薬剤師の三師会などが反対を表明。「維新対市民の共同」の構図が明らかになっていきました。
10日には自民・民主・共産の各党国会議員による史上初の合同街頭演説が行われ、「大阪市をなくすな!市民大集合」(大阪市北区内)には、党派・立場・団体の違いを超えて5千人が合流。地域でも市議会野党4党の合同演説会などの共同行動、市民が自主的に反対を訴えるチラシを配布するなど、草の根の動きが投票日当日まで広がりました。
維新の会は、政党助成金を注ぎ込んだ連日の新聞折り込みチラシ、テレビCM、全国からの動員も含めて1千人ともいわれる運動員で巻き返しを画策。橋下氏は投票日前日に街頭演説で、反対する団体や政党を「既得権益」「税金を食い物にする」などと攻撃し、「1回つぶして『大阪政府』をつくる」などと叫びましたが、市民の共同の運動が橋下氏の野望を打ち砕きました。
市政改革の出発の日に
日本共産党の山口勝利府委員長は17日深夜、大阪市天王寺区内で記者会見し、「賛成に投じた市民も市政改革を望んでいる。この日を市民が一つになって新しい大阪をつくる出発の日にしたい」と強調しました。
山中智子大阪市議団幹事長は、「本当に最後までのつばぜり合いで、市民の思いが最後に競り勝った」と指摘。他党との共同について「大阪市を壊させないとの一点で揺るがなかった」と振り返り、「よりよい市政を築くための協力の芽ができた」と語りました。
18日の府常任委員会声明では、「市民が主人公」の大阪の地方政治の前進、安倍政権の暴走政治との対決、「戦争法案」を許さないたたかいはじめ国民的大闘争に全力を挙げるとしています。
明るい民主大阪府政をつくる会の前田博史事務局長、大阪市をよくする会の福井朗事務局長は18日にコメントを発表し、大阪市の有権者が大阪の未来について真剣に考え抜き、下した結果だとして指摘。住民投票の中で生まれた共同をさらに発展させ、「みんなが住んでよかったと思える大阪を築くため、市民の願いを受け止める政治を実現するために引き続き奮闘する」との決意を表明しています。19日夜には大阪市中央区内で報告集会を開きました。
特別区設置住民投票開票結果 |
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反対 70万5585票 | 50.33% |
賛成 69万4844票 | 49.62% |
当日有権者数210万4076人 | 投票率66.83% |
(大阪民主新報、2015年5月24日付より)